文献情報
文献番号
202407012A
報告書区分
総括
研究課題名
がん検診受診率の妥当性評価のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23EA1005
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
中山 富雄(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所 検診研究部)
研究分担者(所属機関)
- 片野田 耕太(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所データサイエンス研究部)
- 高橋 宏和(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所検診研究部検診実施管理研究室)
- 立道 昌幸(東海大学 医学部)
- 松田 一夫(公益財団法人福井県健康管理協会)
- 福井 敬祐(関西大学 社会安全学部)
- 伊藤 ゆり(大阪医科薬科大学 総合医学研究センター医療統計室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
10,023,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
がん検診受診率は第4期がん対策推進基本計画における早期発見の主要指標として掲げられているが、国民生活基礎調査による受診率は自己申告に基づく調査という特性から正確性が疑問視されてきた。本年度は、昨年度に続き①国民生活基礎調査質問票の妥当性検証、②多様なデータソースを用いた受診率の数理推計、③職域における実態把握という三本柱で研究A~Cを実施し、国民全体のがん検診受診率をより精緻に測定し政策達成を支援するエビデンスを構築することを目的とした。
研究方法
研究A)宮城県対がん協会の受診者4,000名を対象とした郵送調査ならびに全国3,200名を対象としたWeb調査を行い、国民生活基礎調査の質問票に基づく自己申告受診歴の感度・特異度や、受診者が受検している検査の実態を調査した。また、過去の国民生活基礎調査の設問の変遷を整理し、米国の社会調査との対比を通じて質問票の改善案を検討した。研究B)診療報酬明細(レセプト)を含むJMDCデータベースを用い、検診類似行為の発生頻度を解析し、受診率推計モデルに組み込むための基礎的パラメータを抽出した。研究C)協会けんぽの生活習慣予防健診データおよび全衛連協力機関の検査実数調査を用い、職域別・年齢別・支部別の受診率を把握可能か検証した。
結果と考察
研究A) 郵送調査の粗解析では自己申告の感度は96%程度と高値であった一方、特異度は30%前後に留まっており、実態を反映していないと考えられた。複数の仮定を置いた追加解析を行い、令和4年の国民生活基礎調査に外挿したところ、国民生活基礎調査の質問票に基づく検診受診率は真の受診率を過大評価していると考えられた。Web調査では、自己申告の受診率と推奨検査のみの受診率には子宮頸がんと乳がんで大きな乖離があり、推奨外検査の追加受検が高い割合で行われていると示唆された。また、質問票の設問改善に向け、①診療目的検査の除外、②肺がん検診は専ら胸部X線検査で行われていることの明記を提案した。研究B) JMDCデータを解析し、検査コードから検査回数を抽出した「実施数1」と、そのうち各がん種のICD10コードが付与された対象者の検査回数を抽出した「実施数2」を集計した結果、検診目的での検診類似行為の実施回数は実施数1と2の間になるのではないかと推測され、検診類似行為に該当する検査は実臨床において多数実施されていると考えられた。研究C) 協会けんぽでは年齢別・支部別のがん検診受診率を把握でき、全衛連協力機関からは実数報告で受診率推計が技術的に可能であることを確認した。次年度において、各リソースからの結果を統合して受診率を推計する必要があると考えられた。
結論
国民生活基礎調査の質問票の妥当性検証により、検診受診者において質問票は高感度であるという特性が定量化された。レセプト分析により、検診類似行為の試行数の範囲を定量的に把握した。職域データについては把握可能範囲を拡大し、統合推計に向けた課題を整理した。
公開日・更新日
公開日
2026-02-25
更新日
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