ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)推進における新たな要素の同定と世界のUHC達成に向けた我が国の施策検討のための研究

文献情報

文献番号
202405005A
報告書区分
総括
研究課題名
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)推進における新たな要素の同定と世界のUHC達成に向けた我が国の施策検討のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24BA1002
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
本田 文子(国立大学法人一橋大学(社会科学高等研究院))
研究分担者(所属機関)
  • 大曲 貴夫(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国際感染症センター)
  • 野田 信一郎(国立健康危機管理研究機構 国際医療協力局)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
3,820,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国際政策レビューにより、国際社会でのUHCの概念の変遷と新しい要素を同定し、我が国のUHC関連の国際貢献の要点を纏める。また、コロナ禍を経て健康危機の政策対応に関する国際議論が高まる中、UHCの視点から概念を整理し、低中所得国で平時から健康危機に備えておくべき保健システムの要件を、文献レビューとステークホルダーの経験を基に纏める。近年、UHCの礎石として効果的で安全なサービスの重要性が指摘されており、UHCの議論におけるサービスの質の向上に関し、概念とエビデンスを整理し、低中所得国に有用な政策提言を纏める。
研究方法
本研究は、(1)国際政策レビュー、(2)健康危機、(3)サービスの質の三つのテーマから構成される。研究の実施・運営において、本研究を構成する3つのテーマを次の5つのワーキングループ(WG)に分け、活動を行った。
WG 1:UHCに関する政策トラッキング(Prospective review)
WG 2:UHC国際政策レビュー(Retrospective review)
WG 3:健康危機(パンデミック)とUHCに関する概念の整理
WG 4:健康危機(パンデミック)と保健医療財政
WG 5:UHCと保健医療サービスの質

また、日本の国民皆保険の経験に基づく教訓を分析するため、日本の公的医療保険制度の公平性の分析も併せて実施する。
結果と考察
本研究を構成する3つのテーマ(国際政策レビュー、健康危機、サービスの質)を5つのワーキングループ(WG)に分け研究活動を行なった。

国際政策トラッキング(WG 1):6つの要素(国と地域、UHCの概念、アプローチ、評価・測定、ヘルスシステムとの関連、疾患別課題、グローバル・イシュー)を含む枠組みを用い、継続的、追跡的にUHC関連文書の収集と分析を行い、対象期間中の頻出テーマの同定と内容の整理を行った。

国際政策レビュー(WG 2):2016年から2023年までの8年間にWHOの世界保健総会で出された決議・決定文のテーマ分析を行い、89のUHC関連テーマを同定した。

パンデミックとUHCに関する概念の整理(WG 3):効率的に作業を進めるためWG2と連携し、政策レビューで収集したUHCに関する政策文書及びその関連文献から健康危機に関するものを選別し、情報の抽出と整理を開始した。

パンデミックと保健医療財政(WG 4):低中所得国のパンデミック時の保健医療財政上の対応について、簡易レビューを実施した。コロナ禍、低中所得国では、政府の資金調達と管理の機能が重要であることが分かったため、次年度の活動に向けて、パンデミックと公共財政管理に関するスコーピングレビューのプロトコールを作成し、文献検索とレビューを開始した。

保健医療サービスの質に資する政策介入(WG 5):2段階の文献レビュー(迅速レビューと本格レビュー)を採用した。サービスの質の向上に関する迅速レビューを行い、3つのレベル(制度、組織、コミュニティー)の介入から本格文献レビュー用の研究課題を選定した。各研究課題の文献レビュープロトコールを作成し、文献検索、レビューを開始した。

上記の研究活動と並行し、本研究の最終年度、我が国のUHCにおける国際協力の指針をまとめることを視野に、日本の公的医療保険制度の公平性の分析を行った。令和6年度は、日本における保健医療アクセスの水平的公平性の分析及び健康格差の分析を行った。
結論
研究の実施経過:研究分担者と研究協力者の異動に伴う研究班のメンバー構成に変更が生じたため、令和6年度の活動は、国際政策レビュー(WG1、WG2)及び保健医療サービスの質に資する政策介入(WG5)に、特にフォーカスし、実施した。令和7年度は、左記ワーキンググループの活動を継続しつつ、健康危機のテーマに関する具体的な研究成果を創出するよう活動を進める。また、研究班の最終年度(令和8年度)に向けて、現在、「前向き(WG1)」及び「後ろ向き(WG2)」に行っている国際政策レビューの研究成果を系統的に統合し、我が国の国際協力の指針を纏めるために、枠組みの構築と手法の計画も行う。

公開日・更新日

公開日
2025-07-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-07-17
更新日
-

収支報告書

文献番号
202405005Z