国民および医療関係者との副作用情報にかかるリスクコミュニケーション方策に関する調査研究:副作用の効果的な情報伝達手法の検討

文献情報

文献番号
200940066A
報告書区分
総括
研究課題名
国民および医療関係者との副作用情報にかかるリスクコミュニケーション方策に関する調査研究:副作用の効果的な情報伝達手法の検討
課題番号
H21-医薬・一般-020
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
杉森 裕樹(大東文化大学 スポーツ・健康科学部 健康科学科)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 英孝(東海大学 医学部)
  • 小橋 元(独立行政法人放射線医学総合研究所 重粒子センター)
  • 須賀 万智(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 折井 孝男(NTT東日本関東病院 薬剤部)
  • 漆原 尚巳(京都大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、医薬品・医療機器(以下医薬品)の安全性への信頼に疑問が投げかけられつつある今日(タミフルの精神・神経症状問題、薬害肝炎問題等)、その適切な情報提供は喫緊の課題である。患者/消費者に対しては、医薬品のベネフィットとリスクの科学的不確実性のバランスの十分な対話が必要であるが、副作用(安全性)情報のリスクコミュニケーション(以下リスコミ)は実体化していない。一方、医療関係者に対しても、従来の緊急安全性情報等の安全性情報等の提供だけでは情報伝達や共有が不十分(自己血糖測定用穿刺器具の使い回し問題等)である。米国では、FDA改革法(FDAAA、2007年)等の立法化で、患者/消費者への医薬品安全性の情報提供が強化された。本研究では、医薬品安全性情報について、欧米の取り組みに学びつつ、患者/消費者および医療者に対するリスコミのあり方を検討した。
研究方法
本年度は以下を各論的に進めた。
1.諸外国の患者/消費者および医療関係者への医薬品の安全性情報提供の調査(米国FDA視察、リスコミ諮問員会オブザーバー参加、海外文献調査)
2.医薬品の安全性情報に関するヘルスリテラシーの向上・支援の取組み調査(くすりの適正協議会のくすりのコンコーダンス、聴覚障害者への情報提供手法の検討等)
3.医薬品安全性の情報提供の意識調査(患者/消費者、薬剤師/医師)
4.マスコミ関係者との意見交換や調査による適切な安全性情報の伝達手法の検討
5.医薬品のリスク/クライシスコミュニケーションの検討

結果と考察
本年度の特筆すべき成果として、WHO Uppsala Monitoring Centreによる「最悪の事態に備えて-医薬品に関する危機予測とその防止および管理, 第1版(2003年)」の飜訳と、NPO日本患者会情報センター所属団体(アラジーポット)の協力による「専門医と家族が一緒に作った小児ぜんそくハンドブック2008」の「同ネット版」コンテンツ作成がある。
本研究のこれらの検討や、班員ネットワークが母体となって、行政、製造者・供給者、医療関係者、患者/消費者、マスコミ等が複眼的視点で関与する「安全確保システム」を整備に向けた継続的な対話の基盤となることが望まれる。
結論
本研究を通して、わが国の医薬品における安全性情報について、患者・消費者および医療関係者に対するリスコミが進展し、患者参加の対話型医療(Shared Decision Making)の実現が期待される。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-