小児科領域での投薬に適した医薬品剤形のあり方と、剤形変更した医薬品の安全性・有効性の確保に関する研究

文献情報

文献番号
200940005A
報告書区分
総括
研究課題名
小児科領域での投薬に適した医薬品剤形のあり方と、剤形変更した医薬品の安全性・有効性の確保に関する研究
課題番号
H19-医薬・一般-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
石川 洋一(国立成育医療センター 薬剤部)
研究分担者(所属機関)
  • 村山 純一郎(昭和大学病院 薬剤部)
  • 中村 秀文(国立成育医療センター 治験管理室)
  • 寺門 浩之(国立がんセンター中央病院 薬剤部 )
  • 小村 誠(国立成育医療センター 薬剤部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国内では、小児の薬物療法で汎用されているにも関わらず、小児への投薬に適した小児用剤形を持たない医薬品が多い。小児用剤形は本来必須のものではあるが、全ての医薬品で小児用剤形を開発するのは困難であり、医療施設での剤形変更の対応も必要と考えられる。本研究では、どのような医薬品には小児用剤形開発が必要なのか、小児適応の申請時に検討すべき問題点、また医療施設での剤形変更のあり方の明確化、剤形変更時の安全性・有効性の確保への課題について調査し、具体的な情報の発信及び、提言のまとめを行う。
研究方法
研究は以下の4課題に分けて実施する。1)小児適応の申請時に検討すべき小児用剤形のあり方の検討、2)医療施設における小児用剤形への剤形変更情報のあり方の検討、3)剤形変更医薬品の有効性等の評価に関する研究、4)剤形変更医薬品の投薬後の安全性・有効性情報の収集・伝達方法の検討。
結果と考察
1)過去2年の調査をもとに総合的な検討を行い、剤形変更で安定性に問題、技術的に困難、味匂いに問題がある品目について小児用剤形開発が求められている状況を具体的に把握した。2)ワルファリンカリウムを例に同一成分の各社製品の安定性試験を同一の方法で実施し、各社製品の試験結果のばらつきを確認した。3)20年度の試験を見直し、科学的非破壊評価試験方法について再度検討した。4)投薬後の安全性・有効性調査システムでの副作用情報収集について平成21年7月まで調査を継続し、5品目322症例を収集した。全般的に特別な副作用などは発生せず、有効で安全に使われていたことを確認した。
結論
小児用剤形の無い医薬品について調査を実施し、医療施設での薬剤師による調製だけでは限界がある品目(安定性に問題、技術的に困難、味匂いに問題)について製薬会社に開発要請を行う必要性が高いことが明らかになった。
また、医療施設内での調製は現在必要不可欠であると同時に安全性・有効性を担保するための情報が、実際には不十分であること、それを満たすために標準的な試験方法を確立し、各社の製品を同一条件で試験することが必要であると考えられた。安全性については従来調査がされていなかったが、今回の研究で調査システムモデルを試行し、調査した品目については特別な副作用などの発生を見ず、一定の評価を行うことができた。

