乱用薬物の分析・同定に関する研究

文献情報

文献番号
200940018A
報告書区分
総括
研究課題名
乱用薬物の分析・同定に関する研究
課題番号
H19-医薬・一般-024
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
合田 幸広(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
研究分担者(所属機関)
  • 福原 潔(国立医薬品食品衛生研究所 有機化学部)
  • 代田 修(徳島文理大学 香川薬学部)
  • 花尻(木倉)瑠理(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は,(1)麻薬関連4法で規制されている化合物や植物類について,薬物の乱用に的確に対応するため,代謝物を検討するとともに合成し,毛髪や尿からの代謝物まで含めた分析と同定方法等を確立する;(2)新たに麻薬・向精神薬指定される蓋然性の高い薬物について,指定後の迅速な取締り等に対応出来るよう,規制範囲の検討,代謝物の検討と分析法の確立を行う;(3)麻薬・向精神薬成分を含有する可能性の高い植物について,規制の範囲を検討するため,調査・分析を行うと共に鑑定法の確立を行う;(4)取締りの現場での諸問題に対応が行えるよう,既存の麻薬・覚せい剤・大麻等について分析法の検討を行う等を目的とする.
研究方法
 使用した麻薬,向精神薬,指定薬物等は,主に国立衛研で研究用として合成,入手,保管されているものを用いた.材料植物の収集は,医薬基盤研薬用植物資源研究センターの協力を得た.
結果と考察
 (1)ヒト試料での分析に対応できるように,シロシングルクロン酸包合体及びp-ヒドロキシメタンフェタミン硫酸抱合体の合成を行った.クエン酸フェンタニル低濃度投与代謝物分析を行った.
デキストロメトルファン,レボメトルファンの生体試料中高感度鑑別法を確立した.さらに,これまで確立した方法を利用し,覚せい剤中毒患者頭髪中薬物の分析を行った.(2)シロシン含有きのこの基原種鑑別を行うとともに,カチノン及び関連化合物の一斉分析法を検討した. (3) Lophophora 属植物について,核 DNA, GBSSI 領域の塩基配列を解析し,本遺伝子領域の幻覚性サボテンの鑑別に対する有用性を評価した. (4) ケシ属植物種子の発芽能力鑑定法及び,遺伝子情報を利用した法規制ケシ属植物の識別法を確立した.また,LC-MS/MS及びデータベース検索ソフトを用いる尿中薬物スクリーニング法及び蛍光誘導体化試薬を用いる尿中薬物の迅速確認法を検討した.さらに,違法ドラッグ製品から検出された大麻成分及び合成カンナビノイド等の定量分析を実施した.
結論
 本研究は,監視指導麻薬対策課と密接な連絡のもと遂行され,その成果は厚生労働省の乱用薬物行政と乱用薬物取締りに直接貢献することになる.

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200940018B
報告書区分
総合
研究課題名
乱用薬物の分析・同定に関する研究
課題番号
H19-医薬・一般-024
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
合田 幸広(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
研究分担者(所属機関)
  • 福原 潔(国立医薬品食品衛生研究所 有機化学部)
  • 代田 修(徳島文理大学 香川薬学部)
  • 花尻(木倉)瑠理(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は,1)麻薬関連4法で規制される化合物等につき,代謝物を明らかにするとともに合成し,生体試料からの同定方法等を確立する;2)新たに麻薬・向精神薬指定される蓋然性の高い薬物に関し,規制範囲,代謝物の検討と分析法の確立を行う;3)麻薬・向精神薬成分を含有する可能性の高い植物につき,調査・分析,鑑定法の確立を行う;4)取締り現場での利用を念頭に既存麻薬・覚せい剤・大麻等の分析法の検討を行う,等を目的とする.
研究方法
 使用麻薬,向精神薬等は,主に国立衛研で研究用として合成,入手,保管されている物を用いた.植物の収集は,基盤研薬用植物資源研究センターの協力を得た.
結果と考察
 1)MDMA,シロシン,メタンフェタミン代謝物の合成を行った.生体試料からのフェンタニル代謝物分析法を確立した. DART-TOFMSを利用し,尿試料から覚せい剤やMDMA等を簡便に検出する手法を確立した.リタリン,エチルフェニデートの生体試料中の挙動を明らかにした.生体試料より麻薬5-MeO-DIPTと異性体5-MeO-DPTとの識別可能な分析法を開発した.麻薬・覚せい剤28種について蛍光検出HPLCを用いた尿中からの鑑定試験法を確立した.デキストロメトルファン,レボメトルファンの生体試料中高感度鑑別法を確立した.覚せい剤中毒患者頭髪中薬物の分析を行った.2) オリパビンの分析法を確立した,2C-Iの血中,尿中及び毛髪中分析法を確立した.N-OH-MDMAについて,各種条件下での挙動を明らかにし分析法を確立した.カチノン及び関連化合物の一斉分析法を検討した.3) シロシン含有きのこの基原種鑑別を行った. Lophophora 属植物について遺伝子配列を解析し幻覚性サボテンの鑑別に対する有用性を評価した.エフェドリン類について網羅的合成を行い,一斉分析条件を確立した .4) 大麻種子の簡便迅速な発芽能力鑑別法を確立した.ケシ属植物種子の発芽能力鑑定法及び,遺伝子情報を利用した法規制ケシ属植物の識別法を確立した.違法ドラッグ製品から検出された大麻成分等の定量分析を実施した.近赤外分光光度計を用いる乱用薬物の識別法について検討した. GC-MSのデータを相互利用するための基礎的検討を行った.
結論
 本研究は,厚労省と密接な連絡のもと遂行され,その成果は同省の乱用薬物行政と乱用薬物取締りに直接貢献する.

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200940018C