文献情報
文献番号
202407008A
報告書区分
総括
研究課題名
新型コロナウイルス感染症の流行によるがん検診及びがん診療の受診状況等に対する中・長期的な健康影響の解明に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23EA1001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 宏和(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所検診研究部検診実施管理研究室)
研究分担者(所属機関)
- 後藤 温(公立大学法人横浜市立大学 医学部公衆衛生学教室)
- 佐藤 靖祥(東京大学医学部附属病院 外来化学療法部・腫瘍センター)
- 田淵 貴大(国立大学法人東北大学 大学院医学系研究科)
- 中山 富雄(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所 検診研究部)
- 町井 涼子(国立がん研究センター がん対策研究所 検診研究部)
- 石井 太祐(国立がん研究センター がん対策研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
9,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究においては、日本におけるがん検診の受診状況や、がん医療の受療行動における、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる中・長期的な健康影響を検討し、公衆衛生学的危機に対応しうるがん検診およびがん診療の対策マニュアルを作成することを目的とする。
研究方法
がん検診の受診状況や、がん医療の受療行動に
おける、新型コロナウイルス感染症の影響を把握
するために、1)がん検診受診者数、2)がん罹
患者数、3)受療行動について検討する。研究統
括は高橋が行う。
おける、新型コロナウイルス感染症の影響を把握
するために、1)がん検診受診者数、2)がん罹
患者数、3)受療行動について検討する。研究統
括は高橋が行う。
結果と考察
令和6年度は班会議を1回開催し、新型コロナウイルスががん検診に対して与えた影響を、がん検診受診者数、がん罹患者数、受療行動について評価した。
〇がん検診受診者数
地域保健・健康増進事業報告のデータを解析し、以下の結果を確認した。
・2022年度の受診者数は胃がん検診の回復が最も遅く、エックス線検診において特に大都市で回復していない
・内視鏡検診は減少数が少なく個別検診の拡大により受診者数が増加している
・個別検診の多い子宮頸がん検診は大都市で減少数が少なかった
・2021年度の精検受診率は全国的に変化なくパンデミックの影響は見られなかった
・要精検率、がん発見率に影響する受診者構成、年齢分布、初回受診割合等はほぼ変化していない
〇がん罹患者数
院内がん登録データを解析し、以下の結果を確認した。
・登録数については胃と子宮頸部が特殊な動きをしているが、大まかな傾向として20年に減って、21、22、23年と徐々に回復、さらには増加傾向にあり、23年においてはコロナ禍の登録数減少の影響はほぼない状況にある
・発見経緯別では、全がんで非検診発見例が増加しているが、それでも部位によってはまだコロナ禍前の水準には戻っていない
・検診発見例で増加しているのは乳房のみで、他の4がんはコロナ禍前より減少している
・病期については、特徴的なところではコロナ禍前より、非小細胞肺がんと膵がんの1期が増加して、子宮頸がんの0期、1期が減少しており、これらは非検診発見例と同様の傾向を示している
・治療については、外科的治療、放射線、化学療法、内分泌治療のいずれも21年以降どんどん増加しているが、内視鏡治療については一旦増加したものの、23年においては減少か横ばいで推移している
・2023年においては全がんの登録数は増えているが、進行期がんの発見が増えているかについては受診率や精検受診率と合わせての評価が必要
〇受療行動
JACSISのアンケートによると、LGBTQに関するデータが集積しつつあり、性別がはっきりしない場合にがん検診を受診しにくい等の状況把握が可能。
〇ポストパンデミックのがん検診・がん医療受診に関する海外の動向について
・2020年に減少した受診者数が21年には日本よりも早いスピードで回復しているが、その中には一部推奨されない方法も含まれている
・がん罹患者数については日本同様、早期のステージでの減少が大きく、生存率が短縮した
・一方で、受診間隔延長によるPPVへの影響は見られず、受診間隔を伸ばせるとの考察もある
・パンデミック後にがん検診の罹患者数と死亡者数の増加が懸念されたが、実際にそのようなデータはみられない
・いずれの国も最終評価をするのは時期尚早で、長期的な評価にはさらなる時間が必要としている
〇がん検診受診者数
地域保健・健康増進事業報告のデータを解析し、以下の結果を確認した。
・2022年度の受診者数は胃がん検診の回復が最も遅く、エックス線検診において特に大都市で回復していない
・内視鏡検診は減少数が少なく個別検診の拡大により受診者数が増加している
・個別検診の多い子宮頸がん検診は大都市で減少数が少なかった
・2021年度の精検受診率は全国的に変化なくパンデミックの影響は見られなかった
・要精検率、がん発見率に影響する受診者構成、年齢分布、初回受診割合等はほぼ変化していない
〇がん罹患者数
院内がん登録データを解析し、以下の結果を確認した。
・登録数については胃と子宮頸部が特殊な動きをしているが、大まかな傾向として20年に減って、21、22、23年と徐々に回復、さらには増加傾向にあり、23年においてはコロナ禍の登録数減少の影響はほぼない状況にある
・発見経緯別では、全がんで非検診発見例が増加しているが、それでも部位によってはまだコロナ禍前の水準には戻っていない
・検診発見例で増加しているのは乳房のみで、他の4がんはコロナ禍前より減少している
・病期については、特徴的なところではコロナ禍前より、非小細胞肺がんと膵がんの1期が増加して、子宮頸がんの0期、1期が減少しており、これらは非検診発見例と同様の傾向を示している
・治療については、外科的治療、放射線、化学療法、内分泌治療のいずれも21年以降どんどん増加しているが、内視鏡治療については一旦増加したものの、23年においては減少か横ばいで推移している
・2023年においては全がんの登録数は増えているが、進行期がんの発見が増えているかについては受診率や精検受診率と合わせての評価が必要
〇受療行動
JACSISのアンケートによると、LGBTQに関するデータが集積しつつあり、性別がはっきりしない場合にがん検診を受診しにくい等の状況把握が可能。
〇ポストパンデミックのがん検診・がん医療受診に関する海外の動向について
・2020年に減少した受診者数が21年には日本よりも早いスピードで回復しているが、その中には一部推奨されない方法も含まれている
・がん罹患者数については日本同様、早期のステージでの減少が大きく、生存率が短縮した
・一方で、受診間隔延長によるPPVへの影響は見られず、受診間隔を伸ばせるとの考察もある
・パンデミック後にがん検診の罹患者数と死亡者数の増加が懸念されたが、実際にそのようなデータはみられない
・いずれの国も最終評価をするのは時期尚早で、長期的な評価にはさらなる時間が必要としている
結論
新型コロナウイルス感染症によるがん検診やがん医療は、感染者数の増加よりも、第1回目の緊急事態宣言ならびにそれによる対策により大きな影響を受けた。がん検診受診者数については、2020年度ではおよそ10-30%減少したが、2021年度はそのうち半数程度は回復し、以後徐々にパンデミック前の状況に戻りつつある。がん罹患者数については、2020年のがん登録者数は2019年と比べおよそ4%減少したものの2021年は1%増加し、その後はおおよそパンデミック前の状況に戻りつつある。検診や医療の受診控えによるがん発見や治療の遅れが危惧されていたが、国際的な評価として、それを裏付ける情報は現時点では明らかにされていない。今後は、引き続きモニタリング及びデータの解析を行うことにより、中長期的な影響ならびに来るべき有事への対応策の検討などが望まれる。
公開日・更新日
公開日
2026-03-05
更新日
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