医師の働き方改革におけるC-2水準適用医師の技能研修実態の事後評価方法の検討のための研究

文献情報

文献番号
202401004A
報告書区分
総括
研究課題名
医師の働き方改革におけるC-2水準適用医師の技能研修実態の事後評価方法の検討のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24AA1002
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
森 正樹(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 掛地 吉弘(神戸大学大学院医学研究院 食道胃腸外学)
  • 白石 修一(新潟大学 医学部医学科)
  • 隈元 雄介(北里大学 一般小児肝胆膵外科)
  • 小田 晋一郎(京都府立医科大学 大学院医学研究科 心臓血管外科学)
  • 笠原 群生(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 病院)
  • 木村 正(堺市立病院機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
3,281,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医師の働き方改革制度において年960時間を超える時間外・休日労働が認められるC-2水準について適切な制度運用に資するため、C-2水準が適用されている医師の技能修練の実態を分野別に把握し、今後の事後評価手法の構築に資する基礎的知見を得ることを目的とした。
研究方法
(1)C-2水準適用医師の研修実態調査
各都道府県がホームページ上で公表している「特定労務管理対象機関」の一覧を基に、C-2水準またはB・連携B水準が適用されていると想定される医療機関を抽出した。抽出後、当該医療機関の病院長または診療科長宛てに依頼文を送付し、調査協力を依頼した。
調査への同意が得られた医療機関においては、C-2水準またはB・連携B水準が適用されている医師のうち、調査参加に同意した医師を対象として、2025年1月27日(月)から2月2日(日)までの1週間、自記式による勤務実態調査(タイムスタディ)を実施した。
本調査では、午前6時から翌午前6時までの24時間を30分単位で区切り、業務の種類ごとに記録する形式とし、調査対象となった1週間の勤務状況が年間を通して反復されると仮定して、1か月を4週、1年を48週として年間の時間外労働および休日労働時間を換算した。
(2)C-2水準適用医師の技能修練実態に関する効果的な事後評価方法の検討
タイムスタディおよびヒアリング調査の結果を踏まえ、C-2水準適用医師の技能修練の状況を適切に評価するための事後評価方法の素案を検討した。その上で、当該評価指標(案)についての妥当性および改善点を明らかにするため、日本専門医機構の定める基本19領域の関連学術団体に対し意見募集を実施した。
意見募集にあたっては、2025年3月19日から24日の期間に、研究代表者より各学会の窓口担当者宛に依頼文を電子メールにて送付し、各学会内部で意見をとりまとめた上で、代表者あるいは担当者が電子メールに文書を添付する形で回答する形式とした。回答は任意とした。
(3)倫理面への配慮
本研究は東海大学の臨床研究審査委員会(令和6年11月19日、受付番号:24R137)の承認を受けて研究を実施した。
結果と考察
全国12施設の協力を得て、C-2水準、B・連携B水準が適用された医師を対象にタイムスタディおよびヒアリング調査を実施し、技能修練と労働時間の実態を把握した。その結果、C-2水準適用医師の中にも年960時間以下の時間外・休日労働時間と推定される者が一定数存在する一方、B・連携B水準の適用医師の中にも自施設における時間外・休日労働時間の観点で、長時間労働が見られた。これらを踏まえ、事後評価指標(案)を作成し、関連学術団体への意見照会を通じて指標の妥当性や課題を抽出した。
本研究では、C-2水準が適用されている医師のうち、実際の時間外・休日労働時間が年間960時間未満と推定される者が一定数確認された一方、B・連携B水準が適用されていながらもC-2水準相当の長時間労働を行っている医師も存在していた。また、「研鑽」と「業務」の区分が制度上および実務上において曖昧である実態が明らかとなり、申請時の計画内容のみならず、実際の勤務実績に基づいた事後的評価の枠組みの重要性が示された。加えて、文献抄読やoff-the-jobトレーニング等の取扱いについては、診療科や施設の特性を踏まえた柔軟な対応が必要であるとの示唆が得られた。さらに、評価指標(案)に対する学術団体からの意見照会では、一定の賛同とともに、業務分類の整理や制度趣旨との整合性確保に向けた課題が指摘され、今後の制度運用においては、こうした実態と意見を踏まえた継続的かつ丁寧な検討が求められる。
結論
本研究では、C-2水準が適用されている医師の技能修練実態を把握し、事後評価の在り方を検討した。その結果、C-2水準が適用されている医師において技能研修計画に沿った修練の実施が確認できた一方、高度な医療の修練の一環として研鑽が必要である場合であっても、実務上、研鑽と業務の区分が曖昧であることが明らかとなった。加えて、作成した事後評価指標(案)に対する学術団体からの意見を通じて、制度運用に関する実務的な課題と今後の改善の方向性が示された。今後は、これらの知見を基に、現場実態に即した効果的な評価手法の構築に向けた検討を進める必要がある。

公開日・更新日

公開日
2025-06-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-06-27
更新日
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収支報告書

文献番号
202401004Z