文献情報
文献番号
202406002A
報告書区分
総括
研究課題名
専門研修の募集定員設定のための都道府県別・診療科別の医師ニーズの算出に係る研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24CA2002
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
小池 創一(自治医科大学 地域医療学センター地域医療政策部門)
研究分担者(所属機関)
- 今中 雄一(京都大学 医学研究科)
- 松本 正俊(広島大学医学部)
- 東 尚弘(国立大学法人 東京大学 大学院医学系研究科公衆衛生学分野)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
6,504,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
新たな専門医制度の設計に向けた検討の中で、専攻医が都市部の急性期病院に集中し、医師偏在が拡大するのではないかとの懸念が示されていた。このような問題意識のもと、医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会等での議論を踏まえ、日本専門医機構は都道府県別・診療科別の専攻医の採用上限数(シーリング)を設定した。シーリングの設定に当たっては、都道府県別・診療科別の医療ニーズが今後どのようになってゆくかについて関係者が共通認識を持つことが必要となるが、厚生労働省が2020年2月の医師需給分科会で示した「都道府県別診療科ごとの将来必要な医師数の見通し」案から一定の時間が経過していることから、今後、データの更新の必要性も生じてくることが考えられる。
本研究の目的は、厚生労働省から公表されている現在の診療科別必要医師数の将来推計方法について検討を行うこと、及び、今後、厚生労働省において診療科別必要医師数の将来推計を前回同様の方法で更新するために必要となる情報のうち、研究班において入手可能な情報について整理を行うことにある。
本研究の目的は、厚生労働省から公表されている現在の診療科別必要医師数の将来推計方法について検討を行うこと、及び、今後、厚生労働省において診療科別必要医師数の将来推計を前回同様の方法で更新するために必要となる情報のうち、研究班において入手可能な情報について整理を行うことにある。
研究方法
医師需給分科会や専門研修部会において公表をされている診療科別必要医師数の推計方法についての資料の分析等をもとに、今後、厚生労働省が現在行われているものと同様の方法で、診療科別必要医師数の推計を実施する際に必要となる情報のうち、研究班で入手・作成が可能なものについて、最新データに更新を行った。
このうち、性・年齢階級別の仕事率、診療科別勤務時間及び勤務時間削減後仕事量については、令和4年に実施された医師の勤務実態調査結果から、性・年齢階級別の仕事率、診療科別勤務時間及び勤務時間削減後仕事量を算出した。また、いわゆる生残率については、厚生労働省医政局医事課から、平成26、28、30、令和2、4年医師届出票に関して、医療施設に勤務し、基本領域に対応する主たる診療科を届出た医師に関し、医籍登録年別の届出人数に関する特別集計結果の提供を受けて算出を行った。
このうち、性・年齢階級別の仕事率、診療科別勤務時間及び勤務時間削減後仕事量については、令和4年に実施された医師の勤務実態調査結果から、性・年齢階級別の仕事率、診療科別勤務時間及び勤務時間削減後仕事量を算出した。また、いわゆる生残率については、厚生労働省医政局医事課から、平成26、28、30、令和2、4年医師届出票に関して、医療施設に勤務し、基本領域に対応する主たる診療科を届出た医師に関し、医籍登録年別の届出人数に関する特別集計結果の提供を受けて算出を行った。
結果と考察
厚生労働省が行った診療科別必要医師数及びその将来推計については、おかれている前提や仮定について合意が得られるのであれば、おおむね妥当であると考えられた。今後、診療科別の勤務時間以外の医師の必要数に影響を与える要素についてのさらなる検討や、情報のアップデートを行いつつ、関係者の合意形成を行いながら検討を進めることが重要であると考えられた。また、将来の必要数を達成するための年間の養成数の推計についても、さまざまな仮定を置き、検討の過程で出された意見を反映させながら都道府県・診療科別に推計を行うことで計算量が膨大かつ全体像の把握が難しくなっているものと思われ、より幅広い関係者の理解を得るための情報発信のあり方や推計方法のあり方については引き続き検討が必要であると考えられた。
性・年齢階級別の仕事率、診療科別勤務時間及び勤務時間削減後仕事量については、利用可能な直近のデータによる更新を行うことができた。医師届出票や患者調査については、定期的に実施されているものであり、公開情報あるいは特別集計によって定期的なアップデートは可能である。一方、医師の勤務状況については、将来にわたって定期的に把握する仕組みは現時点では確立されていない。医師の勤務実態を必要医師数の推計に反映させる考え方を今後も取り続ける場合には、医師の勤務実態を全国規模で詳細に把握する方法のあり方についても引き続き検討する必要があるものと考えられる。
性・年齢階級別の仕事率、診療科別勤務時間及び勤務時間削減後仕事量については、利用可能な直近のデータによる更新を行うことができた。医師届出票や患者調査については、定期的に実施されているものであり、公開情報あるいは特別集計によって定期的なアップデートは可能である。一方、医師の勤務状況については、将来にわたって定期的に把握する仕組みは現時点では確立されていない。医師の勤務実態を必要医師数の推計に反映させる考え方を今後も取り続ける場合には、医師の勤務実態を全国規模で詳細に把握する方法のあり方についても引き続き検討する必要があるものと考えられる。
結論
厚生労働省から公表をされている現在の診療科別必要医師数の将来推計方法について検討を行うとともに、今後、厚生労働省において診療科別必要医師数の将来推計を前回同様の方法で更新するために必要となる情報のうち、研究班において入手可能な情報について整理を行った。
今後、都道府県別・診療科別の医療ニーズを算出する上では、継続性に配慮しながら、必要な情報を更新しつつ、より簡易で関係者の理解を得やすい方法についての考え方を整理することや、足元の必要医師数の推計と、各年に養成する医師数の算出方法について検討する必要があるのではないかと考えられた。
今後、都道府県別・診療科別の医療ニーズを算出する上では、継続性に配慮しながら、必要な情報を更新しつつ、より簡易で関係者の理解を得やすい方法についての考え方を整理することや、足元の必要医師数の推計と、各年に養成する医師数の算出方法について検討する必要があるのではないかと考えられた。
公開日・更新日
公開日
2025-07-23
更新日
-