我が国における高齢者心不全診療の実態と課題

文献情報

文献番号
202408024A
報告書区分
総括
研究課題名
我が国における高齢者心不全診療の実態と課題
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FA1016
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
絹川 弘一郎(国立大学法人富山大学 学術研究部医学系内科学(第二)講座)
研究分担者(所属機関)
  • 今村 輝彦(富山大学 第二内科)
  • 山本 一博(国立循環器病研究センター病院)
  • 衣笠 良治(鳥取大学 医学部循環器・内分泌代謝内科学分野)
  • 眞茅 みゆき(北里大学看護学部)
  • 安斉 俊久(北海道大学大学院医学研究院 循環病態内科学教室)
  • 弓野 大(医療法人社団ゆみの)
  • 渡辺 昌文(山形大学 医学部)
  • 柴田 龍宏(久留米大学 医学部内科学講座心臓・血管内科部門)
  • 大石 醒悟(兵庫県立はりま姫路総合医療センター 循環器内科)
  • 平原 佐斗司(東京ふれあい医療生活協同組合 研修・研究センター)
  • 西川 満則(独立行政法人国立長寿医療研究センター 呼吸器科)
  • 木澤 義之(国立大学法人 筑波大学 医学医療系)
  • 山岸 暁美(一般社団法人コミュニティヘルス研究機構 コミュニティヘルス研究部)
  • 水野 篤(聖路加国際大学 急性期看護学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
3,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年,数々の新しい心不全治療薬の有効性が証明されつつあるが、日常診療で経験している併存疾患を数多くもった高齢心不全患者はエビデンス創出から除外されている。高齢心不全患者に対して、急性期病院、回復期病院、療養施設、在宅医療など、多施設における医療およびケアの連続体の構築が望まれるが、どのような医療が提供されているのか、実態は明らかでなく、本邦において適切と考えられる医療提供体制は明らかではない。高齢者心不全診療におけるゴールは長期生存のみを目標とするのではなく、患者の価値観を探索し、患者の望む治療・療養・生活を話し合うgoals of care discussionが必要であり、患者が意思決定能力を失った場合でも患者の意向がその後の治療・ケアに反映されるようにadvanced care planning (ACP)の話し合いが実践されるべきである。我が国の高齢者心不全診療におけるACPの実態調査に基づき,より良い方法論を模索し、提案すべき時期にある。そこで本調査は、我が国における現在の高齢者心不全診療におけるニーズと充足度を医療従事者と患者とからそれぞれ明らかにし、解析した後に専門家会議を行い、今後の我が国における高齢者心不全診療の在り方を提案する。
研究方法
配布した医療従事者側・患者側のアンケートをそれぞれ集計する。結果を議論して、今後の高齢者心不全診療の在り方に対する提言を作成する。
結果と考察
全国の心不全学会会員からアンケートが収集され、この結果を集計し、内容を議論した。同じく、心不全外来に通院中の患者に対して現在の診療の実態や問題点を明らかにするためのアンケートを収集して、内容を議論した。両者の結果を踏まえて、今後の診療の在り方に対する提言を作成した。
結論
医療従事者と患者のアンケート結果を総合すると、心不全患者の治療とケアにおいて、双方の視点に認識のギャップや課題が存在することが浮き彫りとなった。特に、ACPの実施や終末期医療の選択において、医療従事者の体制的・技術的な課題と患者の希望との間に溝がある。これを埋めるには、医療従事者の教育や地域包括ケアの整備、患者と家族が主体的に意思を表明できる環境作りが必要不可欠である。そのためには、高齢心不全患者の診療・介護が重要な社会問題であり、社会全体で考えていかなくてはならない課題であるとの認識が必要かもしれない。

心不全という慢性疾患の特性上、患者の生活の質を向上させるためには、単に医療技術を提供するだけではなく、患者と家族が納得できる治療方針やケアを共に考えるプロセスが求められる。

そのためには、ACPを早期から導入し、医療従事者、患者、家族、地域社会が一体となって支援体制を整えることが重要である。早期から十分な時間をかけてACPを実施していくに際して、診療時間の制約は一つの課題である。一定以上の診察時間を要する場合に診療報酬が加算されるような制度改正も検討されるべきかもしれない。

今後の取り組みとして、医療と地域の連携を強化し、患者の価値観を尊重した治療とケアの実現を目指す必要がある。これにより、患者が自らの人生を主体的に選択し、安心して治療を受けられる医療環境を築くことが可能となる。本アンケート結果は、そのための課題を明確にし、具体的な方向性を示す重要な示唆を提供している。心不全患者のより良い未来の実現に向けて、医療、介護、地域社会のさらなる協力が求められる。

