「医療用医薬品の添付文書の在り方及び記載要領に関する研究」

文献情報

文献番号
200940034A
報告書区分
総括
研究課題名
「医療用医薬品の添付文書の在り方及び記載要領に関する研究」
課題番号
H20-医薬・一般-012
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
上田 志朗(千葉大学 大学院薬学研究院 医薬品情報学)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 信範(千葉大学 大学院薬学研究院 臨床教育)
  • 安原 一(昭和大学 医学部 第二薬理学)
  • 服部 元史(東京女子医科大学 腎臓小児科)
  • 遠藤 一司(国立がんセンター東病院 薬剤部)
  • 後藤 一美(聖路加国際病院 薬剤部)
  • 小林 江梨子(千葉大学 大学院薬学研究院 医薬品情報学)
  • 櫻田 大也(千葉大学 大学院薬学研究院 医薬品情報学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療用医薬品添付文書は、実際に活用する医療現場の現状に即したものである必要がある。医療用医薬品添付文書の記載要領改訂から10年以上経過した現在、医療の進歩や高齢化の進展、IT環境の変化など医療を取り巻く環境は大きく変化している。そこで、本研究では、新たな医療用医薬品添付文書の記載要領の指針作成を最終目標とし、平成20年から3年計画の2年目として、医療従事者における医薬品添付文書の活用実態を調査し、その問題点等に関して検討した。
研究方法
医師及び薬剤師を調査対象とし、全国規模の医療用医薬品添付文書の活用実態調査を実施した。医師の調査では、病院勤務医(935施設)及び開業医(940施設)を対象とし、計1875施設に調査を実施した。調査票は、病院勤務医に対し各施設の診療科数分、開業医に対し1施設1部ずつ送付した。薬剤師の調査では病院薬剤師(940施設)及び薬局薬剤師(1410施設)を対象とし、計2350施設に対して1施設2部ずつの調査票を送付した。これら、調査票の集計・解析作業を実施し医療用医薬品添付文書の改善点の抽出及びその対応策について検討した。
結果と考察
調査の結果、病院勤務医及び開業医から3148名、病院薬剤師と薬局薬剤師から1738名の回答が得られた。調査結果の分析により、現行の医療用医薬品添付文書には、曖昧な定義の存在、概論に留まり具体性がない記述や、注意喚起の対象が不明瞭な記述などのいくつかの改善点が存在することが分かった。また、添付文書の評価は医療従事者の業務形態や添付文書に対する考え方によって影響を受けることが明らかとなった。今後の医療用医薬品添付文書の在り方を考えていく上で、医療従事者の添付文書の活用状況や業務内容に会った記載量・記載内容・記載順序等を考慮する必要性が示唆された。
今後、さらに他の項目に関しても情報学的検討を実施し、そこであがってくる改善点に関して十分な議論を重ねてより良い医療用医薬品添付文書の記載要領の指針にしていく必要がある。
結論
今後の医療用医薬品添付文書は、限られたスペースの中で有用な情報を分かりやすく提供する観点から、画一的な表現を是正し、文書を簡略化すること、要点および設定根拠を明確化すること、視覚に訴える表示形式の工夫などが必要であること、さらに活用度・重要度の高い項目の記載順序の見直しやIT環境への対応、遺伝子治療薬や分子標的治療薬などの新規医薬品に対応した記載要領の改善などが、臨床での医療用医薬品添付文書の有用性や利便性の向上につながると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2010-06-04
更新日
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