文献情報
文献番号
202407041A
報告書区分
総括
研究課題名
誰一人取り残さないがん対策における格差のモニタリングと要因解明に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23EA1034
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 ゆり(大阪医科薬科大学 総合医学研究センター医療統計室)
研究分担者(所属機関)
- 藤 也寸志(国立病院機構 九州がんセンター)
- 中谷 友樹(東北大学 大学院環境科学研究科)
- 片岡 葵(神戸大学 医学研究科未来医学講座分子疫学分野)
- 澤田 典絵(倉橋 典絵)(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所コホート研究部)
- 田中 宏和(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所 データサイエンス研究部 サーベイランス研究室)
- 西岡 大輔(京都大学大学院医学研究科 社会的インパクト評価学講座)
- 福井 敬祐(大阪医科大学 研究支援センター)
- 藤阪 保仁(大阪医科薬科大学 医学部 内科学講座腫瘍内科学)
- 花房 真理子(武村 真理子)(国立がん研究センター がん対策研究所 コホート研究部)
- 釆野 優(京都大学 医学部付属病院 腫瘍内科)
- 本多 和典(愛知県がんセンター 薬物療法部、がん予防研究分野)
- 久村 和穂(石川 和穂)(金沢医科大学 医学部 公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
5,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
第4期がん対策推進基本計画では「誰一人取り残さないがん対策」に取り組むことが掲げられた。多様な背景を持つ患者、家族、国民に対し、予防・検診・医療・共生の各分野のがん対策において、アウトカムの格差を縮小し改善を行うということを目指すものである。これまで、困窮度の高い地域でがん死亡率が高く、全死因における格差に占める各死因別の寄与度もがん死亡が最大であり、日本の健康格差対策はがんにおける格差への対応が肝要であることが明らかとなった。
本研究では第4期がん対策推進基本計画において、国・都道府県が評価していくロジックモデルの各指標を社会経済的要因ごとにモニタリングし、格差の状況を把握する。また、各種社会環境指標やアウトプット指標との関連によりアウトカム指標の格差の要因分析を行い、「取り残されている集団」を特定し、介入につながる分析を行う。第4期計画の中間評価、最終評価時に格差が縮小し、全体として指標が改善しているかをモニタリングする上で、評価指標および目標値の設定も検討する。
本研究では第4期がん対策推進基本計画において、国・都道府県が評価していくロジックモデルの各指標を社会経済的要因ごとにモニタリングし、格差の状況を把握する。また、各種社会環境指標やアウトプット指標との関連によりアウトカム指標の格差の要因分析を行い、「取り残されている集団」を特定し、介入につながる分析を行う。第4期計画の中間評価、最終評価時に格差が縮小し、全体として指標が改善しているかをモニタリングする上で、評価指標および目標値の設定も検討する。
研究方法
A. 現状で計測可能なモニタリング
死亡率、罹患率、生存率などの最終アウトカム指標について、人口動態統計および全国がん登録を使用して格差のモニタリングを行う。国民健康栄養調査や国民生活基礎調査、院内がん登録+DPC、患者体験調査、NDBなどに関しても二次利用により個別データを入手し、分析を行う。
B. 今後計測が必要な指標の提案
医療分野における標準治療実施割合や、がんゲノム医療の普及、緩和医療関連の指標など、院内がん登録+DPCや全国がん登録、NCD、また自治体の保有するレセプトデータなどを有機的に活用することにより計測可能になる指標について整理を行い、データを入手次第、必要なものを計測する。
共生の分野では、現行の患者体験調査を精査し、海外でValidateされた測定指標(COST)などを用いた計測や就労に関する独自調査の必要性について検討・提案する。
II. 格差の要因分析
A. 格差の大きいサブグループの同定
