文献情報
文献番号
202407024A
報告書区分
総括
研究課題名
小児・AYA世代のがん経験者の健康アウトカムの改善および根治困難ながんと診断されたAYA世代の患者・家族の生活の質の向上に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23EA1017
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
清水 千佳子(国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター)
研究分担者(所属機関)
- 一戸 辰夫(京都大学医学部附属病院 血液・腫瘍内科)
- 小澤 美和(聖路加国際病院 小児科)
- 川崎 優子(兵庫県立大学 看護学部)
- 菅家 智史(福島県立医科大学 医学部地域・家庭医療学講座)
- 小島 勇貴(国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科)
- 坂本 はと恵(国立研究開発法人国立がん研究センター東病院 サポーティブケア室)
- 桜井 なおみ(キャンサー・ソリューションズ株式会社)
- 下村 昭彦(国立国際医療研究センター病院 乳腺・腫瘍内科)
- 鈴木 直(聖マリアンナ医科大学 医学部)
- 多田 雄真(大阪国際がんセンター 血液内科)
- 中田 佳世(山田 佳世)(大阪国際がんセンター がん対策センター 政策情報部)
- 前田 尚子(国立病院機構名古屋医療センター小児科)
- 丸 光惠(東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科 国際看護開発学)
- 向井 幹夫(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター 成人病ドック科)
- 森 雅紀(聖隷三方原病院 放射線治療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
8,740,000円
研究者交替、所属機関変更
【所属機関名変更】
研究代表者清水千佳子、分担研究者下村昭彦
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター(~令和7年3月31日)
→国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター(令和7年4月1日~)
【所属機関異動】
研究分担者 丸光惠
兵庫県立大学・看護学部・小児看護学(~令和7年3月31日)
→ 東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科・国際看護開発学(令和7年4月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、思春期・若年成人(AYA)世代および成人期に達した小児がん経験者(CCS)のがんに関する長期的健康管理体制の整備と、根治困難ながんを有するAYA世代患者・家族の生活の質向上に資する政策提言である。第一に、CCSおよびAYA世代がん経験者(AYA-CS)の晩期合併症や心理社会的課題に対応するための包括的健康管理のあり方を多角的に検討する。第二に、終末期を含む療養過程における患者・家族の実態とニーズを明らかにし、地域資源の活用や支援体制の課題を抽出する。これらの成果をもとに、多職種・他領域での議論を通じて、必要な政策提言を行う。
研究方法
本研究は、成人期の小児がん経験者(CCS)およびAYA世代がん経験者(AYA-CS)の健康管理および、進行・再発がん患者とその家族に対する支援施策に関する多面的検討を目的とした複数の研究課題から構成される。リアルワールドデータ(保険請求データ、全国がん登録等)を用いた医療資源の利用実態や合併症の検討、移行期医療に関するWeb調査・インタビュー調査、健診事業のモデル開発、トランジション支援の評価尺度開発を行った。また、在宅療養支援、ACP、相談支援等に関する自治体・医療機関・患者団体を対象としたアンケート調査、遺族調査、前向き観察研究等を実施し、各段階に応じた支援の実態と課題を多角的に分析した。
結果と考察
本研究は、小児がん経験者(CCS)およびAYA世代がん経験者(AYA-CS)の成人期における包括的健康管理体制の構築を目的としている。小児がん治療施設調査によれば、CCSが完全に成人診療科へ移行できている例は少なく、スムーズな移行には小児科の準備とともに、成人診療側の理解と協力が不可欠である。
国立国際医療研究センター(NCGM)では、移行支援外来の設置、小児科との合同カンファレンス、AYA支援チームの早期介入による包括的支援モデルが構築されており、福島県立医科大学は地域診療医との連携、広島大学は造血幹細胞移植後の専門外来を活用するモデルを展開している。今後、他施設への展開には人材育成やカンファレンスの標準化、移行医療の評価指標整備が求められる。
大阪府の健診事業は、晩期合併症リスクを抱える小児・AYAがん経験者への経済的負担を軽減する先進的な試みだが、効果の検証や高リスク群との整合性確保など今後の課題が多い。さらに、都道府県調査では自治体間の取り組みに格差があり、小児・AYA世代に特化した協議体が存在しない自治体も多い。AYA世代は医療のみならず、教育・就労・社会的孤立といった課題を抱えており、自治体による包括的支援体制の構築が望まれる。また、限られた対象に効率的に支援を行うため、がん対策と生殖医療政策との連動が有効と考えられる。
一方、根治困難ながんと診断されたAYA世代患者・家族の生活の質向上に向けた施策については、都市部と地方の格差が明らかとなった。がん相談員による調査では、AYA世代の相談経験が少なく、支援スキル向上や多職種連携の強化が求められている。また、遺族調査からは、患者の予後認識が終末期における医療者との対話に影響を与えることが判明し、医療従事者に対するend-of-lifeディスカッションに関する教育が必要であることが示唆された。
患者会の調査では、心理・情緒面の複雑さやピアサポートの限界、社会的資源の不足が課題として挙げられ、医療機関と地域支援者との連携基盤の構築が求められている。さらに、自治体による支援事業はAYA世代人口の多寡によって整備状況に差があり、制度設計や支援内容のばらつきが利用障壁となっている。特に経済的課題は深刻であり、今年度開始された前向き研究により、サービスの利用実態やニーズの検証が進められる予定である。
国立国際医療研究センター(NCGM)では、移行支援外来の設置、小児科との合同カンファレンス、AYA支援チームの早期介入による包括的支援モデルが構築されており、福島県立医科大学は地域診療医との連携、広島大学は造血幹細胞移植後の専門外来を活用するモデルを展開している。今後、他施設への展開には人材育成やカンファレンスの標準化、移行医療の評価指標整備が求められる。
大阪府の健診事業は、晩期合併症リスクを抱える小児・AYAがん経験者への経済的負担を軽減する先進的な試みだが、効果の検証や高リスク群との整合性確保など今後の課題が多い。さらに、都道府県調査では自治体間の取り組みに格差があり、小児・AYA世代に特化した協議体が存在しない自治体も多い。AYA世代は医療のみならず、教育・就労・社会的孤立といった課題を抱えており、自治体による包括的支援体制の構築が望まれる。また、限られた対象に効率的に支援を行うため、がん対策と生殖医療政策との連動が有効と考えられる。
一方、根治困難ながんと診断されたAYA世代患者・家族の生活の質向上に向けた施策については、都市部と地方の格差が明らかとなった。がん相談員による調査では、AYA世代の相談経験が少なく、支援スキル向上や多職種連携の強化が求められている。また、遺族調査からは、患者の予後認識が終末期における医療者との対話に影響を与えることが判明し、医療従事者に対するend-of-lifeディスカッションに関する教育が必要であることが示唆された。
患者会の調査では、心理・情緒面の複雑さやピアサポートの限界、社会的資源の不足が課題として挙げられ、医療機関と地域支援者との連携基盤の構築が求められている。さらに、自治体による支援事業はAYA世代人口の多寡によって整備状況に差があり、制度設計や支援内容のばらつきが利用障壁となっている。特に経済的課題は深刻であり、今年度開始された前向き研究により、サービスの利用実態やニーズの検証が進められる予定である。
結論
小児・AYA世代がん経験者の長期的な健康管理と、根治困難ながんと診断されたAYA世代患者・家族のニーズに対する具体的な施策について政策提言を行うことを目標に、調査研究を実施した。次年度、これらの成果を取りまとめ、政策提言を行う予定である。
公開日・更新日
公開日
2026-03-03
更新日
-