大規模レジストリ・大規模臨床試験の分析による標準的糖尿病診療体制の構築のための研究

文献情報

文献番号
202408009A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模レジストリ・大規模臨床試験の分析による標準的糖尿病診療体制の構築のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22FA1014
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
植木 浩二郎(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター研究所 糖尿病研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 笹子 敬洋(東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科)
  • 岡崎 由希子(順天堂大学大学院医学研究科 代謝内分泌内科学)
  • 野田 光彦(国際医療福祉大学市川病院 糖尿病・代謝・内分泌内科)
  • 後藤 温(公立大学法人横浜市立大学 医学部公衆衛生学教室)
  • 大杉 満(国立国際医療研究センター糖尿病情報センター)
  • 坊内 良太郎(国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター 臨床情報研究室)
  • 杉山 雄大(国立研究開発法人国立国際医療研究センター 研究所糖尿病情報センター)
  • 三宅 加奈(東京大学 医学部附属病院 企画情報運営部/糖尿病・代謝内科)
  • 山内 敏正(東京大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
糖尿病の良好な管理により合併症を予防することは、寿命の延長およびQOLの維持につながると期待されるが、合併症予防による医療コスト削減と薬剤費などの医療費のバランスを踏まえた標準治療の策定に関する研究は、これまで十分に行われてこなかった。
本研究班は、J-DOIT3試験において、ガイドラインより厳格な治療を実施することにより、心血管イベント、脳血管イベント、腎症イベントを有意に抑制できることを報告した。また、診療録直結型全国糖尿病データベース事業J-DREAMSを通じて大規模レジストリを構築し、さらに厚労科研の他研究班と連携して、NDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)を用いた全国の糖尿病診療実態の解析を進めている。
J-DOIT3の長期追跡データを解析し、得られた仮説をJ-DREAMSで検証し、さらにNDBデータへと外挿することで、各データベースの特性を活かしたより精緻な評価が可能になると期待される。
研究方法
• 【J-DOIT3】
厳格な多因子介入がQOLや生命予後に与える影響を明らかにするため、介入終了後の長期追跡研究を継続している。血糖、血圧、脂質、バイオマーカーなどの詳細な解析を実施している。
• 【J-DREAMS】
電子カルテと連携した診療録直結型データベースを活用し、腎機能と糖尿病治療薬の選択との関連を解析している。SS-MIX2およびMCDRSを用いたデータ収集体制を整備している。
• 【NDB】
特別抽出データの取得と解析環境の整備を進め、全国規模での診療実態の把握を目指している。
結果と考察
• 【J-DOIT3】
強化療法群では主要心血管イベントの発症が抑制され、血中アディポネクチン濃度の上昇やグリコアルブミンの低値維持が確認された。追跡研究では、生命予後や認知機能への影響も含めた多面的な評価を進めている。
• 【J-DREAMS】
腎機能が糖尿病治療薬の選択に大きく影響していることを明らかにした。特に腎機能低下群ではDPP-4阻害薬やインスリンの使用が多く、ビグアナイド薬やSGLT2阻害薬の使用が抑制されていた。今後は、個別化医療の実現に向けた処方支援体制の整備が求められる。
• 【NDB】
2014年度から2022年度までの特別抽出データを取得し、さらなる解析に向けた準備を進めている。
結論
【J-DOIT3】
介入期間中のサブ解析から、①血糖とHDL-コレステロールが心筋梗塞の発症に重要であり、またHDL-コレステロールと合併症との関連には性差があること、②強化療法は網膜症の発症を抑制する一方、進展への明らかな効果は見られなかったこと、③糖尿病による負担感は血糖コントロールと相関することが示された。
加えて追跡研究では、当初予定した5年間の研究期間が終了し、その解析に向けたデータ固定を慎重に進めてきたが、ようやくその準備が整いつつある。
【J-DREAMS】
合併症に関する横断観察研究の解析結果を提示した。J-DREAMSは参加施設・登録症例も増加しており、1型糖尿病患者も多く含む糖尿病症例データベースである。検査結果だけでなく、症例の背景情報が豊富に収集されていることから横断解析、縦断解析のいずれにも用いることが出来ることが示された。
【NDBの整備状況】
NDB特別抽出データを利用する準備を整えている。

