がん患者とその家族の社会的課題への理解と支援に向けた総合的アプローチ

文献情報

文献番号
202407049A
報告書区分
総括
研究課題名
がん患者とその家族の社会的課題への理解と支援に向けた総合的アプローチ
研究課題名(英字)
-
課題番号
24EA1003
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
本多 和典(愛知県がんセンター 薬物療法部、がん予防研究分野)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
3,860,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、がん治療や療養に伴う経済的不安・負担(経済毒性)が、患者および家族に与える影響を可視化し、これらに対する効果的な支援策を開発・実装することを目的とした。経済的理由による治療中断や生活困難は患者のQOLに重大な影響を及ぼすにもかかわらず、現場における支援体制は依然として不十分な状況にある。
全国規模の実態調査を通じて、現場における支援体制の現状と課題を明らかにするとともに、自己負担額概算ツールや支援資材の開発、そしてそれらを医療現場に実装するための体制整備を進め、患者の経済的不安を軽減する仕組み作りを目指した。
研究方法
全国のがん診療連携拠点病院等に勤務する医療従事者を対象に、経済的支援の体制・内容・課題等に関するWebアンケート調査を実施し、全47都道府県171施設より233名(専従・専任相談員79.4%)から回答を得た。
結果と考察
主な結果は以下の通りである。
• 日常的に経済的相談に対応している医療者が多数を占めた。
• 高額療養費制度、傷病手当金、就労相談窓口などの情報提供は8割以上が対応可能と回答。
• 一方で、家計見直し支援機関、患者支援団体、基金の紹介などは3割未満にとどまった。
• 支援上の課題としては、
 - 患者の職場理解不足(73.0%)
 - 患者背景に応じた個別対応の困難さ(70.4%)
 - 医療機関のリソース不足(70.0%)
が多く挙げられた。
• 患者・家族に「届いていない」「足りていない」と感じる情報として、
 - 就労支援情報(80.3%)
 - 医療費見通し(78.1%)
 - 高額療養費以外の公的制度利用法(76.8%)
が多かった。
さらに探索的検討により、がん相談経験年数が短い相談員では支援可能な内容が少ないこと、大都市圏やがん専門病院勤務者では課題意識が高い傾向も確認された。
結論
本研究は、がん患者の経済毒性に対する現場支援の実態と課題を全国規模で明らかにし、それに対応する支援資材・ツールを開発、現場での試験運用を行うことに成功した。自己負担額の事前把握や支援制度案内の充実は、患者の経済的不安軽減、治療継続支援、QOL向上に寄与する可能性が示された。
今後は実装規模を拡大し、患者一人ひとりの経済的背景に応じた個別最適な支援体制構築を目指すとともに、医療現場・行政双方への普及促進を図っていく。

公開日・更新日

公開日
2026-05-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
202407049Z