がんのリハビリテーション、およびリンパ浮腫診療の一層の推進に資する研究

文献情報

文献番号
202407026A
報告書区分
総括
研究課題名
がんのリハビリテーション、およびリンパ浮腫診療の一層の推進に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23EA1019
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
辻 哲也(慶応義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 酒井 良忠(神戸大学大学院医学系研究科 リハビリテーション機能回復学)
  • 幸田 剣(和歌山県立医科大学医学部リハビリテーション医学講座)
  • 田沼 明(順天堂大学 医学部附属静岡病院)
  • 秋田 新介(千葉大学 医学部附属病院)
  • 保田 知生(独立行政法人地域医療機能推進機構 星ヶ丘医療センター  血管外科)
  • 高倉 保幸(埼玉医科大学 保健医療学 理学療法学科)
  • 井上 順一朗(神戸大学医学部附属病院国際がん医療・研究センター リハビリテーション部門)
  • 小林 毅(千葉県立保健医療大学健康科学部)
  • 櫻井 卓郎(国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科)
  • 杉森 紀与(東京医科大学病院 リハビリテーションセンター)
  • 阿部 恭子(東京医療保健大学 千葉看護学部)
  • 増島 麻里子(千葉大学 大学院看護学研究院)
  • 栗原 美穂(厚生労働省 医政局 医療経営支援課)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
8,294,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん患者では治療や病状の進行に伴い生活機能に障害を来し生活の質が低下することから、リハビリテーション(以下、リハ)の重要性が指摘されている。がんリハの均てん化のためにはリハを提供する側の資質の向上が必要であることから、H30年~R3年度に「厚労科研補助金(がん対策)がんリハビリテーションの均てん化に資する効果的な研修プログラムの策定のための研究」が実施され、医療従事者が研修を受講できる体制の構築や研修プログラムの策定が行われ体制整備を進めてきた。今後は、がん診療連携拠点病院等の医療機関や外来、在宅医療等においても実施できる体制の構築が求められている。一方、がん治療後に生じるリンパ浮腫については、がんリハの一環として上述の研究班において医療従事者の資質の向上のための研修体制やプログラムの整備がなされてきたが、実際に診療を行っている全国の医療機関に関する情報へのアクセスに課題があることが指摘されている。
本研究では、様々な診療の場面においてがんリハを適切に提供するためのアルゴリズムに基づいた判断支援ツール(Cancer Rehabilitation in Decision Support Algorithm: CARDS)を開発、がん診療連携拠点病院等で有効性を検証し、普及させる体制を提案すること、および全国のリンパ浮腫診療について、実態の把握と各地域における診療ネットワークの構築および診療ネットワーク情報をわかりやすい形で公開することを目的とする。
研究方法
3年間の計画で、CARDSを開発し、その有効性をデルファイ法を用いて検証し、CARDSを活用したがんリハの提供体制を提案する。また、全国のリンパ浮腫診療の実施施設にアンケート調査を実施し、診療実態の把握と効果的な診療ネットワークの構築、およびその情報の可視化し公開する。
結果と考察
令和5年に、がんリハおよびリンパ浮腫診療に関するエキスパートコンセンサスを得るプラットホームとして、がんリハビリテーション・リンパ浮腫診療ネットワークコンソーシアムを設立し、令和6年には、第2回総会を開催した。2025年3月末現在、委員は73名(35団体)から構成される組織に成長した。
普及啓発・教育活動として、がんリハの治療レベル別およびリンパ浮腫診療に関する動画コンテンツの作成を継続した。また、医療者向けの研修会を実施するとともに国際カンファレンスを開催した(愛媛県松山市)。
CARDSに関しては、令和5年にCARDS試案を作成、令和6年には、その有効性を検証するために、がんリハに関わるエキスパート約100名を対象にデルファイ法を実施し、その結果を分析しCARDSが完成した。
がんのリハビリテーション診療ガイドライン第3版に関しては、日本リハビリテーション医学会診療ガイドライン委員会と協働でシステマティックレビューチームを組織し、策定作業を継続した。
全国のリンパ浮腫診療についての実態調査に関しては、令和5年に全国がん診療連携拠点病院およびリンパ浮腫診療の関連学会会員へのアンケート調査を実施、令和6年には、地域における診療ネットワークの構築を目的に、ホームページ上で検索可能な診療マップの公開に向けシステムを整備した。
R6年には、コンソーシアムの運営、普及啓発・教育活動、CARDS策定、診療ガイドライン策定、リンパ浮腫診療実態調査の論文投稿、診療マップのシステム整備ともに、研究は、交付申請時に策定した計画に従い、遅滞なく着実に実施された。
本研究課題により、CARDSが普及し、入院から外来・地域へシームレスな提供体制が整備され、また、各地域のリンパ浮腫診療ネットワークが構築されリンパ浮腫診療を行う施設の情報が患者や医療従事者に分かりやすい形で公開する取り組みは、国の施策と合致する。さらに、がんリハやリンパ浮腫研修のような標準化された研修が全国展開され、がん診療連携拠点病院等で実践されている国は他にはなく、我が国の研修システムは国際的にも最先端である。本研究は次のステップとして、その体制を在宅医療や外来へ展開するものである。欧米のみならず、今後がんが重要な社会問題となっていくアジア諸国に対しても、日本がリーダーシップを発揮することが求められており、その役割は極めて重要である。
結論
本研究課題では、がん診療連携拠点病院等における入院・外来等の様々な場面で、がんリハを効果的に実施するためのアルゴリズムの作成し、その有効性に関する検証すること、がん診療連携拠点病院等を中心としたリンパ浮腫の診療体制の実態の把握、効果的な診療体制のネットワークを構築し、リンパ浮腫の診療を行う施設等に関する情報を患者や医療従事者に分かりやすい形での公開することを目的とし実施中である。令和6年には、研究は交付申請時の計画どおり遅滞なく進んでいる。

公開日・更新日

公開日
2026-03-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-03-05
更新日
-

収支報告書

文献番号
202407026Z