小児がん拠点病院・連携病院のQI(Quality Indicators)を評価指標としてがん対策推進基本計画の進捗管理を行う小児がん医療体制整備のための研究

文献情報

文献番号
202407015A
報告書区分
総括
研究課題名
小児がん拠点病院・連携病院のQI(Quality Indicators)を評価指標としてがん対策推進基本計画の進捗管理を行う小児がん医療体制整備のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23EA1008
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
松本 公一(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 小児がんセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 米田 光宏(国立成育医療研究センター 小児がんセンター)
  • 井口 晶裕(国立成育医療研究センター 小児がんセンター)
  • 加藤 実穂(国立成育医療研究センター 小児がんセンター小児がんデータ管理科)
  • 平林 真介(北海道大学病院 小児科)
  • 笹原 洋二(東北大学大学院医学系研究科)
  • 康 勝好(埼玉県立小児医療センター 血液・腫瘍科)
  • 湯坐 有希(東京都立小児総合医療センター 血液・腫瘍科)
  • 栁町 昌克(神奈川県立こども医療センター 血液・腫瘍科)
  • 渡邉 健一郎(静岡県立こども病院 血液腫瘍科)
  • 高橋 義行(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 平山 雅浩(国立大学法人三重大学 大学院医学系研究科小児科学分野)
  • 滝田 順子(京都大学 医学部 小児科)
  • 家原 知子(京都府立医科大学 医学研究科)
  • 藤崎 弘之(大阪市立総合医療センター 小児血液・腫瘍内科)
  • 長谷川 大一郎(兵庫県立こども病院 小児がん医療センター血液・腫瘍内科)
  • 唐川 修平(広島大学病院 小児科)
  • 川久保 尚徳(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院)
  • 小川 千登世(国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院 小児腫瘍科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
9,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
旧研究班で作成した拠点病院QI、連携病院QI研究を発展させ、経時的な変化とともに、探索的により良い指標を開発し、第4期がん対策推進基本計画における個別目標の進捗管理に応用することを目的とする。さらには、QI結果をフィードバックすることで、それぞれの病院が目的意識を持って、PDCAサイクルを回すことができれば、患者目線に立った地域医療の現状に即した形で、医療面と支援の両面において小児がん医療全体の底上げに繋がることが期待される。最終的には、小児がん拠点病院および連携病院における診療の質を向上させ、日本全体の小児がん患者・家族の利益に反映させることを目的とする。
研究方法
小児がん拠点病院QI、小児がん連携病院QIに関して、指標検討ワーキングにて継続的な指標と新規の指標、達成済みと考えられる指標を決定した。診療情報管理士を中心とした算定ワーキングにより、実際の算定上の問題点を抽出し、指標検討ワーキングにフィードバックした。また、連携病院類型1の層別化について、妥当性を検討した。
結果と考察
1) 小児がん拠点病院QI
指標検討ワーキングを開催し、2024年指標を決定した。主な変更点としては、AYA世代診療数として、実数の把握をおこなったこと、死亡患者の在宅医介入割合に指標を変更したことであり、全体の調査項目数には変化がなかった。
2024年指標に関して、小児がん拠点病院QI説明会(Web開催)を開催し、データ回収、クリーニングを行なった。2023年のデータ解析から、小児血液・がん専門医と暫定指導医の数は、中央値が6人に増加した一方で、5年ぶりに1人にとどまる施設が出たこと、小児がん認定外科医で3年ぶりに常勤医不在施設が出たことなどが特徴的であった。CLSなど療養支援担当者は、小児病院で配置数が高い傾向にあることが示された。小児がんに関わるCRCのいない施設は解消したものの、治験実施数や臨床試験への患者登録数、がん遺伝子パネル検査数には施設差が大きかった。

2)小児がん連携病院QI
指標検討ワーキング開催し、2024年小児がん連携病院QIを改訂した。拠点病院QIと比較するために、急性リンパ性白血病、神経芽腫の治療開始時間と、死亡患者の在宅医介入割合を指標に加えた。小児がん連携病院QI説明会(Web開催)を開催し、倫理委員会での承認後、データ回収しクリーニングを行なった。
2023年版連携病院QIについて、実際に指定された1-A,1-B別に解析を行ない、推移を見た。連携病院類型1に対して、小児がん専門医および小児がん認定外科医の配置は進んできていることが分かった。しかし、現状の診療患者数のみによる分類では、1-A, 1-B間で専門医配置の層別化は困難であることが示された。放射線治療専門医、病理専門医、専門・認定看護師に関しては、1-Aと1-Bでの差は少なく、小児病院と大学・総合病院で差を認めており、この傾向は昨年と変わらなかった。放射線治療専門医、病理専門医に関しては、小児病院で配置が後退している現状があった。これらから、1-A, 1-Bに関しては、診療患者数のみならず、構造指標も加えた指標により、再編成が必要であると考えられた。また、結果・過程指標からは、関東・甲信越、東海・北陸、九州・沖縄のブロック内連携が盛んであり、中四国ではブロック外との連携がより重視されているという地域による連携の相違が明らかになった。また、連携病院3は地域における長期フォローアップを担うという重要な役割を果たしているものの、全体における規模は非常に小さいことが初めて明らかになった。
井上班との連携により、ロジックモデルの測定指標の参考となることが期待される。
結論
拠点病院QIの算定は9年目、連携病院QIは3年目となり、算定システムの成熟も相まって、PDCAサイクルを回すことで、小児がん医療の質は改善しつつある。拠点病院での医療の質は、ほぼ安定していているが、連携病院では、構造指標の差、連携の差が認められた。類型1の層別化に関して、地域性を考慮した基準や、努力によって達成可能となる構造指標等を加味した指定要件を考案し、小児がん専門医、小児がん認定外科医、療養支援担当者に関して最適化を図ることができた。地域性を考慮した患者数要件によって地域差は改善されたものの、専門医および療養支援担当者の配置が十分でなく、類型1-Aが存在しない県の総数は変わらなかった。また今後、類型3の存在意義について検討が必要である。
小児がん拠点病院のみに小児がん患者の集約化を進めることは現実的ではなく、小児がん拠点病院とともに連携病院類型1-Aに小児がん患者の集約化を行い、連携病院類型1-Aにもなんらかのインセンティブが得られる医療体制の仕組みを作り、小児がん医療全体の底上げを図る必要があると考えられた。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2026-02-24
更新日
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収支報告書

文献番号
202407015Z