ワクチンの品質確保のための国家検定手法の国際協調に関する研究

文献情報

文献番号
200940056A
報告書区分
総括
研究課題名
ワクチンの品質確保のための国家検定手法の国際協調に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-010
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 治雄(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 倉根 一郎(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 荒川 宜親(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 加藤 篤(国立感染症研究所 ウイルス第三部)
  • 和田 昭仁(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 高橋 元秀(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 浜口 功(国立感染症研究所 血液・安全性研究部 )
  • 内藤 誠之郎(国立感染症研究所 検定検査品質保証室)
  • 落合 雅樹(国立感染症研究所 検定検査品質保証室)
  • 佐々木 次雄(独)医薬品医療機器総合機構 品質管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,140,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
WHOは各国のワクチンのロットリリース体制の調査及び評価を行った結果を踏まえ、WHOガイドライン案(WHO-GL)を作成し、ロット毎のサマリーロットプロトコル(SLP)評価とGMP査察の検証を両輪とする品質保証制度に基づくロットリリースのあり方を示した。現在、日本が実施している検定制度(試験による品質確認)との間には違いがあり、SLP評価の実施とGMP査察との連携による品質保証制度の確立とその充実を求めている。我が国においてもワクチンの安全・安心の更なる保証のためにロットリリース体制の充実は不可欠である。そこで、ワクチンの品質確保のための国家検定のあり方について提言を行うことを目的に研究を行った。
研究方法
厚生労働省からGMP調査業務の委嘱を受けている医薬品医療機器総合機構(機構)及び検定機関である国立感染症研究所(感染研)との連携をとりつつ、WHO-GLに示されたロットリリース体制、諸外国におけるロットリリース体制との比較分析を行い、国際調和に向けての我が国の検定制度のあり方を検討した。
結果と考察
WHO-GLは、ロットリリースについて国際的に統一的な基盤的概念を各国に示した教書であり、各国では可能な限りの対応が求められる。本研究班の成果として、WHO-GLにはSLPの運用だけでロットリリースを行う場合も示されているが、我が国では現行の国家検定で実施している試験は確認試験としての必要性があるとの前提で、SLP評価も取り入れるダブルチェック体制を行うべきであるという意見が示された。まずはSLP評価制度を導入し、製剤品質の均一性に関するデータを蓄積しながら、科学的根拠に基づき検定項目の削減を漸次行い、最終的には全ロット試験から試験頻度を下げる案も出された。SLP評価の実施機関としては、製剤の内容や試験法の詳細に堪能である感染研が担当すべきとの意見が大勢を占めた。ただし、SLP評価の導入には人材育成を含め課題もあるので、今後整理し解決に向けた努力が必要である。
結論
我が国の生物製剤の品質保証制度のあり方として、国際的調和を視野に入れる必要がある。また、WHO-GLで要求されるSLP評価を含むロットリリースの導入に向け、実施機関として現時点では感染研がふさわしいこと、導入には各機関(厚生労働省、機構)との緊密な連携が必要であること、法令上整備すべき点があることがあげられた。

公開日・更新日

公開日
2010-05-11
更新日
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