格差モニタリングを地域、性別、年齢等により層別解析を行う。関連研究班や協議会メンバー、自治体関係者と結果を共有した。次年度以降、機械学習などの統計手法(SIDES法など)を用いて、格差が大きい集団や介入に対する反応の異質性を検討する。
B. 関連要因の探索
上記、結果を踏まえて、各種指標と地域の社会環境指標や自治体の取り組みと格差の変化に関しての関連を分析する。これらの指標間の関連に関して、アウトカムに関連する各種要因の寄与度に関して、媒介分析(Mediation analysis)や樹木構造接近法などを適用し、格差を説明する要因を特定し、格差縮小に向けた介入の提案につなげる。格差縮小に関する介入に関しては海外事例を日本での実施可能性も含めて紹介・検討を行う。
死亡率、罹患率、生存率などの最終アウトカム指標について、人口動態統計および全国がん登録を使用して格差のモニタリングを行う。国民健康栄養調査や国民生活基礎調査、院内がん登録+DPC、患者体験調査、NDBなどに関しても二次利用により個別データを入手し、分析を行う。
B. 今後計測が必要な指標の提案
医療分野における標準治療実施割合や、がんゲノム医療の普及、緩和医療関連の指標など、院内がん登録+DPCや全国がん登録、NCD、また自治体の保有するレセプトデータなどを有機的に活用することにより計測可能になる指標について整理を行い、データを入手次第、必要なものを計測する。
共生の分野では、現行の患者体験調査を精査し、海外でValidateされた測定指標(COST)などを用いた計測や就労に関する独自調査の必要性について検討・提案する。
II. 格差の要因分析
A. 格差の大きいサブグループの同定
格差モニタリングを地域、性別、年齢等により層別解析を行う。関連研究班や協議会メンバー、自治体関係者と結果を共有した。次年度以降、機械学習などの統計手法(SIDES法など)を用いて、格差が大きい集団や介入に対する反応の異質性を検討する。
B. 関連要因の探索
上記、結果を踏まえて、各種指標と地域の社会環境指標や自治体の取り組みと格差の変化に関しての関連を分析する。これらの指標間の関連に関して、アウトカムに関連する各種要因の寄与度に関して、媒介分析(Mediation analysis)や樹木構造接近法などを適用し、格差を説明する要因を特定し、格差縮小に向けた介入の提案につなげる。格差縮小に関する介入に関しては海外事例を日本での実施可能性も含めて紹介・検討を行う。
結果と考察
令和6年度は、入手済の各種データに基づくがんアウトカム指標における格差のモニタリングを行った。また、計測できていない格差指標に関しては複数のデータベースを用いた計測の可能性や使用する地域指標の妥当性について検討を行った。分野別アウトカムの格差や要因分析については、予防分野において、一部自治体データによるHPVワクチン接種が地域の困窮度や医療機関へのアクセスが関連していることを報告した。がん検診については、市区町村別のデータによる地域指標との関連を子宮頸がん、乳がん等で分析を行い、分野別アウトカムにおける格差との関連を報告した。医療分野においてはDPCデータによる大腸がん緊急入院をアウトカムとした地域の困窮度による格差の分析を行った。また、肺がん、膵がん、乳がん等の生存率などの各種アウトカム指標と地域の困窮度との関連を分析した。共生の分野においては経済毒性の発生要因の分析や緩和ケアへの認識の格差について報告した。また、中高年独居がん患者が経験する心理社会的問題に関する調査の詳細分析を行った。
今後、各指標間の関連や格差の要因分析を進め、格差対策に寄与する介入を諸外国の事例などを踏まえて検討していく。
今後、各指標間の関連や格差の要因分析を進め、格差対策に寄与する介入を諸外国の事例などを踏まえて検討していく。
結論
R6年度は入手したデータに基づき、格差のモニタリングおよびその要因分析を行った。最終アウトカム指標の格差が各分野別アウトカムや中間アウトカム、アウトプット指標の格差との関連や要因についてさらなる検討が必要である。今後、諸外国の事例などを通した介入施策をまとめて、Factsheetにまとめ、第4期がん対策推進基本計画の実施及び評価における格差対策に役立てる資料を作成する。
公開日・更新日
公開日
2026-02-19
更新日
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