季節性インフルエンザワクチン及び新規製法によるインフルエンザワクチンに対応した新しい迅速安全性評価法の開発と標準化への検討

文献情報

文献番号
200940047A
報告書区分
総括
研究課題名
季節性インフルエンザワクチン及び新規製法によるインフルエンザワクチンに対応した新しい迅速安全性評価法の開発と標準化への検討
課題番号
H21-医薬・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
百瀬 暖佳(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 浜口 功(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
  • 持田 恵子(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 大隈 和(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
  • 板村 繁之(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
インフルエンザワクチンはシーズンに間に合うよう、短期間のうちに製造、出荷、国家検定を終える必要があり、高精度でかつ迅速な安全性試験法の開発が求められている。現在までに我々は、インフルエンザワクチンの新しい安全性試験法として、遺伝子発現変動を指標とする品質管理の可能性を示した。本研究課題ではインフルエンザワクチンの品質管理に有効なマーカー遺伝子を迅速・簡便に測定できる系の開発を行い、その試験妥当性を検討することを目的とする。
研究方法
我々が同定した約20のマーカー遺伝子を用い、簡易な迅速検出系の開発に向けて、全マーカー遺伝子の発現を1試験管内で定量可能なQuantiGene Plex (QGP)法導入のためのバリデーションを行った。また、動物安全性試験が遺伝子発現解析法に代替できるか検討する予備検討の一環として、マウス白血球数減少試験の精度評価を行った。
結果と考察
全粒子ワクチン及び季節性インフルエンザワクチン接種後1日目のラット肺組織より精製したRNAを用いた解析から、QGP法による遺伝子発現定量が可能であることを示した。QGP法とDNAマイクロアレイ法による結果は同等であり、QGP法導入の可能性は大きい。また、インフルエンザHAワクチン接種ラットにおける遺伝子発現解析を行ったところ、ワクチンが生体に与える微細な変化を鋭敏に捉えることが明らかとなった。さらに、インフルエンザHAワクチンの安全性評価としてのマウス白血球数減少試験に関して精度の再評価を行い、現行のマウス系統、週齢で合否判定基準0.2 U/mLが再現性良く測定できることを確認した。小分け製品の3倍濃度相当の高濃度ワクチン液を用いた試験において、有意なマウス白血球数減少活性は認められず、現行の小分け製品による本試験を、高濃度原液を用いた試験に変更する可能性が示唆された。
結論
インフルエンザHAワクチンの新規安全性試験として、QGP法が導入できうることを示した。さらにQGP法による遺伝子発現解析は、現行の安全性試験法(異常毒性否定試験)と同等以上の感度を持つことを明らかにした。また、マウス白血球数減少試験に関しては、マウス系統、週齢の変更による精度向上は見込めないことが判明した。白血球数減少を引き起こす活性はインフルエンザHAワクチンにはほとんど存在しないことが示唆され、本試験は高濃度ワクチン液について実施することが妥当であると判断された。

公開日・更新日

公開日
2010-06-02
更新日
-