公開日・更新日

公開日
2026-02-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-02-13
更新日
-

文献情報

文献番号
202408009B
報告書区分
総合
研究課題名
大規模レジストリ・大規模臨床試験の分析による標準的糖尿病診療体制の構築のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22FA1014
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
植木 浩二郎(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター研究所 糖尿病研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 笹子 敬洋(東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科)
  • 岡崎 由希子(順天堂大学大学院医学研究科 代謝内分泌内科学)
  • 野田 光彦(国際医療福祉大学市川病院 糖尿病・代謝・内分泌内科)
  • 後藤 温(公立大学法人横浜市立大学 医学部公衆衛生学教室)
  • 大杉 満(国立国際医療研究センター糖尿病情報センター)
  • 坊内 良太郎(国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター 臨床情報研究室)
  • 杉山 雄大(国立研究開発法人国立国際医療研究センター 研究所糖尿病情報センター)
  • 三宅 加奈(東京大学 医学部附属病院 企画情報運営部/糖尿病・代謝内科)
  • 山内 敏正(東京大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
糖尿病の良好な管理は、合併症の予防を通じて寿命の延伸およびQOLの維持に寄与するが、医療費全体とのバランスを考慮した標準治療の策定に関する研究は十分に行われてこなかった。本研究では、J-DOIT3試験における厳格な多因子介入の長期的効果を評価し、J-DREAMSによる大規模レジストリで仮説を検証、さらにNDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)を用いて全国規模の診療実態を解析することで、科学的根拠に基づく標準的糖尿病診療体制の構築を目指した。
研究方法
• 【J-DOIT3】
全国81施設で2,540例を対象に、血糖・血圧・脂質の厳格な管理を行う多因子介入を8.5年間実施。介入終了後も追跡研究を継続し、心血管イベント、腎症、網膜症、QOL、死亡率などの長期的影響を評価。バイオマーカー(アディポネクチン、インスリン、グリコアルブミン等)も測定し、治療効果との関連を解析。
• 【J-DREAMS】
電子カルテと連携した診療録直結型データベースを活用し、全国74施設・約11.5万人の糖尿病患者データを収集。SS-MIX2およびMCDRSを用いて、腎機能、薬剤選択、合併症の発症率などを横断・縦断的に解析。心不全やeGFR低下の危険因子も検討。
• 【NDB】
2014〜2017年度の特別抽出データを取得し、他研究班と連携して解析環境を整備。全国規模での診療実態や医療費の動向を把握し、J-DOIT3・J-DREAMSとの突合解析を目指す。
結果と考察
• 【J-DOIT3】
強化療法群では、主要心血管イベントの発症率が58%低下し、HbA1cやHDLコレステロールの管理が重要であることが示された。網膜症の発症は有意に抑制されたが、進展には明確な効果は見られなかった。QOL評価では、治療満足度が血糖コントロールと相関し、注射薬の使用が一部患者で満足度を低下させることも明らかとなった。低血糖と網膜症発症の関連や、HbA1cの急激な改善が低血糖リスクを高める可能性も示唆された。
• 【J-DREAMS】
腎機能が糖尿病治療薬の選択に大きく影響しており、腎機能低下群ではDPP-4阻害薬やインスリンの使用が多く、ビグアナイド薬やSGLT2阻害薬の使用は抑制されていた。傾向スコアマッチングにより、患者背景の違いが薬剤選択に影響している可能性も示された。さらに、心不全やeGFR低下の危険因子として、貧血や低アルブミン血症が同定され、合併症予測モデルの構築に向けた基盤が整いつつある。
• 【NDB】
特別抽出データを用いた解析準備が整い、J-DOIT3およびJ-DREAMSとの連携により、全国規模での診療実態や医療資源の最適化に向けた評価が可能となった。今後は、費用対効果の観点からも治療戦略の検討が期待される。
結論
【J-DOIT3】
強化療法は、心血管・腎症・網膜症などの合併症抑制に有効であり、HbA1cやHDL-Cの管理が重要であることが示された。追跡研究では、治療効果の持続性や認知機能・ADLへの影響も評価されており、長期的な多因子介入の意義が確認された。
【J-DREAMS】
腎機能と薬剤選択の関連を明らかにし、個別化医療の必要性が示された。今後は、予測モデルの構築や処方支援体制の整備が求められる。J-DREAMSは横断・縦断解析の両面で活用可能な高精度データベースとしての有用性が確認された。
【NDB】
全国規模の診療実態把握に向けた基盤が整備され、他データベースとの連携による包括的な評価が可能となった。今後は、標準治療の策定と医療政策への応用が期待される。

公開日・更新日

公開日
2026-02-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-02-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202408009C

収支報告書

文献番号
202408009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,400,000円
(2)補助金確定額
10,400,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 54,277円
人件費・謝金 3,136,228円
旅費 25,454円
その他 4,784,041円
間接経費 2,400,000円
合計 10,400,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2025-08-27
更新日
-