ICT技術を利用した新規安全性情報報告の基盤構築に資する調査研究

文献情報

文献番号
202403007A
報告書区分
総括
研究課題名
ICT技術を利用した新規安全性情報報告の基盤構築に資する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23AC1004
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
花岡 英紀(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 土井 俊祐(千葉大学 医学部附属病院 地域医療連携部)
  • 舟越 亮寛(亀田医療大学 総合研究所)
  • 正司 真弓(千葉大学 大学院医学研究院 内分泌代謝・血液・老年内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
11,540,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

概要版(繰越課題)
A.研究目的
電子カルテ情報から安全性報告対象の情報を一次抽出して、電子カルテシステム搭載端末から安全性報告を行うシステム(電子カルテ報告システム)の基盤構築と、その普及展開に向けた提言の策定を目的とする。

B.研究方法
1年目:
システム構築に向け医療従事者に対するユーザビリティ調査方法を検討する。
システムの仕様策定に向けて電子カルテシステム搭載端末からPMDAへ伝送する際の標準規格を検討する。
2年目:
ユーザビリティ調査を実施し、その調査結果を取りまとめ、改善点の有無を検討する。
HL7 FHIR準拠標準規格について厚生労働省標準規格と整合を図るため中間報告として提言を取りまとめる。
3年目:
本研究の成果を広く普及するため、具体的な提案を含めて提言を取りまとめる。
また、システムの実装に向けた提言を取りまとめる。

(倫理面への配慮)本研究では実在する患者情報は使用せず、既に学会誌等で発表された症例報告を基に模擬患者を設定する想定のため該当しない。

C.研究結果
<ユーザビリティの検討> 
2年目は、電子カルテ報告システムの構築を受けて医療従事者に対するユーザビリティ調査を行った。
ユーザビリティ調査については、昨年度に調査研究に御協力頂いた「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の7つの専門作業班(具体的には、代謝・その他WG、循環器WG、精神・神経WG、抗菌・抗炎症WG、抗がんWG、生物WG、小児WG)のメンバー、また日本病院薬剤師会から推薦された実務経験者、その他、PMDAから推薦された市販後副作用報告に精通する専門家、の中から今年度も継続して協力頂けた64名に加え、当院の実務経験者を加えた計84名に実施した。
所要時間の検討においては電子カルテ報告システム(遠隔地はweb版オンライン疑似システムBricks)は、Word、手書きやモック(PMDAオンライン報告疑似システム)などの既存報告と比較して明らかな差は認めなかった。また、質の評価については、日付の入力、投与量の記載が新報告様式でやや少なかった。ユーザビリティアンケートでは、既存報告と比較して使いやすいという回答(0-10点評価中の6点以上)は多かったものの、「入力欄の使いやすさ」において5点以下の割合がやや高かった。調査結果詳細については別途ユーザビリティ班の分担研究報告書として記載する。
<電子カルテ報告システム開発に関する検討>
電子カルテ報告システム開発班は、電子カルテと連動した報告システムを構築するため、まずHL7 FHIR規格及び電子カルテ情報を活用したリアルワールドデータ収集・提供基盤の構築事業(JASPEHER Project)に準拠した「医薬品安全性情報報告HL7 FHIR実装ガイドver0.1.0」を作成した。この実装ガイドをもとに、1)電子カルテシステムのテンプレート機能を利用した報告システム、2)Webブラウザ上で報告できるシステム、の2つのシステムのプロトタイプを開発した。1)は電子カルテ環境上に、2)はクラウドサーバ上に実装し、それぞれ同じテストデータの入力から同じ出力データが得られることを確認した。構築したシステムは、ユーザビリティ班に共有し、ユーザによるテスト入力の結果をもとに、3年目の研究報告に向けPDCAを回す予定である。

D.考察
ユーザビリティ調査において、初期のインタビューテストで挙げられた改良点の他に、実際に症例を報告して判明した使いづらさ(曖昧な日付の入力方法、やや特殊な投与方法、投与量の記載方法)があり、そのためにユーザビリティが損なわれている点が見受けられた。ユーザビリティ上の改良点に関しては、様々な電子カルテベンダーに対応すべく汎用性も重要であるため改良が難しい箇所もある。今後もユーザビリティ班、システム班は十分に協議していく必要がある。

E.結論
構築された電子カルテ報告システムを使用しユーザビリティ調査を行い、既存報告と比較して所要時間に差がないことを確認した。ユーザビリティ上の問題はシステム班と共有し、可能な範囲で改良を重ねていく。

公開日・更新日

公開日
2025-09-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-09-19
更新日
-

収支報告書

文献番号
202403007Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,002,000円
(2)補助金確定額
15,002,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,060,077円
人件費・謝金 2,181,853円
旅費 490,122円
その他 5,807,948円
間接経費 3,462,000円
合計 15,002,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2025-09-05
更新日
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