改正健康増進法施行後における喫煙室の設置状況と受動喫煙環境の評価及び課題解決に資する研究

文献情報

文献番号
202408015A
報告書区分
総括
研究課題名
改正健康増進法施行後における喫煙室の設置状況と受動喫煙環境の評価及び課題解決に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FA1005
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
大和 浩(産業医科大学 産業生態科学研究所・健康開発科学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 姜 英(キョウ エイ)(産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学研究室)
  • 朝長 諒(産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学研究室)
  • 河井 一明(産業医科大学 産業生態科学研究所)
  • 大森 久光(国立大学法人熊本大学 大学院生命科学研究部)
  • 樋上 光雄(産業医科大学 産業保健学部 作業環境計測制御学)
  • 伊藤 ゆり(大阪医科薬科大学 総合医学研究センター医療統計室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は以下の4点である。
① 改正健康増進法(以下、改正法)により、屋外においても「望まない受動喫煙」を防止するための、都市部や繁華街などに設置された喫煙室や喫煙コーナーの受動喫煙防止効果の検証
② 地方自治体が受動喫煙対策の規制を改正法よりも強化した「上乗せ条例」の施行状況とその内容の収集
③ 「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」に基づき、主要30か国の受動喫煙対策に関する法規制の収集
④ 喫煙室等を清掃する作業者における受動喫煙による健康影響の検証
研究方法
① 工学的な受動喫煙防止対策の効果の評価は、タバコの燃焼で発生する微小粒子状物質(PM2.5)の測定をデジタル粉じん計を用いて行った。屋外に設置された喫煙室の内部とその周囲のPM2.5濃度、および、有圧換気扇を用いて煙突から上方に向けて排気する喫煙室の風下におけるPM2.5濃度の測定を行った。また、3.2メートルのパーティションで四方から囲い、出入口を十分な重なりがある2重クランクとした喫煙コーナーの内部、パーティションの外、および、風下10メートルのPM2.5の測定を行った。
② 主要な166の地方自治体に受動喫煙防止対策に関する上乗せ条例の有無とその内容に関する調査票を郵送した。
③ 「たばこの規制に関する世界保健機関(WHO)枠組条約」に基づき、公開されている主要30か国の受動喫煙防止法に関する調査を行った。
④ 清掃業者の定期健診・人間ドックの余剰尿からタバコ煙ばく露マーカー(ニコチン、コチニン、3-ヒドロキシコチニン、NNAL)の測定を行った。
結果と考察
① 屋外の喫煙室であって、クリーンルーム等で使用される高性能(HEPA)フィルターを用いた空気清浄機から排気される空気中のPM2.5濃度は大気環境基準と同程度、あるいは、それを下回る濃度であり、非喫煙者の動線への影響は認められなかった。煙突から排気する喫煙室の風下においてPM2.5濃度の上昇は認められず、有効な対策と考えられた。3.2メートルのパーティションで四方から囲い、出入口を2重クランクとした喫煙コーナーは受動喫煙防止対策として有効であることが認められた。ただし、パーティションと路面の隙間は1センチでもタバコ煙の漏れが発生することから、雨水を逃がすための必要最小限に抑えることが重要であった。また、スリット状のパーティションは無効な対策であった。工学的に有効な受動喫煙防止対策は初年度と2年度で明確になったことから、最終年度は設置費用と維持費用に関する詳細な調査を予定している。
② 大阪府(30平方メートルを超える飲食店は原則禁煙)、大阪市(すべての路上を喫煙禁止)、千代田区(路上における加熱式タバコの喫煙禁止)、横浜市(市営公園の禁煙化)などの上乗せ条例の情報が得られた。
③ 先進国と言われるG7各国よりも、G20諸国に含まれるブラジル、ロシア、トルコなどの受動喫煙防止法の評価が高いことが認められた。特に、メキシコは2022年の法改正により、オフィスやレストラン、ホテル、公園、ビーチなどすべての場所が禁煙となり、さらに、タバコ広告や後援活動の禁止、コンビニやスーパーでのタバコの陳列販売禁止を含む強力かつ広範な法規制が施行され、最高評価を得た。
④ 清掃業にかかわる22名の健診等の余剰尿の分析から、喫煙室の清掃作業がある者(9名)は、喫煙室の清掃作業がない者(13名)に比べ、すべてのタバコ煙曝露指標が高値であり、業務に起因する受動喫煙の可能性が示唆された。
結論
都市部や繁華街の屋外に喫煙場所を設置する場合、「望まない受動喫煙」を有効に防止するための工学的な対策が明らかになった。最終年度は、その設置費用と維持費用に関する経済的な観点の情報を収集するとともに、その内部に禁煙治療や禁煙のメリット等をポスターとして掲示することで喫煙者への情報提供の場として利用し、喫煙率の低減にも貢献する好事例についても検討することを予定している。
改正法よりも強化した地方自治体の上乗せ条例や諸外国の法規制などの好事例を本研究が運営するホームページやメールマガジンで広報する予定である。
喫煙室の清掃業者への生体影響は明らかであり、清掃作業は喫煙者が少ない早朝などに行なうこと、かつ、開始前から作業中の喫煙を禁止するなどの措置が必要であることを喫煙場所の管理者や清掃業の経営者に周知することが必要であることが認められた。
最終年度は、「望まない受動喫煙」をなくすための規制強化の推進が、喫煙しにくい社会環境を実現し、その結果、喫煙率の低減によるタバコ関連疾患とその医療費の削減に寄与することの提言を行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2026-01-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-01-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
202408015Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
17,550,000円
(2)補助金確定額
16,997,000円
差引額 [(1)-(2)]
553,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,450,772円
人件費・謝金 4,851,338円
旅費 1,578,684円
その他 1,066,217円
間接経費 4,050,000円
合計 16,997,011円

備考

備考
自己資金:11円

公開日・更新日

公開日
2025-09-30
更新日
-