文献情報
文献番号
202401021A
報告書区分
総括
研究課題名
社会保障給付に関するマイクロシミュレーション分析の研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24AA2008
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 格(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障基礎理論研究部)
研究分担者(所属機関)
- 八塩 裕之(京都産業大学 経済学部)
- 川出 真清(日本大学 経済学部)
- 金田 陸幸(神戸学院大学 経済学部)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、社会保障制度の改正や各種給付等による所得再分配への影響を試算する手法として、マイクロシミュレーション分析に着目し、属性別の影響を把握するためのモデルを構築することにある。
研究方法
2022年国民生活基礎調査の個票データを初期値として、Pythonを用いて動的マイクロシミュレーションモデルを構築した。入出力データについてもcsvファイルやExcelファイルの利用を可能とし、プログラムを修正しなくても、データファイルを差し替えるだけで異なるシミュレーションを行えるようにした。国民生活基礎調査だけでなく、『日本の将来推計人口(全国)』から年齢各歳別出生率と年齢別将来生命表、『令和4年人口動態統計』から婚姻件数と離婚件数、『第8回世帯動態調査』から離家の有無の値を用いて、遷移確率の設定を行った。構築したモデルにこれらの遷移確率の一部を適用し、モデルの性能を検証した。具体的には死亡率について実際の値と仮想的な値のパターンを作成し、2040年までのシミュレーションを行った。また本研究で構築する動的シミュレーションモデルにおいて分析する対象として厚生年金の適用拡大を想定していることから、適用拡大の対象となる属性を確定させた。
また国民生活基礎調査のサンプルは、若年層が過小になるという傾向が明らかになっている。拡大乗数を用いることで補正は可能であるが、偏りの解消は不十分なものにとどまる。したがって、世帯と個人の両方について、国勢調査の分布に近くなるように国民生活基礎調査の拡大乗数を修正した。
また国民生活基礎調査のサンプルは、若年層が過小になるという傾向が明らかになっている。拡大乗数を用いることで補正は可能であるが、偏りの解消は不十分なものにとどまる。したがって、世帯と個人の両方について、国勢調査の分布に近くなるように国民生活基礎調査の拡大乗数を修正した。
結果と考察
国民生活基礎調査の所得票・貯蓄票の個人の総数である44000人強を「総人口」としてシミュレーションを行った結果、実際の生命表のデータをもとにしたケースでは総人口は緩やかに低下し、2040年には32000人程度まで減少することが明らかになった。死亡数は当初1000人前後だったものが次第に低下し、2040年には850人程度となった。出生数は150人強~200人弱の間で変動した。平均年齢は2036年まで緩やかに上昇し、その後低下するが、53歳前後で大きな変化にはならなかった。
死亡確率を0.1としたケースでは人口は急激に減少し、2040年には7500人程度になった。人口が大きく減少するため、死亡数は当初4500人程度だったものが2040年には750人程度まで減少する一方、出生数は180人程度からほぼ一貫して減少し、2040年には30人程度となった。平均年齢は53歳前後から一貫して上昇し、2040年には68歳前後となった。
死亡確率を0としたケースでは総人口は一貫して上昇し、2040年には48500人程度となる。死亡確率は0としているため死亡数は0で一定となり、出生数は2040年に大きく落ち込むものの、それまでは175~200人弱の間で変動する。死亡確率を0.1としたケースと同様、本来死亡確率が高い高齢者層の死亡確率が低く設定されているため、高齢者層が相対的に多くなり、平均年齢は2040年に66歳前後まで上昇する。
総人口は当初の設定から予想される通り、死亡確率が上昇すれば減少し、死亡確率が下落すれば増加する。また出生数や死亡数も総人口の影響を強く受けて変動する。すなわち死亡確率の上昇により総人口が減少すれば、母親となりうる者の数も減少するために出生数も減少する。また総人口が減少すれば、死亡確率が変化しなかったとしても死亡者数も減少する。実際の死亡確率は乳幼児を除けば若年期には低い水準で推移する一方で、高齢化に伴い上昇する傾向を持つ。本研究で仮想的に与えた値ではそのような動きを反映していないため、若年層が相対的に多く死亡し、高齢者層の死亡数は相対的に少なくなる。したがって若年層が相対的に少なく、高齢者層が相対的に多くなる。このため平均年齢は53歳前後から一貫して上昇し、2040年には68歳前後となる。
死亡確率を0としたケースでは基本的には死亡確率を0.1としたケースと逆の動きを示すが、平均年齢については死亡確率を0.1としたケースと類似した傾向となる。これは本来死亡確率が高い高齢者層の死亡確率が低く設定されているという意味で死亡確率を0.1としたケースと類似した影響があるためと考えられる。
死亡確率を0.1としたケースでは人口は急激に減少し、2040年には7500人程度になった。人口が大きく減少するため、死亡数は当初4500人程度だったものが2040年には750人程度まで減少する一方、出生数は180人程度からほぼ一貫して減少し、2040年には30人程度となった。平均年齢は53歳前後から一貫して上昇し、2040年には68歳前後となった。
死亡確率を0としたケースでは総人口は一貫して上昇し、2040年には48500人程度となる。死亡確率は0としているため死亡数は0で一定となり、出生数は2040年に大きく落ち込むものの、それまでは175~200人弱の間で変動する。死亡確率を0.1としたケースと同様、本来死亡確率が高い高齢者層の死亡確率が低く設定されているため、高齢者層が相対的に多くなり、平均年齢は2040年に66歳前後まで上昇する。
総人口は当初の設定から予想される通り、死亡確率が上昇すれば減少し、死亡確率が下落すれば増加する。また出生数や死亡数も総人口の影響を強く受けて変動する。すなわち死亡確率の上昇により総人口が減少すれば、母親となりうる者の数も減少するために出生数も減少する。また総人口が減少すれば、死亡確率が変化しなかったとしても死亡者数も減少する。実際の死亡確率は乳幼児を除けば若年期には低い水準で推移する一方で、高齢化に伴い上昇する傾向を持つ。本研究で仮想的に与えた値ではそのような動きを反映していないため、若年層が相対的に多く死亡し、高齢者層の死亡数は相対的に少なくなる。したがって若年層が相対的に少なく、高齢者層が相対的に多くなる。このため平均年齢は53歳前後から一貫して上昇し、2040年には68歳前後となる。
死亡確率を0としたケースでは基本的には死亡確率を0.1としたケースと逆の動きを示すが、平均年齢については死亡確率を0.1としたケースと類似した傾向となる。これは本来死亡確率が高い高齢者層の死亡確率が低く設定されているという意味で死亡確率を0.1としたケースと類似した影響があるためと考えられる。
結論
今回示した結果はまだ制度変更を分析するには不十分なものであるが、モデル内に適切に確率を付与することで結果が変動すること、入出力のファイルをcsvファイルやExcelファイルで行うために、異なるパラメータを用いたシミュレーションを行う際にはファイルの変更を行えばよく、プログラムを修正する必要がないこと、さらにはそれらの結果を簡単に出力できることを確認した。2025年度は引き続き、各種の確率をモデルに組み入れ、結果を整理、分析していくことができるように、モデルの開発を行うこととする。
公開日・更新日
公開日
2025-06-27
更新日
-