がん研究に患者・市民参画を実現するための患者・市民に対する教育カリキュラム・プログラムの開発に関する研究

文献情報

文献番号
202407001A
報告書区分
総括
研究課題名
がん研究に患者・市民参画を実現するための患者・市民に対する教育カリキュラム・プログラムの開発に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22EA1001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
有賀 悦子(帝京大学 医学部 緩和医療学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 江口 英利(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 勝俣 範之(日本医科大学 医学部)
  • 三森 功士(九州大学病院別府病院)
  • 大滝 純司(東京医科大学 医学教育学分野)
  • 渡邊 清高(帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科)
  • 片山 佳代子(国立大学法人 群馬大学 情報学部)
  • 片野田 耕太(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所データサイエンス研究部)
  • 桜井 なおみ(キャンサー・ソリューションズ株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
6,212,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
患者・市民ががん研究に参画することを実現させるための効果的な教育方法の開発を目的として患者・市民に期待される能力・資質(コンピテンシー)、育成目標(アウトカム)をデルファイ法で明らかにし、体系的カリキュラムおよびそれに基づいた教育方法の開発を目的とする。
 3年目では、基礎研修として動画(Webラーニング)を公開し、受講者のアンケート調査を実施する。専門研修(対面研修会)ではカリキュラム・コードを付与した研修会を開催し、教育効果およびカリキュラムの欠損、重複等の有無を確認し、カリキュラム第2版の最終調整を行う。
研究方法
1~2年目にカリキュラム第2版は、「興味があるがん研究の参画募集に手をあげてみようと思うことができる人」をアウトカムとして、領域コードが6(参画、がん、研究、統計、EB(情報リテラシー)、EL(倫理、法、制度))、コンピテンシーは13に整理された。
この第2版を用いて、教育プログラム開発と調査に取り組む。
1.基礎研修プログラム:自己学修教育ツールとして、用語集、動画(Webラーニング)を作成してきた。3年目は、動画(Webラーニング)23本に字幕挿入後、公開し、アンケート調査を行う。
2.専門研修プログラム:学術団体(学会)の患者支援プログラムにカリキュラム・コードを適応させ、対面研修会を開催する。また、研究班主催で研修会を開催し、アンケート調査を実施する。
3.カリキュラムの最終版の確定:研究班分担研究者および研究協力者による会議(分担・協力研究者パネル)で、カリキュラムの欠損、重複を確認し、カリキュラム最終版を確定する。 
結果と考察
1.動画(Webラーニング):
1)プレ調査:回答は83名(がん経験者43%、患者家族25.6%、一般市民31.4%)であった。「統計-1」、「EL-2」の平均値が低かった。
2)本調査:回答は114名、字幕を付けた後の調査では「EL-2」は理解できなかったと回答した受講者が33.3%から25%へ改善した。全体を通して、動画(Webラーニング)の受講で「よく・まあまあ理解することができた」と回答したものは、【内容】91.8%、【表現の適切さ】90.7%、【正確さ】90.7%、【わかりやすさ】79.1%であった。
基礎研修プログラムにおいて、受講者は疾病理解に関する動画(「がん-1」、「がん-2」)に集まりやすい傾向であった。動画のメリットは、反復して見直すことができることである。しかし、「統計」のように受講数が増えないものには受講勧奨に繋がる仕組みが必要かもしれない。受講者の理解は高く、適切な更新を行うことで患者・市民参画の研修コンテンツとして有用であることが示された。

2.対面研修会
1)カリキュラム・コードを付与した学術団体におけるプログラムの実施
4学会で開催され、コード数55、プログラム数33であった。教育技法は、グループワーク、討論、模擬的研修、講義であった。独立した患者支援プログラムは参加者数が管理できたが(癌学会 7名(Web聴講者17名)、癌治療学会 68名、臨床腫瘍学会 56名(Web参加者 23名))、一般プログラムへ患者・市民が自由に参加できる学会ではコードを付与したプログラムでの参加人数の詳細把握は難しかった。
2)研究班による研修会
令和6年7月に東京で、終日開催された。使用コード数19、プログラム数6、参加者数29名であった。アンケート回答者28名、女性24名(85.7%)、関東近郊および広島県(3.6%)、半数以上が50歳代で、82.1%ががん患者とその遺族、一般市民は17.9%であった。96.4%が患者・市民参画への理解が進んだと回答した。
学修効果が高い討論、グループワーク、模擬(シュミレーション)など実践的な教育技法が用いられ、受講者の理解の高さから参画を推進するために有用であることが認められた。
学術団体(学会)主催のプログラムは「がん」「研究」のコードが、独立した研修会では、「参画」「研究」が頻用されていた。いずれも付帯的に、EL(倫理、法規等)が認められたが、「統計」は1プログラム、「EB」の中でもEB-1(ガイドラインなどEBMに関すること)を活用したプログラムは0回であった。カリキュラム・コードを用いることで学修領域の偏り(濃淡)が可視化でき、研修企画側にも学修者側にも効果的に機能することが分かった。

3.カリキュラム最終版:分担・協力研究者パネルにおいて、リキュラムの欠損、重複は認めなかったことが確認され、第2版を最終版として確定することで全員一致した。
結論
カリキュラム第2版に基づく、動画(Webラーニング23本)の公開、対面研修の実施(研修会5回、プログラム39本)、それらに対する評価を行い、カリキュラム第2版に欠損や重複がないことが確認され、実行可能な最終版として第2版を確定した。

公開日・更新日

公開日
2026-02-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2026-02-19
更新日
-

