ICTを利用した医師国家試験の評価方法の開発と検証のための研究

文献情報

文献番号
202403008A
報告書区分
総括
研究課題名
ICTを利用した医師国家試験の評価方法の開発と検証のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24AC1001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
河北 博文(公益財団法人日本医療機能評価機構 )
研究分担者(所属機関)
  • 淺田 義和(自治医科大学 医学教育センター)
  • 岡崎 仁昭(自治医科大学 医学教育センター)
  • 久保 沙織(東北大学 教育学研究科)
  • 小西 靖彦(順天堂大学  医学研究科)
  • 小松 弘幸(宮崎大学 医学部 医療人育成推進センター)
  • 高村 昭輝(富山大学 学術研究部医学系 医学教育学)
  • 内藤 俊夫(順天堂大学 大学院医学研究科)
  • 奈良 信雄(順天堂大学医学部)
  • 錦織 宏(名古屋大学 大学院医学研究科 総合医学教育センター)
  • 伴 信太郎(愛知医科大学 医学教育センター)
  • 松山 泰(自治医科大学 医学教育センター)
  • 森 博威(順天堂大学 医学部総合診療科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
18,291,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
今後の医師国家試験および医学教育を改善するために、(1)CBT医師国家試験の導入の実現に向けた課題の抽出等を行うとともに、(2)医学生の技能や態度の評価、(3)医師国家試験出題基準の検証、(4)外国の医学部を卒業した者に対する予備試験と日本語診療能力調査の課題に関して研究を行い、今後の医師国家試験に関する検討に活用できる知見を得るとともにICTを利用した医師国家試験の実現と医学教育における医学生の評価の改善に向けて提言する。
研究方法
4つの課題に関して、(1)についてはCBTトライアル試験を実施し、CBT試験システムの課題、PC環境や実施環境等に関して調査した。また(2)~(4)の課題については、大学や臨床研修病院等の医師で教育に携わる方や医学教育の専門家等へアンケート調査、インタビュー調査等を行い、それぞれの課題を整理するとともに、改善策を検討し知見を取りまとめた。
結果と考察
(1)CBT医師国家試験の導入実現に向けた研究
CBT医師国家試験の導入の実現に向けた課題等を抽出するために、より実臨床に近い問題となるよう動画・音声等を取り入れた200問を作成し、インターネットを介したCBT試験システム(TAO)を利用して、全国52大学(1,248名)の参加によるCBTトライアル試験を実施した。また、将来の会場方式のCBT試験の実施を想定し、大学以外の会場で1回行い、どちらも大きな問題なく概ね円滑に実施した。CBT問題は33名の各領域の専門家からなる作成・管理体制を構築し、新規問題の作成や、問題の評価・分析およびプール化と管理、問題の出題方法等に関して検討を行った。将来のCBT医師国家試験の実装を想定し、大量のCBT問題を管理するためのデータベースの構築を検討した。CBTトライアル試験での課題と改善策の整理、CBT問題作成体制の構築、CBT問題の評価とプール化、CBTシステムの提案、費用の試算等の課題や改善策などの知見を得ることができた。
(2)医学生の技能や態度の評価に関する研究
我が国では臨床実習においてWBAがほとんどの大学で導入されているが、現状では不十分であること、および単回のOSCEにおける総括的評価の限界が示された。また、米国では、Mini-CEXやGlobal Practice Assessment等を通じた、各医学部の診療科単位での総括的評価が進められていた。これらの状況を参考に、我が国におけるWBAのブループリントの骨子を取りまとめた。我が国のWBAをブループリントとして標準化し、継続的かつ適正に医学生の臨床能力を評価することができれば、医師国家試験と一体として医学生の評価を適正に行うことになる。
(3)医師国家試験出題基準に関する研究
令和6年度版医師国家試験出題基準を受けて実施された第118回医師国家試験の「医学各論」における病名のa,b,c分類は有効に機能している。しかし、医学各論の備考欄には多くのa,b,cの適用を受けない病名が記載され、第116回〜第118回医師国家試験で58、71、71題が出題されており、関連する提言を取りまとめた。第118回試験の医学総論と必修問題についてレベル評価を行った結果から、現行の医師国家試験に対する全般的な検討が必要と考えられ、医学教育モデル・コア・カリキュラム、臨床実習前共用試験との整合をとり、医学生に対する一貫した評価のブループリントの策定が望まれる。
(4)外国の医学部を卒業した者に対する予備試験および日本語診療能力調査に関する研究
外国の医学部の教育状況、および外国の医学部出身医師の現状を把握し、課題を整理した。外国の医学部出身医師は、概ね診療能力等の問題がないことが推察されたが、少数の医師については勤務状況に問題が認められ、今後それらの要因の精査が必要と考える。

上記4つの課題の成果をもとに、CBT医師国家試験の実装に向けて「CBT医師国家試験の体制と運用(実施形式、試験運営、CBTシステムの構築)」「試験問題の非公開」「医学生の評価と医師国家試験の連携」「費用の試算」「関連団体との連携」について、課題や改善策などの知見を整理した。
結論
医師国家試験CBTトライアル試験を通じて、インターネットを介したCBT試験システム(TAO)を利用した試験運用は概ね円滑に実施できたこと、さらにCBT問題作成・管理、会場の設営、試験運営、実施形式(オンライン、オフライン等)について知見を得ることができ、CBT医師国家試験の実装に向けて課題と改善策を整理した。さらに、CBT医師国家試験の運営全体を安全にかつ円滑に運営するための仕組み(プロトタイプ)の構想を取りまとめるとともに、CBT医師国家試験に向けた費用の試算を行った。本研究を通じて、CBT医師国家試験の実装について実証することができた。

公開日・更新日

公開日
2025-06-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-06-16
更新日
-

収支報告書

文献番号
202403008Z