文献情報
文献番号
200940053A
報告書区分
総括
研究課題名
国際共同治験を前提としたGCP等の治験制度及びその運用のあり方に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 裕司(浜松医科大学 臨床薬理学)
研究分担者(所属機関)
- 景山 茂(東京慈恵会医科大学 薬物治療学)
- 楠岡 英雄((独)国立病院機構大阪医療センター)
- 小林 真一(聖マリアンナ医科大学 薬理学)
- 大橋 京一(大分大学医学部 臨床薬理学)
- 熊谷 雄治(北里大学医学部 薬理学)
- 小野 俊介(東京大学大学院薬学系研究科医薬品評価科学講座)
- 藤原 康弘(国立がんセンター中央病院 臨床試験・治療開発部)
- 斉藤 和幸((独)医薬品医療機器総合機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は最近のわが国における国際共同治験の実態を調査し、規制当局、依頼製薬企業、治験実施医療機関、治験担当医師の抱える課題を整理するとともに、その解決の為に求められるGCP等の治験制度及びその運用のあり方を提案する事を目的とした。
研究方法
日本の治験環境を理解し、実際に国際共同治験に関わる各分野の専門家が、計5回の研究班会議を通じて、コンセンサス形成手法により最終的な提言をまとめた。また、Webを通じて治験中核拠点病院等協議会参加の病院(54施設)と独立行政法人国立病院機構に所属する病院(145施設)を対象としたアンケート調査を実施し、実態把握の資料とした。
結果と考察
国際共同治験を前提としたGCP等の運用のあり方に関して、「治験の依頼等に係る統一書式」における、書式4: 治験審査依頼書、書式6: 治験実施計画書等修正報告書、書式9: 緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する通知書、書式10: 治験に関する変更申請書、書式11: 治験実施状況報告書、書式16: 安全性情報に関する報告書、以上の書式は医療機関の長を介することなく、治験責任医師の名の下に行えるよう提案する。さらに、症例報告書の見本は、実施医療機関の長への事前提出書類及び治験審査委員会の審査対象から除外する事も提案したい。
国際共同治験を推進する背景となったドラッグラグは、製薬企業が限られた資源の中で、先行する海外の試験結果を見据えながら成功確率高く医薬品開発を進める事にも起因していた。現在、日本の医薬品産業就業人口は減少傾向にあり、根本的問題は解消されていない。今後さらには低コストで患者集積性の高いアジア諸国へ後期相の国際共同試験は移行する事が危惧される。日本は優れた医療環境や設備を有効に活用し、高品質で付加価値の高い臨床試験に戦略的に取り組む必要がある。
国際共同治験を推進する背景となったドラッグラグは、製薬企業が限られた資源の中で、先行する海外の試験結果を見据えながら成功確率高く医薬品開発を進める事にも起因していた。現在、日本の医薬品産業就業人口は減少傾向にあり、根本的問題は解消されていない。今後さらには低コストで患者集積性の高いアジア諸国へ後期相の国際共同試験は移行する事が危惧される。日本は優れた医療環境や設備を有効に活用し、高品質で付加価値の高い臨床試験に戦略的に取り組む必要がある。
結論
本研究の提案に基づく制度改正は国際共同治験の障壁の少なくとも一部を取り除くことになり、国際共同治験の円滑な実施に役立つものと考えられる。後期II相/第III相の検証的国際共同治験は着実に国内に浸透してきたが、アジア諸国間での厳しい国際競争に直面している。今後は、早期探索的な試験に積極的に取り組み、後期相の国際共同治験には、科学的根拠に基づきプロトコール作成段階から参加可能となるような取り組みが求められる。目的に応じ規制当局への治験相談を積極的に活用し、承認審査を円滑に進める事も望まれる。
公開日・更新日
公開日
2010-05-27
更新日
-