薬剤師業務の在り方とその評価に関する研究

文献情報

文献番号
200940043A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤師業務の在り方とその評価に関する研究
課題番号
H20-医薬・一般-021
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
堀内 龍也(社団法人日本病院薬剤師会)
研究分担者(所属機関)
  • 坂巻 弘之(名城大学薬学部)
  • 亀井 美和子(昭和大学薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、糖尿病、喘息を取り上げて、薬剤師業務の評価のあり方の検討、業務の現状把握、薬剤師業務を標準化するため介入手法の開発と実際の使用による評価、得られた結果の政策への反映方法を検討することを目的とする。
研究方法
(1)地域薬局をベースとした喘息疾患管理に関する研究では、愛知県下の地区薬剤師会などの協力を得て、参加可能薬局を募集するとともに、介入群、通常指導群への参加意思の確認を行い、介入群7薬局、通常指導群薬局7薬局に割り付け、ワークショップを開催して、参加した全薬剤師に対して研究趣旨と同意取得、データ収集方法の説明を行った上で、データの回収と解析を行った。(2)薬剤師による糖尿病疾患管理に関する研究は、昨年度に作成した2型糖尿病患者の疾患管理プログラムを基に、昭和大学病附属東病院に外来通院中の成人2型糖尿病患者5名を対象にプログラムを実施し、プログラムのプロセス、臨床的アウトカム、人的アウトカムを測定した。
結果と考察
 臨床アウトカム(平均値)はいずれも統計的有意差は認められなかったが、HbA1cは開始後8.1±1.1%から6ヶ月7.2±0.4%、
TGは開始後185mg/dLから6ヶ月後118.4±84.6mg/dLへと変化した。いずれの値も2ヶ月後から6ヶ月後への変化は小さく維持傾向を示した。人的アウトカムのうちPAIDの総点数は変化がみられなかったが、「自分の糖尿病の治療法について、はっきりとした具体的な目標がない」の項目は有意に改善した。治療全体に対する満足度(平均値)も開始時に比較して、6ヶ月後に有意に改善した。この結果に基づいて、地域で医療機関と薬局が連携して取り組む疾病管理プログラムでで必要になる患者指導用資料および役割を明確にするための連携パスを作成した。
結論
本研究で作成された糖尿病ならびに喘息に対する薬剤師の介入プログラムならびに評価指数は、今後、地域の薬剤師が患者指導を
行い、自らの業務を評価するためのツールとして使用することが可能となった。薬剤師教育プログラムとしての利用も可能となる
ものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2010-06-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200940043B
報告書区分
総合
研究課題名
薬剤師業務の在り方とその評価に関する研究
課題番号
H20-医薬・一般-021
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
堀内 龍也(社団法人日本病院薬剤師会)
研究分担者(所属機関)
  • 坂巻 弘之(名城大学薬学部)
  • 亀井 美和子(昭和大学薬学部)
  • 厚田 幸一郎(北里大学薬学部)
  • 吉尾 隆(東邦大学薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 平成20年度は、生活習慣病の問題となる①不適切なコントロールにより、医療費増大をきたす、②患者の自己管理とそのサポートが重要である、③薬物治療の選択肢が複雑化し、薬剤選択に薬剤師の関与とコンプライアンスの向上の取り組みが必要、とする3つの特徴を有する喘息、糖尿病、統合失調症を対象に、薬剤師業務の評価の在り方、薬剤師業務を標準化するための介入手法の開発と評価方法を検討することを目的とした。平成21年度は、糖尿病、喘息をとりあげ、昨年度に引き続き、薬剤師業務の評価の在り方、薬剤師業務を標準化するための介入方法の開発と評価方法、得られた結果の政策への反映方法を検討することを目的とした。
研究方法
 慢性気管支喘息に対する介入研究は、愛知県下の地区薬剤師会の協力を得てアンケート調査を実施し、薬剤師が介入した場合と通常の場合の改善度について調査するとともに、特に平成20年度は米国において類似の取り組みを行っているアシュビルプロジェクト(ノースカロライナ州)を訪問して情報収集を行うとともに、精神科疾患の患者における薬剤管理指導業の在り方に関する研究は、研究協力施設の医師、薬剤師や看護師、精神保健福祉士等の医療スタッフや患者の家族を対象に、医薬品情報に関するアンケーと調査を実施した。薬剤師による糖尿病疾患管理に関する研究では、医療機関内における患者を対象として疾患管理プログラムを実施して患者満足度等を測定した。
結果と考察
 2年度にわたる研究成果として、慢性気管支喘息疾患の患者を対象として、疾患管理プログラムを実施する薬局(介入群)と通常の指導を指導する薬局(通常指導群)とに分けて、患者を指導したところ、介入群における患者の満足度、自己管理達成度、喘息症状のコントロール状況が開始時と比較して改善した。糖尿病患者を対象とした薬剤師による糖尿病疾患管理では、2型糖尿病患者の疾患管理プログラムを基に実施したところ、治療全体に対する患者の満足度が開始時に比較して改善した。
結論
 本研究の成果である糖尿病ならびに慢性気管支喘息に対する薬剤師の介入プログラムならびに評価指数は、今後の地域の薬剤師が患者指導を行い、自らの業務を評価するためのツールとして使用することが可能となり、薬剤師教育プログラムとしての利用が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2010-06-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200940043C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究は、「地域薬局をベースとした喘息疾患管理に関する研究」、「薬剤師による糖尿病疾患管理に関する研究」2件について
行った。喘息患者については疾病管理プログラムを基に薬剤師が指導することにより、患者の満足度、喘息症状のコントロール状況が開始前と比較して改善した。
臨床的観点からの成果
本研究は、「地域薬局をベースとした喘息疾患管理に関する研究」、「薬剤師による糖尿病疾患管理に関する研究」2件について
行った。喘息患者については疾病管理プログラムを基に薬剤師が指導することにより、患者の満足度、喘息症状のコントロール状況が開始前と比較して改善した。糖尿病患者についても薬剤師が指導することにより、治療全体に対する満足度も開始時に比較して有意に改善した。
ガイドライン等の開発
前年度に作成した地域の薬局で実施する2型糖尿病患者の疾病管理プログラムを医療機関に外来通院中の少数の2型糖尿病患者に
対して実施し、その結果を踏まえて薬局で実践可能なプログラムを作成した。また、地域で医療機関と薬局が連携して取り組む連携パスを策定した。
その他行政的観点からの成果
本研究では、喘息を対象としているが、喘息による医療費の問題は、呼吸困難による緊急搬送・入院であることから、薬剤師が適切に喘息治療薬の管理と喘息患者を指導することにより、患者のQOLの改善と医療費の削減が期待できる。
その他のインパクト
本研究で作成された喘息ならびに糖尿病に対する介入プログラムならびに評価指標は、今後、地域の薬剤師が患者指導を行い、
自らの業務を評価するためのツールとして使用することが可能となり、併せて、薬剤師教育プログラムとしての利用も可能と
なる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
2型糖尿病患者を対象とした薬剤師による疾病管理支援の6ヶ月後の評価(第19回日本医療薬学会年会・長市)亀井美和子
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-