文献情報
文献番号
202407010A
報告書区分
総括
研究課題名
職域における科学的根拠に基づくがん検診の社会実装に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23EA1003
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
立道 昌幸(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 高橋 宏和(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所検診研究部検診実施管理研究室)
- 佐川 元保(東北医科薬科大学 医学部)
- 青木 大輔(慶應義塾大学 医学部)
- 松田 一夫(公益財団法人福井県健康管理協会)
- 笠原 善郎(福井県済生会病院 乳腺外科)
- 中山 富雄(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所 検診研究部)
- 加藤 勝章(宮城県対がん協会がん検診センター)
- 小川 俊夫(学校法人常翔学園 摂南大学 農学部食品栄養学科公衆衛生学教室)
- 齊藤 英子(国際医療福祉大学三田病院予防医学センタ-)
- 森定 徹(慶應義塾大学 医学部)
- 泉 陽子(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
- 島津 太一(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 行動科学研究部)
- 須賀 万智(東京慈恵会医科大学 医学部 環境保健医学講座)
- 南谷 優成(東京大学 大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座)
- 森 晃爾(産業医科大学 産業生態科学研究所産業保健経営学研究室)
- 五十嵐 侑(産業医科大学 災害産業保健センター)
- 財津 將嘉(産業医科大学 高年齢労働者産業保健研究センター)
- 深井 航太(東海大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
18,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、保険者や事業主ががん検診を任意で実施する際に、保険者や事業主に対して、「職域におけるがん検診に関するマニュアル」を反映した、5つのがん検診の検診内容と精度管理の普及啓発を図った、永続的に利活用できる動画資材を作成することを目標とし、作成した動画資材を用いて、保険者や事業主、産業医等を対象に、職域におけるがん検診に関する研修会を実施することである。
研究方法
今年度は、「職域におけるがん検診に関するマニュアル」を普及させるための短縮版、精度管理の中で重要な要素となる精検受診勧奨を実施する際の注意点、健康保険組合単独で行う場合と、事業主が関与する場合の実際の動画を作成した。普及班として、どのような媒体で普及されることが可能か、テキストマイニングの手法を用いて検討するとともに、各ステークホルダーに対して普及ルートの確保を行った。また、研修班は、産業医への教育プログラムの作成と資材の作成を行い、順次産業医への研修会を実施した。マニュアルで求められている精度管理に関しては、レセプトを用いた精度管理システムを他の厚労科研の協力で作成されており、本研究班では、その社会実装のための実証研究を行った。
結果と考察
1)「職域におけるがん検診に関するマニュアル」については、周知する段階とそれを実践に移す段階がある。現時点は周知も十分ではなく、まずは周知率を上げることが目的となっている。一方で、周知に対する阻害要因も明らかになった。医療保険者や事業場の職域がん検診の企画において、意思決定に関わる担当者が「なぜ指針に基づくがん検診を実施することが利益につながるか?」この理解において非医療職、医療職も含め共通のコミュニケーションエラーが存在している。がん専門家ががん検診の目的を「死亡率減少効果」のみをアウトカムとすることを強調されることによって、健保の目的である「医療費削減」、事業者の目的である「生産性の確保」が否定されている印象を持たれていることで、拒否感に近い感覚があることが最大の阻害因子である。一方で、「指針に基づくがん検診の実施だけでなく、精度管理することでがん検診を事業として事業評価すること」が健保や事業者の目的に合致することを理解してもらうことで、マニュアルを受容する姿勢が生まれることから、この見地からコミュニケーションを行うこととした。また、精度管理実施のハードルを如何に低くするかが重要であり、祖父江班(現村木班)のレセプトを用いた精度管理手法をモデル事業として展開し、精度管理する健保組合数を増加させることを目的とした。
2)動画は時間が限られポイントのみ印象深く伝えることが必須であることから、今回ホームページを作成して職域でのがん検診を俯瞰できるように作成し、その中に作成した動画を配置した。今後このホームページのURLを今年度確保したルートで展開することで、普及に繋げるとともに、各種の研修会を開催してその普及啓発を実施する。
3)本年度は、テキストマイニング手法を用いて周知に効果的なルートの検討を行った。
4)職域での医療者として中心的な役割を持つ産業医に対する意識調査を実施するとともに、産業医に対する教育プログラムを作成した。これをe-learning化して全国展開する予定である。
2)動画は時間が限られポイントのみ印象深く伝えることが必須であることから、今回ホームページを作成して職域でのがん検診を俯瞰できるように作成し、その中に作成した動画を配置した。今後このホームページのURLを今年度確保したルートで展開することで、普及に繋げるとともに、各種の研修会を開催してその普及啓発を実施する。
3)本年度は、テキストマイニング手法を用いて周知に効果的なルートの検討を行った。
4)職域での医療者として中心的な役割を持つ産業医に対する意識調査を実施するとともに、産業医に対する教育プログラムを作成した。これをe-learning化して全国展開する予定である。
結論
職域におけるがん検診の課題を総括すると「制度的裏付けの曖昧さ」と「医学的根拠の不徹底」、「倫理的・運用的な整備不足」が三位一体で存在しており、科学的・制度的再構築が急務である。今後は、政策と現場の橋渡しを行う「職域検診の中核的モデル」の構築と、そのためのエビデンス蓄積が求められる。
一方で、検診=健康サービスであるという誤った根底に根強くある認識が、最大の阻害要因となっている。この課題は、検診を企画するものだけではなく、受診者にも同様に必要であること、さらには、職域における医療職としての産業医と保健職へのアプローチが必要であることを示している。本研究班では、その認識を変えることを主体とした動画を作成し、医療職へはe-learningの作成を通じて解決を図ろうとしている。がん検診について実際の精度管理指標を各健保組合が算出することによって、実際の不利益が自覚できる。今後、レセプトを用いたがん検診精度管理の実用化により、様々な保険者においてがん検診の実態把握と精度管理が簡便にできるようになると期待される。職域がん検診精度管理の取り組みは、保険者による活用のみならず、今後のわが国のがん政策立案に資する貴重な資料になりうると考えられた。
一方で、検診=健康サービスであるという誤った根底に根強くある認識が、最大の阻害要因となっている。この課題は、検診を企画するものだけではなく、受診者にも同様に必要であること、さらには、職域における医療職としての産業医と保健職へのアプローチが必要であることを示している。本研究班では、その認識を変えることを主体とした動画を作成し、医療職へはe-learningの作成を通じて解決を図ろうとしている。がん検診について実際の精度管理指標を各健保組合が算出することによって、実際の不利益が自覚できる。今後、レセプトを用いたがん検診精度管理の実用化により、様々な保険者においてがん検診の実態把握と精度管理が簡便にできるようになると期待される。職域がん検診精度管理の取り組みは、保険者による活用のみならず、今後のわが国のがん政策立案に資する貴重な資料になりうると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2026-03-10
更新日
-