第Ⅷ,第Ⅸ因子製剤のインヒビター発生要因に関する研究

文献情報

文献番号
200940021A
報告書区分
総括
研究課題名
第Ⅷ,第Ⅸ因子製剤のインヒビター発生要因に関する研究
課題番号
H19-医薬・一般-028
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
吉岡 章(公立大学法人奈良県立医科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 白幡 聡(北九州総合病院)
  • 瀧 正志(聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院)
  • 日笠 聡(兵庫医科大学)
  • 岡 敏明(医療法人徳洲会病院札幌徳洲会病院)
  • 三間屋純一(静岡県熱海健康福祉センター・熱海保健所)
  • 福武 勝幸(東京医科大学)
  • 嶋 緑倫(奈良県立医科大学)
  • 高松 純樹(愛知県赤十字血液センター)
  • 種市麻衣子(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
17,550,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血友病治療上重大な合併症であるインヒビターに関して、インヒビター患者の後方視的疫学調査と並行し、新規血友病患者登録システムを構築する。加えて、インヒビター測定法の標準化と発生機序の解明の基礎研究を行う。
研究方法
1.第1研究:インヒビター患者の実態ならびにインヒビター発生要因に関する後方視的調査研究を行う(主たる分担研究者 白幡 聡)。
2.第2研究:新規血友病患者のデータベース構築によるコホート研究を行う(瀧 正志)。
3.第3研究:インヒビター検出・診断の標準化に関する研究を行う(福武勝幸)。
4.第4研究:インヒビターの発生要因の分析と発生機序の解明に関する研究を分子生物学的、凝血学的、免疫学的手法を用いて行う(嶋 緑倫)。
結果と考察
第1研究では、インヒビター発生患者の実態調査(J-HIS 1)と20歳未満血友病患者のインヒビター発生に関する後方視的研究(J-HIS1/U20)」を実施した。J-HIS1では、106例中53例(50%)でインヒビターが消失。消失率に対する各種要因の影響については、インヒビター発生までの治療方法(止血時投与よりも定期補充療法が消失率が高い)と、インヒビター最高値(低い程消失率が高い)の影響が特に強かった。J-HIS1/U20では、インヒビター発生の解析を行った。インヒビター発生例は41/153例(26.8%)であったが、血漿由来製剤と遺伝子組換え製剤の間では、発生率に差はなかった。
第2研究では、計40例(血友病A 38例、血友病B 2例)の登録とデータ収集が可能であった。これは目標症例数(100例/年)に達しておらず、有意な要因分析は不可能であった。
第3研究では、インヒビター測定法としてTokyo変法を設定した。今後、その普遍性を検証することが必要である。
第4研究では、遺伝子解析法として直接シークエンス法を実施し、13人の解析を行った。保因者診断(14人)にも有用であった。また、インヒビターの凝固抑制機序の解明にはトロンビン生成測定法が有用であった。
結論
インヒビター消失率には、治療方法やインヒビター最高値が有意に関与していたが、インヒビター発生率には、血漿由来第VIII因子製剤と遺伝子組換え型第VIII因子製剤では差異のないことが明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200940021B
報告書区分
総合
研究課題名
第Ⅷ,第Ⅸ因子製剤のインヒビター発生要因に関する研究
課題番号
H19-医薬・一般-028
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
吉岡 章(公立大学法人奈良県立医科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 白幡 聡(北九州総合病院)
  • 瀧 正志(聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院)
  • 日笠 聡(兵庫医科大学)
  • 岡 敏明(医療法人徳洲会病院札幌徳洲会病院)
  • 三間屋純一(静岡県熱海健康福祉センター・熱海保健所)
  • 福武 勝幸(東京医科大学)
  • 嶋 緑倫(奈良県立医科大学)
  • 高松 純樹(愛知県赤十字血液センター)
