国際化を踏まえた医薬品・医療機器の安全性情報の伝達に関する研究

文献情報

文献番号
200940069A
報告書区分
総括
研究課題名
国際化を踏まえた医薬品・医療機器の安全性情報の伝達に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-023
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 美保子(川崎医療福祉大学 医療福祉マネジメント学部医療情報学科)
研究分担者(所属機関)
  • 小出 大介(東京大学大学院 医学系研究科 臨床疫学システム講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、国内では日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)の「個別症例安全性報告(ICSR)ガイドライン」に準拠した医薬品電子副作用報告(企業報告)が実施されている。一方、近年欧米においては標準化団体による規格を行政上の要件として指定する方向にあり、ICHは標準開発団体HL7を通じてICSRのISO規格を開発するパイロットを開始している。本研究ではHL7 ICSR(ISO ICSR)規格の円滑な国内導入を支援することを目的として、平成21年度はHL7 ICSRがICHの要件に適合しているか、ICHの基準に基づいて安全性報告を正しく表現できるかを検証する。
研究方法
HL7 ICSRは、2009年4月にISO DIS投票にかけられた。ICHではヒト用医薬品だけを範囲とするのに対し、HL7 ICSRはヒト用医薬品、医療機器、食品、化粧品、動物用医薬品など、広い範囲を対象とする。このためISO ICSR規格草案は範囲全体に対応するPart1と、ヒト用医薬品だけに対応するPart2の2部構成となった。本研究では、このうちPart2を主たる対象としてICH ICSRガイドラインと比較検討した。また模擬データを用いて、実際に所定のデータを記載し得るかテストを行った。
結果と考察
HL7 ICSRは「a) 安全性報告を記述する情報モデル(R-MIM)」と「b)電子データ交換様式」の二つのレベルからなる。a)については、ICH ICSRの項目一つ一つをR-MIMの要素とマッピングして比較検討した。その結果、ICHの要件が正しく表現されていない箇所がみられ、対応策を検討し非公式に、あるいは公式ルートを通じて提案した。b)の電子データ交換様式については基本構文が正しいか、専用ソフトで評価した。また、複数の模擬データを用いて所定のデータ項目を電子様式上に記述し得るかテストした。その結果、基本的には表現可能と考えられたが、a)のモデルに修正が入るため継続して評価する必要がある。
結論
ICH ICSRの仕様に照らし合わせてHL7 ICSR(ISO ICSR)規格草案を検証し、問題点を洗い出して解決策を検討し提案した。電子データ交換様式に関しては具体的に所定の項目を記載できるかテストを行った。その結果、基本的には表現可能と考えられたが、規格に修正が入るため継続して評価を行う予定である。本研究の成果は直接的に国内の電子副作用報告制度に貢献すると考える。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-