文献情報

文献番号
202407001B
報告書区分
総合
研究課題名
がん研究に患者・市民参画を実現するための患者・市民に対する教育カリキュラム・プログラムの開発に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22EA1001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
有賀 悦子(帝京大学 医学部 緩和医療学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 江口 英利(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 勝俣 範之(日本医科大学 医学部)
  • 三森 功士(九州大学病院別府病院)
  • 大滝 純司(東京医科大学 医学教育学分野)
  • 渡邊 清高(帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科)
  • 片山 佳代子(国立大学法人 群馬大学 情報学部)
  • 片野田 耕太(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所データサイエンス研究部)
  • 桜井 なおみ(キャンサー・ソリューションズ株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
患者・市民ががん研究に参画することを実現させるために、患者・市民に期待される能力・資質(以下、コンピテンシー)、育成目標(アウトカム)をデルファイ法で明らかにし、体系的カリキュラムを開発することを目指した。
研究方法
体制は、日本癌治療学会(JSCO)、日本癌学会(JCA)、日本臨床腫瘍学会(JSMO)、全国がん患者団体連合会から推薦を受けた研究者で構成した。
1.カリキュラム開発
 分担研究者・研究協力者会議(以下、パネル)で、対応するコンピテンシーを抽出した。デルファイ法(最大9点、採択は平均7点以上、最大最小差5点未満)にて検証し、カリキュラム第1版を作成した。フォーカス・グループ・インタビュー(以下、FGI)を踏まえて第2版とし、プログラムに適応させカリキュラムの妥当性を検証した。

2.基礎研修プログラム
1)用語集:パネルで用語を抽出、監修、修正後、公開した。
2)動画(Webラーニング):自己学修コンテンツ23本の監修・査読後、字幕を挿入し、公開した。同時に評価アンケートを設置し、サイト内で集計を行った。

3.専門研修プログラム
1)トライアル:学会患者支援プログラムの一セミナーにカリキュラム・コードを付与し検証した。
2)学術団体における対面研修会:4学会の患者支援プログラムにカリキュラム・コードを適応させ開催した。
3)研究班主催対面研修会:令和6年7月20日、カリキュラム・コードを付与して開催した。

4.評価について
1)FGI:カリキュラム第1版に対し、がん患者体験者と遺族4名で3つのテーマについて実施した。
2)日本癌治療学会会員に対する患者・市民参画に関する意識調査:年1回、Web調査を行った。
3)動画(Webラーニング)評価:動画開発と平行する形でアクションリサーチの手法を用い定性的評価を実施した。
4)対面研修に対する評価:参加者から定性的フィードバックで患者・市民参画に関する理解度などを評価し、企画側は自由記載でフィードバック評価を行った。
結果と考察
1. カリキュラム開発:
 パネルから106のコンピテンシーが抽出され、調整後、カリキュラム第1版を作成した。FGIの評価を経て、2版の開発に至った。患者らの声は非常に大きな役割を果たした。
 アウトカムは「興味があるがん研究の参画募集に手をあげてみようと思うことができる人」とし、カリキュラム第2版は、コード領域は6つ(「参画」、「がん」、「研究」、「統計」、「EB」(科学的根拠と情報)、「EL」(倫理、法規、制度))、その下位項目は全13のコンピテンシーに整理された。これに基づいて教育コンテンツ開発を行った。

2. 基礎研修プログラムと評価
1) 用語集450語を公開した。検索が簡便、短文解説が読みやすいという感想を得ている。
2) 動画(Webラーニング):座談会3本、講義20本を作成し、プログラム評価アンケートを行った。
回答114名、字幕付与後「EL-2」(倫理)は大きく改善した。全体で、「理解できた」が【内容】91.8%、【表現の適切さ】90.7%、【正確さ】90.7%、【わかりやすさ】79.1%であった。教育効果は高く、参画を推進するために有用であることが示された。

3. 専門研修プログラムと評価
1) トライアル:一プログラムに複数のカリキュラム・コードが可能で、一コードスライド1枚以上の解説が必要であることがわかった。
2) 学術団体企画による対面研修会
JCA: 参加者:7名、Web聴講者17名、JSCO:参加者:68名、JSMO: 参加者:56名、Web参加者 23名、JASCC: 学会全体での患者・市民の参加者数約100名であった。
3) 研究班主催対面研修会開催:参加者:29名、使用コード19
アンケート回答者28名は女性85.7%、半数以上が50歳代、82.1%ががん患者・遺族であった。96.4%が患者・市民参画への理解が進んだと回答しており、研修会の高い学修効果が示唆される結果であった。一方、十分な準備時間を確保と研修会に特化したマネジメントの重要性が明確となった

4. 日本癌治療学会会員の患者・市民参画に関する意識調査
 「内容まで理解している 」は、令和5年17.3% → 令和6年25.1%と増加していた。

5. カリキュラム最終版について
上記プログラムを通じて、分担・協力研究者パネルにより、カリキュラムの欠損、重複は認めないことが確認され、第2版を最終版として確定した。
結論
カリキュラム第2版の開発を行った。それに基づく基礎研修(用語集、動画(Webラーニング))、専門研修(対面研修)プログラムを実施し、カリキュラム・コードは良好に機能し、教育プログラムに適応できることが確認された。第2版を最終版として確定した。また、基礎。専門研修プログラムはいずれも研修効果を認めた。

公開日・更新日

公開日
2026-02-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2026-02-19
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202407001C

収支報告書

文献番号
202407001Z