公開日・更新日

公開日
2010-06-02
更新日
-

文献情報

文献番号
200940005B
報告書区分
総合
研究課題名
小児科領域での投薬に適した医薬品剤形のあり方と、剤形変更した医薬品の安全性・有効性の確保に関する研究
課題番号
H19-医薬・一般-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
石川 洋一(国立成育医療センター 薬剤部)
研究分担者(所属機関)
  • 村山 純一郎(昭和大学病院 薬剤部)
  • 中村 秀文(国立成育医療センター 治験管理室)
  • 寺門 浩之(国立がんセンター中央病院 薬剤部)
  • 小村 誠(国立成育医療センター 薬剤部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国内では、小児の薬物療法で汎用されているにも関わらず、小児への投薬に適した小児用剤形を持たない医薬品が多い。小児用剤形は本来必須のものではあるが、全ての医薬品で小児用剤形を開発するのは困難であり、医療施設での剤形変更の対応も必要と考えられる。本研究では、どのような医薬品には小児用剤形開発が必要なのか、小児適応の申請時に検討すべき問題点、また医療施設での剤形変更のあり方の明確化、剤形変更時の安全性・有効性の確保への課題について調査し、具体的な情報の発信及び、提言のまとめを行う。
研究方法
研究は以下の4課題に分けて実施した。1)小児適応の申請時に検討すべき小児用剤形のあり方の検討、2)医療施設における小児用剤形への剤形変更情報のあり方の検討、3)剤形変更医薬品の有効性等の評価に関する研究、4)剤形変更医薬品の投薬後の安全性・有効性情報の収集・伝達方法の検討。
結果と考察
1)剤形変更で対応できない問題点、品目を具体的に明らかにした。今後該当する成分では適応取得前から小児用剤形の開発企画が必要と考えられた。2)剤形変更情報は、医療施設から要望も多く有効性確保に必須の情報であるが、製薬会社の試験資料だけでは適正な評価を行えないことが明らかになった。3)剤形変更医薬品の安定性・有効性に係わる評価方法として医療施設・大学共同の試験によって実施する方法を試行し、一定の評価をすることができた。4)投薬後の安全性・有効性調査システムモデルを考案し、調査を行った。全般的に特別な副作用などは発生せず、有効で安全に使われていたことを確認した。
結論
剤形変更に問題がある医薬品を精査し、小児用剤形開発が必要な医薬品のタイプを明らかにした。これをもとに小児適応検討段階で小児用剤形開発を製薬会社に要望する仕組み作りが必要である。また、すべての医薬品の剤形開発は困難であり医療施設内での調製は現在必要不可欠なためその制度化が望まれる。同時に安全性・有効性を担保するための情報の正確性を高めるため各社製品を同一条件で試験できる標準方法を確立し、その結果を公開する仕組みが必要である。剤形変更は責任の所在が不明瞭なため安全性について責任ある調査がされていないが、今回調査システムモデルを試行し一定の評価を行うことができた。だが同時に調査自体に困難が多いことも明らかになった。今後小児用剤形が小児に適正に提供されれば、小児薬物治療がより安全で有効に実施でき、また服薬コンプライアンスが高まることで治療時間も短縮でき医療費の削減効果も期待できると考える。

公開日・更新日

公開日
2010-06-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200940005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
小児用剤形の不足は社会的な問題であり、厚生労働省の「小児薬物療法検討会議」でも小児用剤形開発との連携の必要性が指摘され、現在の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に引き継がれている。しかしながら医療現場での剤形変更の実際に係わる研究は今までになく、今回の研究結果は、前回の適応外使用研究の結果と同様、医療施設での実際を社会に知らせるものであり、今後の小児用剤形開発の推進に向け貴重な効果を上げている。
臨床的観点からの成果
小児における剤形変更医薬品の使用は、責任の所在が不明瞭なため製薬会社が安全性・有効性報告を収集しない。このため安全性・有効性の評価がされていないのが現状である。今回医療施設側で調査システムモデルを試行し一定の評価を行うことができたが、このような調査は今まで殆ど報告がなく、本研究では貴重な情報を収集できた。今後剤形変更と安全性・有効性の関係を継続収集することで、医療安全の観点から効果が期待される。
ガイドライン等の開発
小児適応がある医薬品の小児用剤形は本来必須のものではあるが、全ての医薬品で小児用剤形を開発するのは困難であり、医療施設での薬剤師による剤形変更の対応も必要と考えられる。本研究では、どのような医薬品には小児用剤形開発が必要かを一定のガイドライン作成に向け検討を行った。
その他行政的観点からの成果
厚生労働省の、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に製薬会社から小児用剤形開発に向け提出された資料には、本研究班による剤形変更の国内での品目及び頻度の報告が活用されている。製薬会社が参考にできる医療施設の現状報告は殆どなく、研究班の資料は製薬会社の積極的な開発参加に向けて効果を上げている。
その他のインパクト
小児用剤形不足の改善は社会的な問題であり、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」でも検討はされているが、この会議でさらに踏み込むのは困難で、未だ国民の理解は十分ではない。そんな中、本研究班による剤形変更の研究と現状についてが、平成22年12月4日にNHKニュースで取り上げられ広く国民に紹介された。このニュースでは小児用剤形の不足とその問題の重要性、解決への方向が解説され国民の認知も高まり反響を呼んだ。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
3件
日本小児臨床薬理学会他
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
日本小児臨床薬理学会
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-