文献情報
文献番号
202407016A
報告書区分
総括
研究課題名
がん対策の年齢調整死亡率・罹患率に与える影響と要因に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23EA1009
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
片野田 耕太(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所データサイエンス研究部)
研究分担者(所属機関)
- 伊藤 ゆり(大阪医科薬科大学 総合医学研究センター医療統計室)
- 川合 紗世(愛知医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
- 福井 敬祐(関西大学 社会安全学部 安全マネジメント学科)
- 秋田 智之(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
- 平林 万葉(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所 予防研究部 )
- 堀 芽久美(静岡県立大学 看護学部)
- 十川 佳代(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所 データサイエンス研究部)
- 上田 豊(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科産科学婦人科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
8,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
がん対策における1 次予防のコアとなる指標の選定、推奨される対策の検討、およびCOVID-19 流行前後の死亡率推移の変化の分析を行い、各都道府県のがん対策の活用する資料を作成した。また、各がん種(胃、大腸、肝、膵臓、乳房、肺、子宮頸部)についての記述疫学分析をそれぞれ行った。
研究方法
(1)予防関連指標と対策の検討
1次予防のコア指標の候補は、がん対策推進協議会で提示されている指標から、人口寄与危険割合、達成度、都道府県指標の入手可能性、および予防関連指標全体のバランスに基づいて選定した。
(2)都道府県におけるがん対策に活用するがん記述疫学分析
2015~2022年の人口動態統計を用い、75歳未満の年齢調整死亡率について、全がんおよび主要部位別(胃・大腸・肝臓・肺・乳房・子宮頸部・前立腺)に対数線形回帰を適用し、年平均変化率(APC)を算出し、流行前後で比較した。
(3)胃がん
2020年の日本人人口をベースラインに設定し、2040年までの各年の20歳から85歳を対象とした年齢階級別胃がん罹患数および罹患率を男女別に推計した。
(4)大腸がん
大腸がん便潜血検査を第一検診として, 検診受診率に介入を行った場合の年齢調整死亡率の将来的な推計を行うことを目的とし、我が国において開発された大腸がんマイクロシミュレーションを用いた解析を行った。
(5)肝がん
年齢時代コホートモデル(APC)モデルにより、47都道府県の肝がん死亡率の解析を行い、年齢効果、時代効果、コホート効果を推定した。
(6)膵臓がん
国立がん研究センターがん情報サービスが公表している全国がん死亡データを用いて1995年から2021年までの膵がんによる全国および47都道府県別の年齢調整死亡率(Age-Standardized Mortality Rate: ASR)を男女計、男性、女性ごとに算出した。
(7)乳がん
1993-2015年の乳がん罹患率とリスク因子のデータを用い、ARIMAXモデルにより40-60歳代の女性の乳がん罹患推移とリスク因子が与える影響を推定した。
(8)肺がん
2001年から2022年までの喫煙率データを用い、ベイズ線形回帰モデルにより将来の喫煙率を予測した。
(9)子宮頸がん
ARIMAXモデルを用いて推計を行う。従属変数として罹患率(・死亡率)、独立変数として喫煙率、HPV感染率、がん検診受診率などを想定している。
1次予防のコア指標の候補は、がん対策推進協議会で提示されている指標から、人口寄与危険割合、達成度、都道府県指標の入手可能性、および予防関連指標全体のバランスに基づいて選定した。
(2)都道府県におけるがん対策に活用するがん記述疫学分析
2015~2022年の人口動態統計を用い、75歳未満の年齢調整死亡率について、全がんおよび主要部位別(胃・大腸・肝臓・肺・乳房・子宮頸部・前立腺)に対数線形回帰を適用し、年平均変化率(APC)を算出し、流行前後で比較した。
(3)胃がん
2020年の日本人人口をベースラインに設定し、2040年までの各年の20歳から85歳を対象とした年齢階級別胃がん罹患数および罹患率を男女別に推計した。
(4)大腸がん
大腸がん便潜血検査を第一検診として, 検診受診率に介入を行った場合の年齢調整死亡率の将来的な推計を行うことを目的とし、我が国において開発された大腸がんマイクロシミュレーションを用いた解析を行った。
