文献情報
文献番号
202403003A
報告書区分
総括
研究課題名
ナショナルデータベースや介護保険総合データベース等を活用した医療・介護特性を総合的に捉えたAIプロトタイプの開発と分析結果を根拠とした医療介護特性別の最適介入
研究課題名(英字)
-
課題番号
22AC1005
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
福井 小紀子(国立大学法人東京科学大学 大学院保健衛生学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 菅野 雄介(国立大学法人東京科学大学 大学院保健衛生学研究科)
- 高橋 邦彦(国立大学法人東京科学大学 M&Dデータ科学センター)
- 佐藤 一樹(名古屋大学 大学院医学系研究科総合保健学専攻)
- 岡田 就将(国立大学法人東京科学大学 大学院医歯学総合研究科政策科学分野)
- 浜野 淳(国立大学法人 筑波大学 医学医療系)
- 廣岡 佳代(国立大学法人東京科学大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
11,539,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
2025年度は、前年度までに実施したNDB・介護DB連結データを用いた機械学習モデルの構築と検証結果を踏まえ、政策的・実務的価値が高い2課題を重点課題として選定し、予測モデルの精緻化を行うことを目的とした。具体的には、大腿骨近位部骨折後の要介護度悪化または死亡の予測、および高齢者の高額医療・介護費予測を対象とした。臨床専門家の知見を取り入れて、予測変数、対象集団、アウトカム定義を見直し、NDB・介護DB連結データを用いた個別予測AIの実装可能性と課題を検討した。
研究方法
大腿骨近位部骨折後の要介護度悪化または死亡の予測では、股関節手術を受けた要支援1から要介護2までの高齢者217,482名を解析対象とした。基準日は手術実施日とし、術後365日時点における要介護度の2段階以上の悪化または死亡をアウトカムとした。整形外科専門医へのヒアリングに基づき、併存疾患、薬剤、術式、入院日数、外来受診回数等の変数を精緻化した。高齢者の高額医療・介護費予測では、新規に要支援認定を受けた65歳以上の者1,243,877名を解析対象とした。基準日は初回の認定有効期間の開始日とし、基準月の翌月から12か月間の年間医療・介護費が上位5%となることをアウトカムとした。各課題について、Random Forest、eXtreme Gradient Boosting(XGBoost)等の機械学習モデルを用い、AUC、感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率等により性能を評価した。
結果と考察
大腿骨近位部骨折後の要介護度悪化または死亡の予測では、術後365日時点で要介護度悪化または死亡が一定割合で発生していた。しかし、変数や対象集団を精緻化しても、AUCは0.67〜0.69にとどまり、精緻化前のAUC 0.71〜0.72と比較して改善は認められなかった。高齢者の高額医療・介護費予測では、年間医療・介護費が一部の対象者に集中しており、年間医療・介護費が上位5%の対象者が総額の約24.7%を占めていた。一方、予測モデルのAUCはおおむね0.76であったが、感度は11.1〜11.8%にとどまり、高額費用発生者を抽出するスクリーニングモデルとしては十分ではなかった。これらの結果から、現行のNDB・介護DB連結データのみを用いて、1年程度先の要介護度悪化、死亡、高額医療・介護費発生を個人単位で高精度に予測することには課題が残ると考えられた。
結論
2025年度の検討では、専門家の知見を取り入れて予測変数、対象集団、アウトカム定義を精緻化しても、2つの重点課題において予測性能の明確な改善は得られなかった。したがって、現行のNDB・介護DB連結データのみを用いた個別予測AIを臨床現場へ直接実装するには慎重な検討が必要である。一方で、要介護度悪化、死亡、高額医療・介護費発生の実態を定量的に把握できたことは重要な成果であり、支援を要する患者群の可視化、ポピュレーション・アプローチ、政策介入対象の優先順位付けに資する基礎資料として活用可能である。
公開日・更新日
公開日
2026-07-21
更新日
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