がん診療連携拠点病院等におけるがん診療の実態把握に係る適切な評価指標の確立に資する研究

文献情報

文献番号
202407005A
報告書区分
総括
研究課題名
がん診療連携拠点病院等におけるがん診療の実態把握に係る適切な評価指標の確立に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22EA1005
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
藤 也寸志(国立病院機構 九州がんセンター )
研究分担者(所属機関)
  • 若尾 文彦(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センター本部)
  • 東 尚弘(国立大学法人 東京大学 大学院医学系研究科公衆衛生学分野)
  • 高山 智子(静岡社会健康医学大学院大学 社会健康医学研究科)
  • 前田 英武(高知大学 医学部附属病院)
  • 増田 昌人(琉球大学医学部附属病院第二内科)
  • 津端 由佳里(国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学 大学院医学系研究科呼吸器内科学分野)
  • 横川 史穂子(新潟県立看護大学 成人看護学)
  • 栗本 景介(名古屋大学 医学部付属病院 消化器外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
8,280,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、がん診療連携拠点病院等(拠点病院)に関するがん診療の実態を継続的に把握・評価できる適切な評価指標の開発・選定を通じて、「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」にエビデンスを提出し、次期整備指針の策定や「がん対策推進基本計画(基本計画)」の推進に寄与することを目的とする。
研究方法
本研究班は、ロジックモデルを用いた拠点病院のがん診療の質向上に役立つ客観的な評価指標の策定を目指した。 
<昨年度までの活動>
拠点病院の整備指針をベース(がん施策)とし、基本計画の最終アウトカムをそのまま最終アウトカムとしたロジックモデルの作成を目指して、以下の活動を行った。
・研究班メンバーによる継続的な議論
・現場の声を反映することを目的とした対面でのインタビュー調査:都道府県拠点病院(9施設)、地域拠点病院(7施設)、都道府県がん診療連携協議会(3都県)、都道府県行政(3県)、がん医療の領域の研究代表者等(7専門領域)
・ロジックモデル(たたき台)を作成
・拠点病院の活動実態の評価のために必要な指標や現場が評価を望む活動等に関する全国拠点病院を対象としたアンケート調査
<本年度の活動>
・上記のアンケート調査結果の検討を行い、ロジックモデルのたたき台に反映させた。本年度全期間を通じて、さらに適切な評価指標について研究班内で議論を深め、ロジックモデル全体の論理の妥当性や適切な指標を設定した。
・一方、拠点病院の評価を適切に行うためには、拠点病院の全職種の医療従事者への医療者調査が必須であると考え、その計画を立案し、拠点病院5施設を対象としたパイロット調査を実施した。さらに回答者のインタビュー調査を行うことで、調査のあり方や問題点に関する意見を聴取し、それらを踏まえて調査項目の設定を行うとともにロジックモデルの改訂を行った。
結果と考察
1.全拠点病院へのアンケート調査結果の検討
133の拠点病院から回答を得た。本年度に入り、結果を検討しロジックモデルの更なる改訂を行った。
2.拠点病院の全職種を対象とした医療者調査の計画立案とパイロット調査の実施
2-1.医療者調査の計画と質問項目の選定
全国拠点病院のがん診療に関わる全職種を対象とするような大規模医療者調査は前例がほぼないため、実施可能性を考えながら適切な項目を選別した。
2-2.パイロット調査の実施
全国の拠点病院の5施設から協力を得てパイロット調査を行った(令和6年10月~12月)。
2-3.結果解析と回答者へのインタビュー調査
結果の集計と併行して、回答者の中から19名の同意者に協力を得て、回答時の設問の理解度や判断内容(設問をどのように解釈し回答したか、回答肢は適切であったか等)や調査のあり方に関する問題点・改善点についてオンラインインタビュー調査を行った。 
2-4.医療者調査の改訂
集計結果とともにインタビュー調査から全拠点病院への医療者調査の実施に向けて改訂するべき問題点を明確にした。
3.ロジックモデルの最終案の策定
以上の活動と併行しながら、研究班内でロジックモデルにおけるロジックの妥当性や指標の適切性・測定可能性などについて、本年度を通じて議論を継続し、ロジックモデルを改訂した。具体的には、拠点病院の整備指針を基準としながら、各領域の項目を再編成して、12領域のロジックモデルを策定した。全国の拠点病院の活動の効果を評価するためには、今まで未施行の医療者調査や、既に施行されているQuality Indicator(QI)研究や患者体験調査の新項目を提案する必要があると考え、中間アウトカムと分野別アウトカムに多くの新たな指標を加えた。
本研究班では、拠点病院に特化した評価指標を策定すること、我が国におけるがん医療全体における拠点病院制度自体の有効性や問題点を客観的に評価できる指標を策定することを目指した。今後は、ロジックモデルを用いてQI研究や患者体験調査に関する各指標のベースライン値を確定し、また全国の拠点病院に対する医療者調査を実施することにより、本ロジックモデルの妥当性の検討を行う必要がある。
結論
本研究班によって、初めて拠点病院におけるがん診療の実態を継続的に把握・評価できる適切な評価指標の開発・選定のための研究が進められた。最終的な目標は、策定した評価指標の調査により、拠点病院全体としての活動実態やあり方を評価すること、また各施設の活動状況を見える化してPDCAサイクル推進活動を進展させることで、次期整備指針策定や基本計画の推進に寄与することである。ロジックモデルは一時点の測定でなく、経時的に測定して変化をみることによって、その評価方法の有効性が初めて分かることの認識をもつことが重要である。