(5)肝がん
年齢時代コホートモデル(APC)モデルにより、47都道府県の肝がん死亡率の解析を行い、年齢効果、時代効果、コホート効果を推定した。
(6)膵臓がん
国立がん研究センターがん情報サービスが公表している全国がん死亡データを用いて1995年から2021年までの膵がんによる全国および47都道府県別の年齢調整死亡率(Age-Standardized Mortality Rate: ASR)を男女計、男性、女性ごとに算出した。
(7)乳がん
1993-2015年の乳がん罹患率とリスク因子のデータを用い、ARIMAXモデルにより40-60歳代の女性の乳がん罹患推移とリスク因子が与える影響を推定した。
(8)肺がん
2001年から2022年までの喫煙率データを用い、ベイズ線形回帰モデルにより将来の喫煙率を予測した。
(9)子宮頸がん
ARIMAXモデルを用いて推計を行う。従属変数として罹患率(・死亡率)、独立変数として喫煙率、HPV感染率、がん検診受診率などを想定している。
結果と考察
(1)予防関連指標と対策の検討
日本の1次予防のコア指標は、食塩摂取量、アルコール摂取量が多い者の割合、成人喫煙率、HPVワクチン接種率、BMI、および1日の歩数が候補として考えられた。
(2)都道府県におけるがん対策に活用するがん記述疫学分析
全がんでは多くの都道府県で減少傾向が鈍化し、特に男性で顕著だった。
(3)胃がん
2018年から2022年の除菌成功者の推移とそれに伴う感染者の減少を考慮してピロリ菌除菌率を推計すると、徐々に増加しており、この傾向が続けば、すべての年齢階級において胃がん罹患数は減少していくという推計結果が得られた。
(4)大腸がん
社会保険の対象に対する検診受診率の向上が、国民保険の対象者に対する検診受診率の向上よりも死亡率減少効果が大きいなどの結果が算出された。
(5)肝がん
多くの都道府県で年齢効果については、男女ともに年齢があがるにつれて肝がんのリスクが大きくなった。コホート効果では出生年が昔であるほど高い傾向であった。時代効果についてはあまり変動が見られなかった。
(6)膵臓がん
全国的に1995年と比較して、2021年の膵がんASRは男性、女性ともに増加傾向にあることが明らかとなった。
(7)乳がん
推定において、60歳代では他の年齢階級より誤差が大きかった。MAPEがもっとも小さいモデルは、40歳代、60歳代では肥満割合、第1子出産年齢、出産児数、乳がん検診受診率、50歳代では肥満割合, 第1子出産時年齢、がん検診受診率、がん登録の登録率を含めたモデルで小さかった。
(8)肺がん
日本全体としては喫煙率の減少が進行している一方で、地域間に顕著な差が存在することが明らかとなった。
(9)子宮頸がん
2024年度は前年度に引き続き、利用可能なデータベースの探索を行い、現状では、地域・全国がん登録データ動態統計、国民生活基礎調査等が利用可能であることを確認した。
日本の1次予防のコア指標は、食塩摂取量、アルコール摂取量が多い者の割合、成人喫煙率、HPVワクチン接種率、BMI、および1日の歩数が候補として考えられた。
(2)都道府県におけるがん対策に活用するがん記述疫学分析
全がんでは多くの都道府県で減少傾向が鈍化し、特に男性で顕著だった。
(3)胃がん
2018年から2022年の除菌成功者の推移とそれに伴う感染者の減少を考慮してピロリ菌除菌率を推計すると、徐々に増加しており、この傾向が続けば、すべての年齢階級において胃がん罹患数は減少していくという推計結果が得られた。
(4)大腸がん
社会保険の対象に対する検診受診率の向上が、国民保険の対象者に対する検診受診率の向上よりも死亡率減少効果が大きいなどの結果が算出された。
(5)肝がん
多くの都道府県で年齢効果については、男女ともに年齢があがるにつれて肝がんのリスクが大きくなった。コホート効果では出生年が昔であるほど高い傾向であった。時代効果についてはあまり変動が見られなかった。
(6)膵臓がん
全国的に1995年と比較して、2021年の膵がんASRは男性、女性ともに増加傾向にあることが明らかとなった。
(7)乳がん
推定において、60歳代では他の年齢階級より誤差が大きかった。MAPEがもっとも小さいモデルは、40歳代、60歳代では肥満割合、第1子出産年齢、出産児数、乳がん検診受診率、50歳代では肥満割合, 第1子出産時年齢、がん検診受診率、がん登録の登録率を含めたモデルで小さかった。
(8)肺がん
日本全体としては喫煙率の減少が進行している一方で、地域間に顕著な差が存在することが明らかとなった。
(9)子宮頸がん
2024年度は前年度に引き続き、利用可能なデータベースの探索を行い、現状では、地域・全国がん登録データ動態統計、国民生活基礎調査等が利用可能であることを確認した。
結論
本研究では、がんの1次予防のコア指標案と対策の検討およびがんの2次予防対策の推奨レベルのまとめを行った。また、がん記述疫学分析ではがん部位、都道府県ごとに異なるがん死亡率の変化を可視化し、地域特性に応じたがん対策の重要である。
公開日・更新日
公開日
2026-03-10
更新日
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