医療事故防止に向けた薬剤師の取り組みと医療上の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200940044A
報告書区分
総括
研究課題名
医療事故防止に向けた薬剤師の取り組みと医療上の評価に関する研究
課題番号
H20-医薬・一般-022
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
土屋 文人(東京医科歯科大学 歯学部附属病院薬剤部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、医薬品関連医療事故防止のために薬剤師がどのような役割を果たしているのかについて、医薬品安全管理責任者に対してアンケート調査を行い、収集されたデータについて、データマインニングの手法により、薬剤師の業務内容と医療安全の関係について解析を行う。また医薬品の供給体制と医薬品関連医療事故防止とに関連があると思われることから、供給体制の違いによりヒヤリハット事例の発生頻度や内容にどのような違いが生じているのかについて調査・解析を行う。
研究方法
日本病院薬剤師会の会員が所属する60床以上の病院5974施設に対して45項目の調査を行った。また、日本病院薬剤師会で収集された、病棟常駐薬剤師の有用事例6620件のデータを利用して、テキストマインニングの手法を用いて解析を行った。さらにアンケートと有用事例の両方に共通する施設を対象にアンケート結果を有用事例について解析を行った。
結果と考察
アンケート調査結果において注射の供給体制は1日単位から1施用単位へと移りつつあることを示している。また持参薬への関与もかなり普及していることが確認された。しかし薬薬連携については未だ発展途上であることが伺え、今後の普及が期待される。病棟薬剤師常駐化による有用性はインシデントの減少のみならず、医師・看護師の負担軽減の役割も果たしていることが示唆された。
結論
医療事故防止への薬剤師の評価に関する調査結果からは、注射剤の供給方法が1日単位であることはもちろんのこと、医療安全上重要と思われる1施用単位が3割の施設で実施されており、今後の進展が期待できると思われる。
持参薬については,殆どの施設で薬剤師が関与していた。持参薬のチェックのタイミングについては入院後2日以内であっても、インシデント減少の傾向が見受けられることから、多少時間の余裕をもって、持参薬調査を薬剤師が全面的に実施することが期待される。
しかしながら、外来化学療法実施患者に関する薬局への情報提供は極めて少なく、また持参薬における薬局との連携もあまりできていないことから、今後薬薬連携の更なる推進を図る必要がある。
病棟常駐薬剤師は、他の医療職のみならず患者や家族への対応を含め有用であることを示している。また、医師、看護師の負担軽減が図られていることも示唆された。

公開日・更新日

公開日
2010-06-03
更新日
-