薬物乱用・依存の実態把握と再乱用防止のための社会資源等の現状と課題に関する研究

文献情報

文献番号
200940074A
報告書区分
総括
研究課題名
薬物乱用・依存の実態把握と再乱用防止のための社会資源等の現状と課題に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-028
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
和田 清(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 小林 桜児(国立精神・神経医療研究センター 病院)
  • 庄司 正実(目白大学 人間学部)
  • 福永 龍繁(東京都監察医務院)
  • 山口 みほ(日本福祉大学 社会福祉学部 )
  • 宮永 耕(東海大学 健康科学部)
  • 嶋根 卓也(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部)
  • 松本 俊彦(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部)
  • 近藤 あゆみ(新潟医療福祉大学 社会福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(研究1)薬物乱用・依存の実態把握と(研究2)制度的社会資源の運用実態把握、若年者、触法少年に対する再乱用予防・回復支援プログラム、薬物依存症者家族支援プログラムの開発を行い、再乱用防止に役立てる。
研究方法
(研究1)1.全国住民調査(層化二段無作為抽出による15歳以上64歳以下の5,000人)を実施した。2.全国精神科病院調査、3.全国児童自立支援施設調査は2年度調査の準備を行った。4.東京都監察医務院での薬物検出結果(2005~2009年)を調査した。(研究2)1.制度的社会資源の現状調査、2.若年者向け薬物再乱用防止プログラム開発、3.少年鑑別所で認知行動療法を取り入れた再乱用防止プログラムの実施、4.家族のニーズ調査を行った。
結果と考察
(研究1)1.違法薬物乱用の生涯被誘惑率は、有機溶剤3.6%、大麻2.8%、覚せい剤1.2 %、コカイン0.4%、MDMA0.6%、ヘロイン0.1%であった。これら6種のいずれかの薬物乱用(6種いずれか)への生涯被誘惑率は6.4%、有機溶剤を除いたいずれか(有機溶剤を除くいずれか)の生涯被誘惑率は4.1%であった。生涯経験率は、有機溶剤1.9%、大麻1.4%、覚せい剤0.3%、MDAM0.2%であり、コカイン、ヘロインでは統計誤差内であった。6種いずれかの生涯経験率は2.9%、有機溶剤を除くいずれかの生涯経験率は1.7%であった。4.医薬品の検出、特に精神神経用剤が顕著に増加していた。メタンフェタミン67件、アンフェタミン65件、MDMA7件,モルヒネ1件,コカイン1件,ジヒドロコデイン3件が検出された。
(研究2)1.「精神保健福祉法」第5条で精神障害として定義されている薬物依存症が、「障害基礎年金」の給付、精神障害者福祉手帳の認定では事実上排除されていることが指摘された。その根拠として、国民年金法69条の存在が大きいように考えられた。2.認知行動療法を取り入れたワークブックを開発した。3.軽症群と重症群とでワークブックに対する捉え方が異なっていることが判明した。4.多様なニーズがあることが明らかになった。
結論
薬物乱用状況は拡大傾向にあり、大麻を中心に「多剤乱用型」へと急速に変化している。薬物依存症が「精神保健福祉法」第5条で精神障害として定義づけられている事実を踏まえて、既存の制度的社会資源等の基準、法文の整合性を図ってゆく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2010-04-28
更新日
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