へき地・離島等での血液製剤の有効利用のための研究

文献情報

文献番号
202406015A
報告書区分
総括
研究課題名
へき地・離島等での血液製剤の有効利用のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24CA2015
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
田中 朝志(東京医科大学八王子医療センター 臨床検査医学分野 )
研究分担者(所属機関)
  • 藤田 浩(東京都立墨東病院 輸血科)
  • 藤原 慎一郎(自治医科大学 輸血細胞移植部)
  • 長井 一浩(長崎大学病院 細胞療法部)
  • 早坂 勤(日本赤十字社 血液事業本部 経営企画部 献血推進課)
  • 宮園 卓宜(公益財団法人慈愛会今村総合病院 血液内科 )
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
4,577,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
へき地・離島等の医療機関においては、緊急輸血への対応が困難であり、ある程度の余剰在庫を抱えるため廃棄率が高いという課題がある。また、産科小規模施設でも頻度が低いながら大量出血に備えるための院内在庫が必要な場合があり、廃棄率が高くなりやすい。令和5年度の血液製剤使用実態調査では、緊急避難的な血液製剤の融通を行ったことがある施設でもその取扱い方法が整理されていた施設は少なく、内容も不十分であった。また、ブラッドローテーション(Blood Rotation;BR)を運用するに当たり、情報の記録等も含めた血液製剤の適切な保管管理、血液製剤の品質を維持できる適切な輸送の方法等、血液製剤の取扱いに関するノウハウや費用対効果の高い運用方法等の知見も不足していた。本研究では、へき地・離島施設での緊急輸血の安全性・有効性向上のための対策立案、並びに輸血療法の医療連携を推進するための提言作成を目的とした。
研究方法
へき地・離島での輸血療法の実態調査と現地視察を実施し、課題抽出と改善策への意見聴取を行った。また、産科施設での輸血療法に対する実態調査とへき地産科施設の現地視察も行った。長崎県では離島医療機関ならびに地域血液センターへのヒアリング調査を実施し、BRの実効可能性について検討した。鹿児島県では離島施設の現地視察、ヒアリングを通じて「へき地・離島における血液製剤の緊急避難的融通に対する考え方」を整理した。
結果と考察
へき地・離島での実態調査と視察から、特に離島においてBRを活用した血液供給体制の改善を求める意見が挙げられた。地域の実状に基づいて行われている緊急避難的な血液製剤の融通や院内血輸血に関して安全性・効率性の向上を検討する余地があった。本研究で得られた知見に基づき「へき地・離島における血液製剤の緊急避難的融通に対する考え方」を作成したが、地域特性や緊急事態に柔軟に対応できるようにさらなる検討が必要であった。従来は離島・へき地での輸血医療の課題の解決は主に当該施設の担当者に委ねられてきた。今後は地域の課題を合同輸血療法委員会、行政、血液センターで共有し、継続的に検討すると共に学術的・経済的に支援するような取り組みも必要と思われる。
結論
遠隔地ではブラッドローテーション(BR)の考え方を活用した血液供給体制の改善が必要である。「へき地・離島における血液製剤の緊急避難的融通に対する考え方」は、さらに地域特性を考慮し、緊急時の状況に応じて柔軟に解釈ができる内容にアップデートすることが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2026-01-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
その他
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2026-01-19
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202406015C

成果

専門的・学術的観点からの成果
(1) 研究成果
 へき地・離島・産科施設に対して実態調査と現地視察を行い、現場の詳細な情報を取得した。各施設の場所・機能・医療連携の状況などを勘案したきめ細かい対策が必要であることが判明した。
(2) 研究成果の学術的・国際的・社会的意義
日本の事例を国際学会で発表し、海外のへき地での同様の課題を共有し、対策を検討する契機となった。
臨床的観点からの成果
(1) 研究成果
 遠隔地での輸血療法の現実的な改善策として、ブラッドローテーションを活用した血液供給体制の構築を提案した。これは血液センター、遠隔地の地域中核病院とその周辺施設のニーズに見合うものである。また、行政も含めた地域での輸血医療連携の推進の必要性がより明確になった。
(2) 研究成果の臨床的・国際的・社会的意義
本研究で得られた知見は合同輸血療法委員会で遠隔地での輸血療法を検討する際の基礎資料となる。
ガイドライン等の開発
「へき地・離島における血液製剤の緊急避難的融通に対する考え方」を作成した。
その他行政的観点からの成果
へき地・離島・産科施設での実態調査により、各施設の輸血管理体制、緊急輸血実施の状況、今後の輸血療法への要望などの情報を得た。これらの成果は「輸血療法実践ガイド」の基礎資料として活用される予定である。
その他のインパクト
遠隔地での輸血医療の向上を継続的に検討するため、日本輸血・細胞治療学会、へき地・離島救急医療学会、日本地域医療学会、日本プライマリ・ケア連合学会の4学会共同で調査活動やジョイントシンポジウムの開催を予定している。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
9件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
ガイドライン作成1件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Nagai K, Tomari N, Egawa S, et al
Feasibility evaluation of a blood rotation system for efficient blood product utilization in remote island settings
Vox Sanguinis , 119 (6) , 548-555  (2024)
10.1111/vox.13626

公開日・更新日

公開日
2026-01-19
更新日
-

収支報告書

文献番号
202406015Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,949,000円
(2)補助金確定額
4,986,894円
差引額 [(1)-(2)]
962,106円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 914,226円
人件費・謝金 0円
旅費 1,664,187円
その他 1,036,481円
間接経費 1,372,000円
合計 4,986,894円

備考

備考
現地での班会議開催が2回に留まり、離島・へき地への視察頻度が限定的となったため。

公開日・更新日

公開日
2026-01-19
更新日
-