文献情報
文献番号
200940023A
報告書区分
総括
研究課題名
ワクチンの有用性向上のためのエビデンス及び方策に関する研究
課題番号
H19-医薬・一般-032
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
神谷 齊(国立病院機構三重病院 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
- 宮村 達男(国立感染症研究所)
- 岡部 信彦(国立感染症研究所感染症情報センター)
- 大石 和徳(大阪大学微生物病研究所感染症国際研究センター臨床感染症学研究グループ)
- 中山 哲夫(北里生命科学研究所)
- 谷口 孝喜(藤田保健衛生大学医学部ウイルス・寄生虫学講座)
- 中野 貴司(国立病院機構三重病院 臨床研究部国際保健医療研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
25,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ワクチンによる予防効果を正しく判断するため,予防接種導入前から該当する疾患(Hib,肺炎球菌、ロタウイルス)の実態調査をして、ワクチン導入による効果を正確に把握、成人肺炎球菌感染症への有効なワクチンの使い方、成人百日咳流行対策としてのワクチンの使い方の研究を実施した。
研究方法
全国1道9県で継続した調査研究を実施し全数把握に協力を求めた。また疾病の予後報告の収集にも努力した。麻疹の教育には教育啓発用DVDを作成した。成人肺炎球菌ワクチンの再接種の可否について研究した。百日咳の流行対策としてDPT第二期のワクチン接種のあり方について研究した。ロタウイルス感染による小児下痢症のサーベイランスを行い、ワクチン導入の意義を検討した。
結果と考察
侵襲型Hib感染症、肺炎球菌感染症、GBS菌感染症については,3年間で流行の実態の把握は完了した。この成果でワクチンの有用性の検討の基礎が完成した。接種率と流行状況も分析して今後のワクチン行政に役立たせたい。ワクチンの使用による菌交代の状況の把握も含めて検討が可能である。麻疹ワクチンの2回接種率の向上は国家的取り組みであり、この成果が浸透すれば接種率の向上は期待できる。成人の肺炎球菌ワクチンは再接種が認められ当班も貢献した。感染予防効果を上げるため、PCVとPPVの使用の方式を考えてゆきたい。百日咳対策については諸外国で使用するTdaPに代わり、現行のDPTワクチン接種量0.2mLに変更して、追加免疫が上がることを証明した。DTPの2期として活用すれば、現在の百日咳のアウトブレイクが終了する望みがある。この成果は厚労省に伝え検討中である。早期の接種方法の変更を期待する。ロタウイルス感染で入院する下痢症の児は約50%前後であることが判明した。疾病負担評価でワクチンの導入の可否が決まる。治験成績を比較検討してゆく。
結論
Hib髄膜炎の罹患率は、5歳未満人口10万人あたり7.1,肺炎球菌性髄膜炎は2.6で人口比で推計するとHibは年間国内で386名,肺炎球菌142名と思われた。成人肺炎球菌ワクチンは,研究結果を参考にして再接種が可能になった。百日咳対策としては第2期のDPTワクチンをDT0.1mLから、DPT0.2mLに変更すれば,百日咳対策は可能と判断できた。ロタウイルスワクチン導入は,必要性の検討を十分してほしい。
公開日・更新日
公開日
2010-06-02
更新日
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