献血血の安全性確保と安定供給のための新興感染症等に対する検査・スクリーニング法等の開発と献血制限に関する研究

文献情報

文献番号
200940029A
報告書区分
総括
研究課題名
献血血の安全性確保と安定供給のための新興感染症等に対する検査・スクリーニング法等の開発と献血制限に関する研究
課題番号
H20-医薬・一般-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
倉根 一郎(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 小林 睦生(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 田島 茂(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 百瀬 俊也(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 岡田 義昭(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、ヒトや物の国際間の頻繁な移動によって感染症が拡大し、これまで日本には存在しなかった病原体が国内に持ち込まれている。ウエストナイル熱やシャーガス病に対する検査法等を検討し、輸血の安全性に貢献すること、また、血液からのプリオン除去法を開発することによって、安全性の向上を目指す。本研究によって献血血の安全性確保と安定供給に貢献することを目的とした。
研究方法
献血血の安全性確保と安定供給のため、変異型プリオン病、シャーガス病、およびウエストナイルウイルス等のフラビウイルスを対象として検査およびスクリーニング法等の開発に関する研究を行った。
結果と考察
変異型プリオン病、シャーガス病、およびウエストナイルウイルス等のフラビウイルスを対象として検査•スクリーニング法等の開発と献血制限に関する研究を行った。異常プリオン除去法の開発については、感染細胞から産生される異常プリオンをTriton X-100又はSDS処理し、感染価を測定したところ、感染性は保持され、両者の間では感染価に著名な差は認められなかった。各々の界面活性剤処理したプリオンをウイルス除去膜を用いて濾過したところ、Triton X-100処理した濾液を感染させた細胞から異常プリオンは検出されず、効率良く異常プリオンが除去されることが明らかとなった。シャーガス病キャリアーの把握については、210名の在日日系ブラジル人の検査希望者についてT.cruzi抗体検査を行った。在日外国人の本疾患感染情況の把握するためラテンアメリカ人集住地域での健康相談会にて3名の抗体陽性者を見出した。重要なアルボウイルス媒介蚊であるヒトスジシマカは、都市部の公園、墓地、戸建て住宅の庭などで朝方から夕方まで執拗に吸血する。密度が高い場所では、8分間吸血飛来してきた雌成虫を捕虫網で捕集すると20-50頭捕集される環境が存在した。迅速、高感度かつ簡便に感染性ウイルスを検出できる新規フラビウイルス検出方法の開発を目指し、デングウイルスレポーターミニゲノムクローンを作製した。さらに本クローンのマイナス鎖RNAを導入した細胞よりルシフェラーゼ活性が検出できた。
結論
変異型プリオン病、シャーガス病、およびウエストナイルウイルス等のフラビウイルスを対象として検査およびスクリーニング法等の開発を進展させた。献血血の安全性確保と安定供給に貢献するための科学的基盤の確立に貢献した。

公開日・更新日

公開日
2010-06-07
更新日
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