文献情報
文献番号
202407018A
報告書区分
総括
研究課題名
がん遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく複数の分子標的治療に関する患者申出療養の円滑な提供体制等の構築に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23EA1011
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
山本 昇(国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院 先端医療科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
11,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本邦ではがんゲノム医療が急速に広がっているが、遺伝子パネル検査の結果に基づいた治療アクセスは限られている。本邦ではパネル検査後に治療に結びついた割合は10%に満たない。そこで、エビデンスに基づいて患者が適応外薬の使用を希望した場合に速やかに薬剤に到達できるようにするための患者申出療養を2019年に開始した(BELIEVE試験)。がん種横断的、かつ複数の医薬品を対象としたバスケット型・アンブレラ型のデザインである。本研究では、引き続き、より多くの患者に治療機会が提供することを第一の目的とし、薬剤毎の有効性、安全性の解析を合わせて行う。
さらに、適応外薬へのアクセス方法は長期的な課題であり、患者申出療養制度下で持続可能な実施体制を維持することも含め、本邦における適切な方法を検討する。
さらに、適応外薬へのアクセス方法は長期的な課題であり、患者申出療養制度下で持続可能な実施体制を維持することも含め、本邦における適切な方法を検討する。
研究方法
BELIEVE試験の研究計画に基づき、患者の申出に応じて適応外薬にアクセスできる機会を提供する。国立がん研究センター中央病院が研究代表医師および全体の調整事務局を担い、全てのがんゲノム医療中核拠点病院が参加する多施設共同研究である。
エンドポイントは以下としている。
• Primary endpoint:治療開始後16週時点の奏効割合
• Secondary endpoint:全生存期間、無増悪生存期間、病勢制御割合、有害事象
本試験ではBays流の推論を行うこととし、奏効割合の事後分布が閾値奏効割合60%を越える確率が95%を超えた場合には、当該医薬品の有効性が期待できると判断する。また、奏効割合に関して期待値が30%となるbeta(0.6、1.4)を事前分布として採用した。
さらに、本試験の持続可能な体制について検討するため、ゲノム医療の出口戦略としてバスケット型試験の在り方について、関係者と議論した。
エンドポイントは以下としている。
• Primary endpoint:治療開始後16週時点の奏効割合
• Secondary endpoint:全生存期間、無増悪生存期間、病勢制御割合、有害事象
本試験ではBays流の推論を行うこととし、奏効割合の事後分布が閾値奏効割合60%を越える確率が95%を超えた場合には、当該医薬品の有効性が期待できると判断する。また、奏効割合に関して期待値が30%となるbeta(0.6、1.4)を事前分布として採用した。
さらに、本試験の持続可能な体制について検討するため、ゲノム医療の出口戦略としてバスケット型試験の在り方について、関係者と議論した。
結果と考察
研究開始当初から月10~15例の症例登録が続いておりがあり、令和65年度では113148例の登録が得られ、総登録症例数は800例に至った。試験開始から3年が経過した時点で、本研究で治療を受けた患者のがん種や遺伝子異常について取りまとめ、発表した(Cancer Science 2023)。バイオマーカーが明らかな医薬品に対しては、統一的な遺伝子異常が登録されていた(例:BRAF/MEK阻害剤に対するBRAF V600E変異)。また、登録されたがん種は希少がんが多い傾向にあり、治療開発が望まれていることが分かった。
2023年度にメキニスト/タフィンラーはASCOで学会発表を行った。2024年度は、ビラフトビ/メクトビの結果をESMO 2024で、オプジーボの結果をJSMO 2025で発表した。これらの結果については、論文化を進めている。
さらに本試験の実施体制について、重篤な疾病等報告は約10%の確率で発生しており、大半が試験薬と因果関係のない事象ではあったものの、本試験の安全な施行のために、医療機関間の情報共有等を適宜行った。本試験はマスタープロトコールであるものの、複数の企業から無償で薬剤提供されており、必要に応じて個々の企業・薬剤毎に試験関連文書を作成する必要があり、事務局の人的リソースを増やす必要があった。適応外薬の使用に際して患者・医療者にとって重要となる安全性情報等の医療機関間の情報共有や、薬剤確保のための企業との事務的手続きを担う人的リソースの確保等は、個別医療機関ごとの診療の枠内でad hocに適応外使用を行う体制では実現困難であり、本試験の枠組みによりそれが可能となっている。
この枠組みの運営資金については、患者申出療養費を基盤としつつ、患者ニーズに応えるための体制の拡大に必要な費用は研究費として公的資金を獲得してきた。しかし、運営途中で公的資金の確保を試みようとしたが不採択となることが続き、運営資金の確保に困難を極めた。前述のように個別医療機関ごとの対応が困難であることから、1つの研究としてではなく本邦におけるゲノム医療の出口戦略の基盤として政策的に本試験を維持する必要があると考える。体制の維持には有期的な研究費ではなく、持続可能な資金が必要である。
2024年度には、長期的な課題として、本試験の今後の在り方を含め、本邦における適応外薬へのアクセスの確保の観点から議論した。患者申出療養は現行の制度として利用可能であるが、手続きが複雑であり、また患者が希望する薬剤を速やかに本試験に組み込む等の柔軟な対応ができないことから、患者申出療養以外の別の枠組みを検討する必要があるという意見で一致した。
2023年度にメキニスト/タフィンラーはASCOで学会発表を行った。2024年度は、ビラフトビ/メクトビの結果をESMO 2024で、オプジーボの結果をJSMO 2025で発表した。これらの結果については、論文化を進めている。
さらに本試験の実施体制について、重篤な疾病等報告は約10%の確率で発生しており、大半が試験薬と因果関係のない事象ではあったものの、本試験の安全な施行のために、医療機関間の情報共有等を適宜行った。本試験はマスタープロトコールであるものの、複数の企業から無償で薬剤提供されており、必要に応じて個々の企業・薬剤毎に試験関連文書を作成する必要があり、事務局の人的リソースを増やす必要があった。適応外薬の使用に際して患者・医療者にとって重要となる安全性情報等の医療機関間の情報共有や、薬剤確保のための企業との事務的手続きを担う人的リソースの確保等は、個別医療機関ごとの診療の枠内でad hocに適応外使用を行う体制では実現困難であり、本試験の枠組みによりそれが可能となっている。
この枠組みの運営資金については、患者申出療養費を基盤としつつ、患者ニーズに応えるための体制の拡大に必要な費用は研究費として公的資金を獲得してきた。しかし、運営途中で公的資金の確保を試みようとしたが不採択となることが続き、運営資金の確保に困難を極めた。前述のように個別医療機関ごとの対応が困難であることから、1つの研究としてではなく本邦におけるゲノム医療の出口戦略の基盤として政策的に本試験を維持する必要があると考える。体制の維持には有期的な研究費ではなく、持続可能な資金が必要である。
2024年度には、長期的な課題として、本試験の今後の在り方を含め、本邦における適応外薬へのアクセスの確保の観点から議論した。患者申出療養は現行の制度として利用可能であるが、手続きが複雑であり、また患者が希望する薬剤を速やかに本試験に組み込む等の柔軟な対応ができないことから、患者申出療養以外の別の枠組みを検討する必要があるという意見で一致した。
結論
試験開始後5年半が経過し、主たる解析を実施したコホートは適宜外部発表を行った。本邦における適応外薬へのアクセス方法として、短期的にはこの患者申出療養を維持しつつ、長期的には新たな枠組みを検討する必要があると考えている。
公開日・更新日
公開日
2026-03-10
更新日
-