社会環境に応じた持続的な禁煙支援のための研究

文献情報

文献番号
202408011A
報告書区分
総括
研究課題名
社会環境に応じた持続的な禁煙支援のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FA1001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
島津 太一(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 行動科学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 公則(新潟大学大学院医歯学総合研究科生活習慣病予防検査医学講座)
  • 齋藤 順子(国立がん研究センター がん対策研究所 行動科学研究部)
  • 谷口 千枝(愛知医科大学 看護学部)
  • 武藤 繁貴(聖隷福祉事業団 聖隷健康診断センター 医務部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
5,350,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
禁煙治療利用割合を向上させるため、【研究1】で職域健診を起点として禁煙治療の提供者からの働きかけによりオンライン禁煙治療につなげる能動的なアプローチ(連携型禁煙支援)を開発し、その実施可能性を検討し、【研究2】にて有効性と費用効果性を評価する。【研究3】では健診を起点として、地域で主に対面により広く提供される保険診療での禁煙治療利用を向上させる能動的なアプローチの実施可能性を検討する。また、職域における喫煙対策アクションプラン案の作成を行う。これにより、健診の場での効果的かつ効率的な禁煙支援の効果と手順を提示する。
研究方法
3年間の研究期間の第2年次であるR6年度において下記の研究を行った。
1.【研究2】職域でのオンライン禁煙治療受療促進介入の効果検証試験
新潟県労働衛生医学協会が人間ドックを実施している健診施設で研究を開始した。
2.【研究3】地域での禁煙治療受療促進介入の単群実施可能性試験
実施可能性試験の準備として、健診受診から地域で利用可能な禁煙治療受療までのボトルネックを明らかにするため、ペイシェントジャーニーマッピング(PJM)研究を開始した。また、薬局での禁煙治療につなげる連携型禁煙支援の計画を立案した。
3.職域における喫煙対策アクションプラン案の作成
アクションプランを作成し、日本健康教育学会誌に論文として発表した。
結果と考察
1.【研究2】職域でのオンライン禁煙治療受療促進介入の効果検証試験
2024年12月に禁煙支援担当者22名をグループ1の健診施設からリクルートし、キックオフミーティングや禁煙支援トレーニングなどの準備段階を経て、試行実施期間中に対象喫煙者への連携型禁煙支援を実施した。さらに2025年3月には、低資源環境での適応介入を行うグループ2の禁煙支援担当者8名をリクルートした。

2.【研究3】地域での禁煙治療受療促進介入の単群実施可能性試験
PJM研究においてPhase 1(喫煙者アンケート)の設計と配布を実施したが、年度内に想定数の参加者が集まらず、次年度に継続することとなった。研究体制と方法は確立しており、質的データの収集と分析により、ABR後の喫煙者の行動や感情、支援に対する障壁と促進要因の可視化が進む見込みである。
さらに、地域における禁煙治療のアクセシビリティ向上を目指し、禁煙外来に加えて薬局を新たな連携先とする支援体制の可能性を検討した。薬局は、(1)アクセスのしやすさ、(2)禁煙補助薬と合わせた禁煙支援が提供できること、(3)喫煙者が感じる心理的なハードルの低さ、という3点から、保険診療による禁煙治療の導入を促す場として適しているものと判断した。

3.職域における喫煙対策アクションプラン案の作成
日本健康教育学会誌に論文として発表した。

【考察】
【研究1】において、海外で報告されている医療機関受診をきっかけとした能動型アプローチを日本の状況に適応し、健診を契機としたオンライン禁煙治療への連携型禁煙支援を開発、その実施可能性を確認した。今年度の【研究2】では、実施可能性試験の知見を踏まえて、効果を確認するための介入研究を開始した。本研究において連携型禁煙支援により、オンライン禁煙治療の利用割合(浸透度)の結果は、健診機関がこの手法を採用するかどうかの判断に有用なデータとなることが期待される。
【研究3】では、連携型禁煙支援の阻害・促進要因、実装戦略を検討するためのPJM研究を開始した。また、薬局及び禁煙外来への連携型支援の実施可能性を検討するための前向き観察研究を計画した。地域における連携型禁煙支援の持続可能な実装に向けた重要な一歩となることが期待される。
また、本研究により、連携型禁煙支援の連携先として薬局が利用可能になれば、禁煙治療提供先の選択肢が増え、禁煙治療を受療する喫煙者が増えることが期待される。
結論
オンライン禁煙治療への連携については、【研究1】実施可能性試験の結果をもとに【研究2】の計画を作成し、効果検証試験を開始した。
【研究3】では、PJM研究を開始した。また、禁煙希望者を健診機関から地域の薬局及び禁煙外来に連携することの実施可能性を検討するための観察研究を立案した。

公開日・更新日

公開日
2025-12-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-12-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
202408011Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,955,000円
(2)補助金確定額
4,757,000円
差引額 [(1)-(2)]
2,198,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 581,031円
人件費・謝金 131,774円
旅費 335,786円
その他 2,103,977円
間接経費 1,605,000円
合計 4,757,568円

備考

備考
自己資金:568円

公開日・更新日

公開日
2025-09-08
更新日
-