  • 種市麻衣子(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血友病インヒビターの発生要因には患者関連の要因(遺伝子異常、蛋白異常、免疫応答機構、人種など)と補充療法関連の要因(製剤の種類、投与法、治療開始年齢など)とがある。これらを調査研究によって解明すると共に、全国レベルでの前方視的患者登録システムを構築して、血友病診療の基盤整備を図る。
研究方法
1.第1研究:インヒビター患者の実態ならびにインヒビター発生要因に関する後方視的調査研究を行う(主たる分担研究者 白幡 聡)。
2.第2研究:新規血友病患者のデータベース構築によるコホート研究を行う(瀧 正志)。
3.第3研究:インヒビター検出・診断の標準化に関する研究を行う(福武勝幸)。
4.第4研究:インヒビターの発生要因の分析と発生機序の解明に関する研究を分子生物学的、凝血学的、免疫学的手法を用いて行う(嶋 緑倫)。
結果と考察
第1研究では、インヒビター発生患者の実態調査(J-HIS 1)と20歳未満血友病患者のインヒビター発生に関する後方視的研究(J-HIS1/U20)」を実施した。J-HIS1では、106例中53例(50%)でインヒビターが消失。消失率に対する各種要因の影響については、インヒビター発生までの治療方法(止血時投与よりも定期補充療法が消失率が高い)と、インヒビター最高値(低い程消失率が高い)の影響が特に強かった。J-HIS1/U20では、インヒビター発生の解析を行った。インヒビター発生例は41/153例(26.8%)であったが、血漿由来製剤と遺伝子組換え製剤の間では、発生率に差はなかった。
第2研究では、計40例(血友病A 38例、血友病B 2例)の新規登録とデータ収集が可能であった。これは目標症例数(100例/年)に達しておらず、有意な要因分析は不可能であった。
第3研究では、インヒビター測定法としてTokyo変法を設定した。今後、その普遍性を検証することが必要である。
第4研究では、遺伝子解析法として直接シークエンス法を実施し、38人(35家系)の解析を行った。保因者診断25人(19家系)にも有用であった。また、インヒビターの凝固抑制機序の解明にはトロンビン生成測定法が有用であった。
結論
インヒビター消失率には、治療方法やインヒビター最高値が有意に関与していたが、インヒビター発生率には、血漿由来第VIII因子製剤と遺伝子組換え型第VIII因子製剤では差異のないことが明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-04-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200940021C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本調査研究は、血友病インヒビターの発生や消失に関する患者関連要因(遺伝子異常、蛋白異常、免疫応答機構、人種など)と補充療法関連要因(製剤の種類、投与法、治療開始年齢など)を解析するためのものであった。後方視的調査データから、インヒビター発生・消失の要因が明らかとなった。この結果は、インヒビター発生機序の解明に寄与すると共に、血友病診療の国際的動向との調和および標準化に貢献する。
臨床的観点からの成果
血友病インヒビター患者の後方視的調査研究によって、インヒビターの消失率には治療方法(出血時治療か定期補充か)やインヒビター最高値が有意に関与していること、インヒビター発生率には、血漿由来第VIII因子製剤と遺伝子組換え型第VIII因子製剤では差異のないことが明らかになった。
ガイドライン等の開発
血友病治療ガイドラインは、本研究期間中に、本研究班の研究分担者の多くが参画して、日本血栓止血学会から策定・公開された。
インヒビター測定系として、正常プール血漿にイミダゾールを添加するTokyo変法が設定され、今後の普遍化が期待される。
その他行政的観点からの成果
本研究の最大の成果は、血友病A患者のインヒビター発生率に与える要因としての第VIII因子製剤について、血漿由来製剤と遺伝子組換え型製剤との間に差異がなかったことである。また、インヒビターの標準測定法(Tokyo変法)の確立や、第VIII因子遺伝子解析(直接シークエンス法)の導入など今後の血友病の診療基盤の整備が図られた。
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
8件
原著論文(英文等)
16件
その他論文(和文)
30件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
30件
学会発表(国際学会等)
12件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-