文献情報
文献番号
202405002A
報告書区分
総括
研究課題名
カーボンニュートラル社会におけるヘルスケアシステムの設計と転換策の提案のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23BA1002
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
南齋 規介(国立研究開発法人国立環境研究所 資源循環領域)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
4,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
日本のヘルスケアのサプライチェーンに脱炭素技術オプションを組み込むGHG排出算定モデルを独自に開発し,ヘルスケアのカーボンニュートラル化を達成するための需要側と供給側対策の排出削減効果とその導入量を定量することを目的とする。
研究方法
医療・介護・保健衛生のヘルスケア需要がサプライチェーンを通じて誘発するGHG排出量の定量化を固定資本形成を含む包括的評価へと拡張することを目的とし、固定資本形成行列を内生化した産業連関モデルを前年度に構築した。本年度は,当該モデルを用いてヘルスケアのサプライチェーンにおいて脱炭素化対策の介入ポイントとなる項目別にGHG排出量を算定する方法論の開発を行なった。具体的には,英国保健サービス(NHS)のカーボンニュートラル戦略で示された脱炭素化オプションを参考に27個の介入ポイントをサプライチェーン内に定義して,新たな構造分解分析手法を定式化した。
前年度で定量した介護サービス由来のカーボンフットプリントの削減策をより詳細に検討すべく、同フットプリントを対象とする構造経路分析を実施した。また,市区町村別のヘルスケア関連およびその他の消費に伴うサプライチェーン全体での将来のGHG排出量を推計した。
前年度で定量した介護サービス由来のカーボンフットプリントの削減策をより詳細に検討すべく、同フットプリントを対象とする構造経路分析を実施した。また,市区町村別のヘルスケア関連およびその他の消費に伴うサプライチェーン全体での将来のGHG排出量を推計した。
結果と考察
ヘルスケアのサプライチェーンにおいて脱炭素化対策の介入ポイントとなる項目別にGHG排出量を算定する方法論の開発を行なった。この手法により,サプライチェーンは27のブロック、ヘルスケアに関連する固定資本形成に対応する要素のブロックおよびその他のブロックに分解され、各ブロックが誘引するGHG排出量の算定を可能とした。
介護サービスを需要する現地で直接排出されるGHG以上に、そのサプライチェーンで消費される電力によって間接的に排出されるGHGが大きくなることを確認した。さらに、現時点での高齢者における要支援・要介護者の割合と死亡率別人口動態推計を利用して、今後の介護カーボンフットプリントを見通すと、2050年までに2019年比で47±12% (5.9±1.7 MtCO2eq) 増加すると見込まれた。結果から重要性が示唆された介護施設における低炭素電源の導入とともに、カーボンフットプリントの小さい介護予防策の促進が、カーボンニュートラル社会における介護実施の鍵と考えられる。
また,都市部では人口の増加によってGHG排出量はある程度増加する自治体もある一方で、過疎地域では大きく減少することが明らかになった。
介護サービスを需要する現地で直接排出されるGHG以上に、そのサプライチェーンで消費される電力によって間接的に排出されるGHGが大きくなることを確認した。さらに、現時点での高齢者における要支援・要介護者の割合と死亡率別人口動態推計を利用して、今後の介護カーボンフットプリントを見通すと、2050年までに2019年比で47±12% (5.9±1.7 MtCO2eq) 増加すると見込まれた。結果から重要性が示唆された介護施設における低炭素電源の導入とともに、カーボンフットプリントの小さい介護予防策の促進が、カーボンニュートラル社会における介護実施の鍵と考えられる。
また,都市部では人口の増加によってGHG排出量はある程度増加する自治体もある一方で、過疎地域では大きく減少することが明らかになった。
結論
ヘルスケアのサプライチェーンを経由したGHG排出量を脱炭素オプションに相当するサプライチェーンのブロック別に算定する手法を開発した。
また本年度では、高齢化が進む我が国において、現状の要支援・要介護認定者の分布が今後も維持された場合の介護サービス需要由来のカーボンフットプリントを推計した。その結果、2050年には現時点の約1.5倍増加することが示されたことから、その抑制がカーボンニュートラル社会において重要となる。
また本年度では、高齢化が進む我が国において、現状の要支援・要介護認定者の分布が今後も維持された場合の介護サービス需要由来のカーボンフットプリントを推計した。その結果、2050年には現時点の約1.5倍増加することが示されたことから、その抑制がカーボンニュートラル社会において重要となる。
公開日・更新日
公開日
2025-12-10
更新日
-