血液製剤の安全性向上のために実施される肝炎ウイルス等検査法の精度管理評価に関する研究

文献情報

文献番号
200940033A
報告書区分
総括
研究課題名
血液製剤の安全性向上のために実施される肝炎ウイルス等検査法の精度管理評価に関する研究
課題番号
H20-医薬・一般-011
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
水澤 左衛子(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
1,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血液製剤を介した肝炎等ウイルス感染にかかわる安全性確保対策は社会的に重要な課題である。血漿分画製剤製造販売業者等においては、NATガイドラインに基づきB型肝炎ウイルス(HBV), C型肝炎ウイルス及びヒト免疫不全ウイルス(HIV)の3つのウイルスの核酸増幅検査(NAT)を、衛生検査所においては遡及調査のガイドラインに基づいて輸血後検査としてHBV-NATを実施している。薬事・食品衛生審議会血液事業部会の指示に基づいて既に各ウイルスの感度パネルを用いたコントロールサーベイを実施し、各施設が実施している試験の感度が適切に精度管理されていることを報告した。HBVの日本で見られる主な遺伝子型はCとBであるが、最近では若年層の献血者において欧米で主流の遺伝子型Aが増加傾向にあり、稀に遺伝子型Dも検出される。そこで、日本で見られるA-Dの4つの遺伝子型を現に実施しているHBV-NATによって遺伝子型にかかわらず検出できているかを確認することを目的に第三回コントロールサーベイを実施した。
研究方法
日本で見つかったA-Dの4つの遺伝子型のHBV陽性血漿のパネルを用いて分画製剤製造販売業者等と民間の衛生検査所を対象にコントロールサーベイを実施した。
結果と考察
分画製剤製造販売業者等と民間の衛生検査所が実施するHBV-NATによって遺伝子型にかかわらず検出または定量できることが示された。以上の結果を薬事・食品衛生審議会血液事業部会運営委員会に報告した。また、平成20年に献血血液のNATスクリーニング検査の体制が新しくなったので、新体制のHIV-NATを対象とした第四回コントロールサーベイ実施に向けて実施要綱を作成した。
結論
NATガイドライン及び遡及調査のガイドラインに基づいて分画製剤製造販売業者等及び民間の衛生検査所が実施するHBV-NATは遺伝子型にかかわらずHBV遺伝子を検出または定量できることを確認した。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200940033B
報告書区分
総合
研究課題名
血液製剤の安全性向上のために実施される肝炎ウイルス等検査法の精度管理評価に関する研究
課題番号
H20-医薬・一般-011
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
水澤 左衛子(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血液製剤を介した肝炎等ウイルス感染にかかわる安全性確保対策は社会的に重要な課題である。血漿分画製剤製造販売業者等においては、B型肝炎ウイルス(HBV), C型肝炎ウイルス及びヒト免疫不全ウイルス(HIV)の3つのウイルスの核酸増幅検査(NAT)の検出感度の目標を4課長通知に基づき100IU/mLとしている。一方、衛生検査所においては遡及調査のガイドラインに基づいて輸血後検査としてHBV-NATを実施している。薬事・食品衛生審議会血液事業部会の指示に基づいて(1)HIV-NATの感度の精度管理の実情を把握し、(2)HBV-NATの特異性を把握することを目的として、上述のガイドラインに基づいてNATを実施している施設を対象にコントロールサーベイを実施した。
研究方法
(1)HIV-RNA国内標準品を用いて作製した感度パネルを用いて平成19年度に実施したコントロールサーベイの結果を解析した。(2)日本で見つかったA-Dの4つの遺伝子型のHBV陽性血漿からなるパネルを用いてコントロールサーベイを実施し、遺伝子型の違いを考慮に入れたNATの性能の検討を行った。
結果と考察
HIV-NATについては分画製剤製造販売業者等の全施設において目標とする感度を達成すべくNATの精度管理がされていることが示された。その後、平成20年に献血血液のNATスクリーニング検査の体制が新しくなったので、新体制のHIV-NATを対象とした第四回コントロールサーベイ実施に向けて実施要綱を作成した。HBV-NATについては、分画製剤製造販売業者等と民間の衛生検査所において遺伝子型にかかわらず検出または定量できることが示された。以上の結果を薬事・食品衛生審議会血液事業部会運営委員会に報告した。
結論
NATガイドラインに基づいて分画製剤製造業者等において実施されているHIV-NATは全ての対象施設において目標とする感度を達成すべく精度管理されていることが示された。NATガイドライン及び遡及調査のガイドラインに基づいて分画製剤製造販売業者等及び民間の衛生検査所において実施されているHBV-NATは全ての対象施設において遺伝子型にかかわらずHBV遺伝子を検出または定量できることが示された。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200940033C

成果

専門的・学術的観点からの成果
血液製剤の安全性向上のために血漿分画製剤製造所等ごとに実施している核酸増幅試験法について、国際単位で表示した共通の検体を測定することによって、HIV検出感度の精度管理が適切であること,日本で見られる4つの遺伝子型のHBVを遺伝子型に係わらず検出できることが示された。成果をWHOの核酸増幅試験法ワーキンググループ会議で発表し、日本における核酸増幅試験が適切に管理されていることを国内外に示した。
臨床的観点からの成果
「遡及調査のガイドライン」に基づいて、輸血を受けた患者が万一HBVに感染した場合の早期発見と原因究明のためにHBV核酸検査を民間の衛生検査所で実施しているところである。わが国で承認されている当該体外診断薬は定量法のみであるが、うち1キットは当該検査を実施している全ての衛生検査所で使用されており、且つ、施設間で感度と特異性に差が無いことが示された。よって、輸血後のHBV核酸検査をいずれの衛生検査所が実施しても結果に差が無いことが示唆された。
ガイドライン等の開発
無し
その他行政的観点からの成果
HIV核酸増幅試験の感度の精度管理が適切に行われていることを薬事・食品衛生審議会平成21年度第1回血液事業部会運営委員会(平成21年5月14日)に報告した。
HBV核酸増幅試験法によって遺伝子型にかかわりなく検出できることを薬事・食品衛生審議会平成21年度第4回血液事業部会運営委員会(平成22年3月2日)に報告した。

その他のインパクト
無し

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
1件
WHOの核酸増幅試験法ワーキンググループ会議(2009年6月、ブリュッセル)
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
3件
成果を踏まえてHIV核酸増幅試験法の感度の施設間差が是正された。成果を薬事・食品衛生審議会平成21年度第1回及び第4回血液事業部会運営委員会(平成21年5月14日及び平成22年3月2日)に報告した。
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-