輸血用血液製剤に対する副作用を生じない病原体不活化技術の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200940060A
報告書区分
総括
研究課題名
輸血用血液製剤に対する副作用を生じない病原体不活化技術の開発に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-014
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 川崎 ナナ(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 石井 明子(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、輸血用血液製剤の安全性のさらなる向上に有用と考えられているウイルス等病原体不活化技術について、不活化処理が輸血用血液製剤の有効成分に与える影響を明らかにすると共に、我が国での導入の検討が進んでいるリボフラビン等の不活化技術について、導入に当たっての評価要件を明らかにすることを目的とする。
研究方法
1)輸血用血液製剤に含まれる有効成分のモデルとして血液凝固第VIII因子を選択し、LC/MS/MSを用いたペプチドマッピングを行った。2)薬事・食品衛生審議会の議事録及び配布資料、科学雑誌に掲載された論文、開発企業からの公開情報から、不活化剤の有効性及び安全性に関する情報を収集評価した。
結果と考察
1)不活化処理がタンパク質の一次構造や翻訳後修飾に与える影響の解析:光化学反応を利用したウイルス不活化処理が輸血用血液製剤の有効成分に与える影響を明らかにする目的で、初年度は、ウイルス不活化処理前の血液凝固第VIII因子を試料として、LC/MSを用いてペプチドマッピングを行い、約65%のアミノ酸配列並びに18カ所のN結合型糖鎖及び10カ所のO結合型糖鎖を確認した。
2)リボフラビン法の有効性・安全性に関する検討:初年度は血小板製剤への導入が検討されているリボフラビンを用いたウイルス等病原体不活化技術を取り上げ、病原体不活化能と血小板への影響に対する調査研究を行った。リボフラビンによる病原体不活化技術は、検査が実施されていない病原体による有害事象発生のリスク低減に資するものであると考えられるものであること、また、不活化処理後に生じる血小板のp-セレクチン陽性率の上昇については、p-セレクチン陽性の血小板を投与することの安全性を評価すると共に、血小板活性化につながる製剤成分の変化について検討する必要があることを明らかにした。
結論
1)血液凝固第VIII因子をモデルタンパク質として、不活化処理がタンパク質一次構造や翻訳後修飾に及ぼす影響を解析するために必要なペプチドマップデータを取得した。
2)血小板製剤への導入が検討されているリボフラビン法について、導入の可否判断には、不活化処理に伴い生じる血小板活性化の安全性への影響評価と、血小板活性化につながる製剤成分の変化に関する検討が必要であることを明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-