ヒト幹細胞を用いた細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200940046A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト幹細胞を用いた細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保のあり方に関する研究
課題番号
H20-医薬・一般-028
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
早川 堯夫(近畿大学 薬学総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 梅澤 明弘(国立成育医療センター 生殖医療研究部)
  • 山中 伸弥(京都大学 物質-細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター)
  • 小澤 敬也(自治医科大学 医学部 内科学講座血液学部門)
  • 大和 雅之(東京女子医科大学 医学部 先端生命医科学)
  • 澤 芳樹(大阪大学大学院 医学系研究科 外科学講座 心臓血管外科学)
  • 山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 松山 晃文(財団法人先端医療振興財団先端医療センター研究所 膵島肝臓再生研究グループ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、ヒト幹細胞の細胞・組織加工医薬品等への利用に関して、学問・技術の進歩、倫理上の重要ポイント、国際的動向等を調査・検討し、適切な安全性評価基準の作成や規制のあり方を行政的に検討することを目的とする。
研究方法
昨年度の研究結果から、ヒト間葉系幹細胞等を中心とする体性幹細胞、iPS細胞、ES細胞などに由来する製品の薬事法下での臨床応用に向けて、研究・開発、確認申請、評価等を効率的、効果的、合理的に行う上で、必要と思われる技術、製造方法、特性解析方法、品質管理方法及び安定性評価に関する具体的留意事項、並びに安全性及び有効性に関する各種データとしてどのようなものがあるかに関しては、これらの3種類の原料細胞それぞれに特化した形でまとめる方向性が打ち出された。
 この方向性と科学的原則の一貫性という観点から、本年度は、2008年2月に通知されたヒト自己由来細胞・組織加工医薬品等全般に関する指針「ヒト(自己)由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針(薬食発第0208003号)」をベースとして研究を行った。
結果と考察
特に留意すべき点として以下が挙げられた。(1)体性幹細胞について原材料として有用なstemnessを有することの立証や元来とは異なる可能性のある細胞環境での挙動への関心、(2)iPS細胞については、iPS様細胞の概念の提示と、治療目的から素材としてみる視点やバンク又は中間細胞株設定の重要性、(3)ES細胞については分化細胞株の有効活用、(4)iPS/ES由来製品における未分化細胞の存在についての関心と対応。
結論
①ヒト(自己)体性幹細胞及び②ヒト(自己)iPS細胞加工医薬品等に関するそれぞれの指針案(中間報告)を作成し、また、2008年9月に通知されたヒト同種由来細胞・組織加工医薬品等全般に関する指針「ヒト(同種)由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針(薬食発第0912006号)」をベースとして、③ヒト(同種)体性幹細胞、④ヒトES細胞、 ⑤ヒト(同種)iPS細胞に関するそれぞれの指針案(中間報告)を作成した。これら5つの指針案については、さらにさまざまな観点からの論議を経て最終案とされるべきものであるが、現時点で広く関係者に公開し、ことの推移を周知のものとするとともに、コメントを頂く機会とすることは非常に意義があると考え、日本再生医療学会の学会誌に5件の論文として公表した(再生医療, 9(1) 116-180, 2010)。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-