文献情報
文献番号
202401006A
報告書区分
総括
研究課題名
大学病院における医師の労働時間短縮に向けた取組のプロセスと効果の検証
研究課題名(英字)
-
課題番号
22AA2001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
小林 欣夫(国立大学法人千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
- 横手 幸太郎(国立大学法人千葉大学)
- 大鳥 精司(千葉大学大学院医学研究院)
- 大塚 将之(千葉大学大学院医学研究院)
- 中島 裕史(千葉大学大学院医学研究院)
- 小林 美亜(山梨大学大学院総合研究部医学域 臨床医学系(附属病院 病院経営管理部))
- 黒木 淳(横浜市立大学 国際商学部)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
11,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医師の働き方改革において、令和6年4月から診療に従事する勤務医の時間外・休日労働の上限規制が適用開始された。本研究は令和4年4月より、今まで労務管理が不十分だった大学病院において、労働時間短縮と管理体制の構築を進め、労働時間短縮に向けた取組を実際に行っていくことと並行し、その取組内容を記載した汎用性の高いマニュアルの作成を行うことを大きな目的としてきた。
研究方法
令和4年度の段階で特例水準の指定を受ける見込みである大学病院1施設において、勤怠管理システムから得られるデータと長時間勤務の想定される診療科の医師からのヒアリングを行い、勤務実態の把握、分析を行った上で、労働時間短縮が見込まれる業務整理の検討を行い、労働時間短縮を進めた。また、協力医療機関の2大学の働き方改革への取組状況について、人事部門が選定した診療科へのヒアリングを実施し、課題及び効果的な取組の把握を行い、汎用性の高いマニュアルを作成することとした。
結果と考察
勤怠把握・労務管理体制の構築と整備及び労働時間短縮の取組の2点を軸とした汎用性の高いマニュアルを作成することができたと考えている。また、本研究において、労働時間短縮に通じる取り組みの内容をマニュアル化することを通じて、その成果として、医師の時間外・休日労働時間の大幅な短縮が確認された。特に、時間外・休日労働時間が年1,860時間を超える過重労働を行う医師がゼロになったことは、働き方改革の進展とともに、医療機関における労働時間の「見える化」と「管理の徹底」、そして医師個々の意識改革が一定程度実を結んだ結果と評価できる。
結論
大学病院で働く医師は、大学病院での診療のみならず、研究、教育も重要な使命であるが、これまでの大学病院の医師は勤怠管理も十分になされず、自己犠牲的に長時間の勤務を行い、診療、研究、教育を行ってきた実情がある。働き方改革による勤務環境の改善により、多くの医師が大学病院に集まり、高度医療を学び、日本の医療レベルの向上、また、研究時間を確保し、世界に発信する研究成果を上げることに繋げる機会を作ることも必要であると考えられる。管理面としては、今後も各医療機関がデータを基に現状を正しく把握し、課題に応じた改善策を検討し続けなければ、業務はまた増加していく可能性が高い。PDCAの視点で継続的に実施することが重要である。
公開日・更新日
公開日
2025-06-27
更新日
-