公開日・更新日

公開日
2026-03-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-03-10
更新日
-

文献情報

文献番号
202407005B
報告書区分
総合
研究課題名
がん診療連携拠点病院等におけるがん診療の実態把握に係る適切な評価指標の確立に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22EA1005
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
藤 也寸志(国立病院機構 九州がんセンター )
研究分担者(所属機関)
  • 若尾 文彦(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センター本部)
  • 東 尚弘(国立大学法人東京大学 大学院医学系研究科公衆衛生学分野)
  • 高山 智子(静岡社会健康医学大学院大学 社会健康医学研究科)
  • 前田 英武(高知大学 医学部附属病院)
  • 増田 昌人(琉球大学医学部附属病院 第二内科)
  • 津端 由佳里(国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学 大学院医学系研究科呼吸器内科学分野)
  • 横川 史穂子(新潟県立看護大学 成人看護学)
  • 栗本 景介(名古屋大学医学部付属病院 消化器外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、がん診療連携拠点病院等(拠点病院)に関するがん診療の実態を継続的に把握・評価できる適切な評価指標の開発・選定を通じて、「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」にエビデンスを提出し、次期整備指針の策定や「がん対策推進基本計画(基本計画)」の推進に寄与することを目的とする。
研究方法
拠点病院のがん診療の質向上に役立つ客観的な評価のためのロジックモデルの策定を行った。
1.拠点病院の整備指針をベースとしたロジックモデル(たたき台)の作成  
1) ロジックモデル作成に関する研究班内でのコンセンサス形成
2) 都道府県がん拠点病院(9施設)、地域がん拠点病院(7施設)、都道府県がん診療連携協議会(3都県)、都道府県行政(3都県)および関連研究班代表(7領域)への対面でのインタビュー調査
3) 以上に基づくロジックモデル(たたき台)の作成
2. 全国拠点病院へのアンケート調査
ロジックモデル(たたき台)を提示して、拠点病院の活動実態の評価のために必要な指標や現場が評価を望む活動等について、全国拠点病院を対象としてアンケート調査を行った。その結果の検討を行い、ロジックモデル(たたき台)に反映させた。
3.拠点病院の全職種を対象とした医療者調査の計画立案とパイロット調査の実施
拠点病院の評価を適切に行うためには、拠点病院の全職種の医療従事者への医療者調査が必須であると考え、その計画を立案し、拠点病院5施設を対象としたパイロット調査を実施した。さらに回答者へのインタビュー調査を行うことで、調査のあり方や問題点に関する意見を聴取し、それらを踏まえて調査項目の再設定を行うとともにロジックモデルの改訂を行った。
4.ロジックモデルの最終案の策定
上記 1.~3.の結果を踏まえて、ロジックモデルに反映させて最終版を策定した。
結果と考察
拠点病院の整備指針をベース(がん施策)とし、基本計画で示された最終アウトカムをそのまま最終アウトカムとしたロジックモデルを策定した。
具体的には、拠点病院の整備指針を基準としながら、各領域の項目を再編成して、下記12領域のロジックモデルを策定した。全国の拠点病院の活動の効果を評価するためには、既に施行されてきたQuality Indicator研究や患者体験調査に新項目を提案する必要があると考え、中間アウトカムと分野別アウトカムに多くの新たな指標を加えた。さらに、初めて医療者調査をロジックモデルに組み込んだ。

① 都道府県協議会の役割
② 集学的治療および標準治療:診療体制、支持療法、多職種連携/チーム医療、セカンドオピニオン
③ 手術療法:診療体制、人員関連
④ 放射線療法:診療体制、人員関連
⑤ 薬物療法:診療体制、人員関連(免疫チェックポイント阻害薬を含む)
⑥ 緩和ケア:診療体制、院内連携、地域連携、自殺予防対策
⑦ 希少がん:診療体制、地域連携
⑧ 難治がん:診療体制、地域連携
⑨ ライフステージに応じたがん対策:小児がん長期フォローアップ、AYA世代がん患者の支援、生殖医療、就学・就労・アピアランスケア、高齢者・障がい者がん患者の診療
⑩ 相談支援:相談支援体制、院内連携、地域連携、周知活動、人員関連
⑪ 情報提供:体制整備、地域連携、がん教育
⑫ その他:医療の質、BCP、安全管理、ネット環境整備、院内がん登録、臨床研究・調査研究

医療者調査については、全国拠点病院のがん診療に関わる全職種を対象とする大規模なものは前例がないため、実施可能性を考えながら適切な質問項目を選別した。パイロット調査の結果の集計と併行して行ったインタビュー調査(医師7名、薬剤師2名、看護師5名、理学療法士1名、社会福祉士2名、公認心理師1名、その他1名)では、質問意図の解釈や回答選択肢を選ぶ基準に個人差があるなど、多くの問題点が明らかになった。今後、それらに基づいた医療者調査のあり方のさらなる検討が求められる。 
結論
今回初めて、拠点病院におけるがん診療の実態を継続的に把握・評価できる適切な評価指標の開発・選定のための研究が進められた。本研究では、拠点病院の活動に特化して、その機能・役割に関する活動の進捗等を確認できる客観的な評価方法と評価指標を開発・選定し、評価体制の構築を目指した。策定する評価指標については、特に拠点病院が目指す姿を意識でき改善活動に資する指標であることを念頭においた。最終的な目標は、策定した評価指標の調査により拠点病院全体としての活動実態やあり方を評価すること、また各施設の活動状況を見える化してPDCAサイクル推進活動を進展させることで、次期整備指針策定や基本計画の推進に寄与することである。そのためには、本研究班で策定したロジックモデルは、一時点の測定でなく経時的に測定して変化をみることによって、その評価方法の有効性が初めて分かることの認識をもつことが重要である。

公開日・更新日

公開日
2026-03-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-03-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202407005C

収支報告書

文献番号
202407005Z