公開日・更新日

公開日
2025-10-01
更新日
-

文献情報

文献番号
202408024B
報告書区分
総合
研究課題名
我が国における高齢者心不全診療の実態と課題
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FA1016
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
絹川 弘一郎(国立大学法人富山大学 学術研究部医学系内科学(第二)講座)
研究分担者(所属機関)
  • 今村 輝彦(富山大学 第二内科)
  • 山本 一博(国立循環器病研究センター病院)
  • 衣笠 良治(鳥取大学 医学部循環器・内分泌代謝内科学分野)
  • 眞茅 みゆき(北里大学看護学部)
  • 安斉 俊久(北海道大学大学院医学研究院 循環病態内科学教室)
  • 弓野 大(医療法人社団ゆみの)
  • 渡辺 昌文(山形大学 医学部)
  • 柴田 龍宏(久留米大学 医学部内科学講座心臓・血管内科部門)
  • 大石 醒悟(兵庫県立はりま姫路総合医療センター 循環器内科)
  • 平原 佐斗司(東京ふれあい医療生活協同組合 研修・研究センター)
  • 西川 満則(独立行政法人国立長寿医療研究センター 呼吸器科)
  • 木澤 義之(国立大学法人 筑波大学 医学医療系)
  • 山岸 暁美(一般社団法人コミュニティヘルス研究機構 コミュニティヘルス研究部)
  • 水野 篤(聖路加国際大学 急性期看護学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、数々の新しい心不全治療薬の有効性が証明されつつあるが、日常診療で経験している併存疾患を数多くもった高齢心不全患者はエビデンス創出から除外されている。高齢心不全患者に対して、急性期病院、回復期病院、療養施設、在宅医療など、多施設における医療およびケアの連続体の構築が望まれるが、どのような医療が提供されているのか、実態は明らかでなく、本邦において適切と考えられる医療提供体制は明らかではない。高齢者心不全診療におけるゴールは長期生存のみを目標とするのではなく、患者の価値観を探索し、患者の望む治療・療養・生活を話し合うgoals of care discussionが必要であり、患者が意思決定能力を失った場合でも患者の意向がその後の治療・ケアに反映されるようにadvanced care planning (ACP)の話し合いが実践されるべきである。我が国の高齢者心不全診療におけるACPの実態調査に基づき,より良い方法論を模索し、提案すべき時期にある。そこで本調査は、我が国における現在の高齢者心不全診療におけるニーズと充足度を医療従事者と患者とからそれぞれ明らかにし、解析した後に専門家会議を行い、今後の我が国における高齢者心不全診療の在り方を提案する。
研究方法
文献レビューを行い、高齢者心不全に関する国内外の実状を明らかにする。その結果を踏まえて、医療従事者に向けた全国アンケートを作成して、実施する。また、文献レビューの結果を踏まえて、高齢者心不全診療における患者サイドのニーズを明らかにするためのアンケートを作成して、心不全外来に通院している患者からアンケートを収集する。これらの結果を踏まえて、在宅看護を受けている患者における診療実態を明らかにするためのアンケートを作成して、これを実施する。以上を踏めて高齢者心不全診療の実態と問題点を明らかにしたうえで、今後の診療のための提言を作成する。
結果と考察
国内外の高齢者心不全診療に関する文献レビューを行い、その結果をまとめた。この結果を踏まえて、医療従事者に向けて、現在どのような診療が実施されており、どのような問題点が存在するのかを明らかにするためのアンケートを作成し、これを実施した。

全国の心不全学会会員からアンケートが収集され、この結果を集計し、内容を議論した。同じく、心不全外来に通院中の患者に対して現在の診療の実態や問題点を明らかにするためのアンケー収集して、内容を議論した。両者の結果を踏まえて、今後の診療の在り方に対する提言を作成した。

結論
医療従事者と患者のアンケート結果を総合すると、心不全患者の治療とケアにおいて、双方の視点に認識のギャップや課題が存在することが浮き彫りとなった。特に、ACPの実施や終末期医療の選択において、医療従事者の体制的・技術的な課題と患者の希望との間に溝がある。これを埋めるには、医療従事者の教育や地域包括ケアの整備、患者と家族が主体的に意思を表明できる環境作りが必要不可欠である。そのためには、高齢心不全患者の診療・介護が重要な社会問題であり、社会全体で考えていかなくてはならない課題であるとの認識が必要かもしれない。

心不全という慢性疾患の特性上、患者の生活の質を向上させるためには、単に医療技術を提供するだけではなく、患者と家族が納得できる治療方針やケアを共に考えるプロセスが求められる。

そのためには、ACPを早期から導入し、医療従事者、患者、家族、地域社会が一体となって支援体制を整えることが重要である。早期から十分な時間をかけてACPを実施していくに際して、診療時間の制約は一つの課題である。一定以上の診察時間を要する場合に診療報酬が加算されるような制度改正も検討されるべきかもしれない。

今後の取り組みとして、医療と地域の連携を強化し、患者の価値観を尊重した治療とケアの実現を目指す必要がある。これにより、患者が自らの人生を主体的に選択し、安心して治療を受けられる医療環境を築くことが可能となる。本アンケート結果は、そのための課題を明確にし、具体的な方向性を示す重要な示唆を提供している。心不全患者のより良い未来の実現に向けて、医療、介護、地域社会のさらなる協力が求められる。

公開日・更新日

公開日
2025-10-01
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202408024C

成果

専門的・学術的観点からの成果
我が国における高齢者心不全診療の実態を明らかにした。成果はSTROKE2025学会で発表され、大きな反響があった。
臨床的観点からの成果
高齢者心不全診療を取り巻く様々な問題点を浮き彫りにする事によって、今後の病院内外の在り方を再考させるきっかけとなった。
ガイドライン等の開発
心不全診療ガイドラインにおけるACP関連記載の充実に寄与した。
その他行政的観点からの成果
今後、学会等で高齢者心不全診療の質を向上させるための方策について検討予定である。
その他のインパクト
本研究の成果を今後の市民公開講座などで啓発していく予定である。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
STROKE 2025
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
日本循環器学会心不全診療ガイドライン
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2025-05-29
更新日
2025-05-30

収支報告書

文献番号
202408024Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,940,000円
(2)補助金確定額
4,940,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,306,393円
人件費・謝金 1,782,217円
旅費 593,645円
その他 117,745円
間接経費 1,140,000円
合計 4,940,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2025-10-01
更新日
-