国際的整合性を目指す有効性及び安全性に於ける遺伝子発現情報の標準化に関する研究

文献情報

文献番号
200940001A
報告書区分
総括
研究課題名
国際的整合性を目指す有効性及び安全性に於ける遺伝子発現情報の標準化に関する研究
課題番号
H19-医薬・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
研究分担者(所属機関)
  • 油谷 浩幸(東京大学先端科学技術研究センター ゲノムサイエンス部門)
  • 山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 矢本 敬(三共株式会社 安全性研究所)
  • 住田 佳代(住友化学株式会社 生物環境科学研究所 応用生物グループ)
  • 宇山 佳明((独)医薬品医療機器総合機構 新薬審査第三部)
  • 山田 弘((独)医薬基盤研究所 トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、主に米国を中心に急速に進みつつある「mRNA測定に関わる標準化」に呼応して、国際的な動向を調査し、国内での情報交換により、遺伝子発現解析に関する標準化に向けた提言を行うとともに、国際的標準化に向けた活動への技術的関与を検討することを目的とする。
研究方法
高密度マイクロアレイや定量的PCR等を用いた生物学的、薬理学的あるいは毒性学的研究を実施している国内の研究者と情報交換を行い、また、関連有識者、研究者を招聘し、Ad hoc会合を行うことにより、遺伝子発現解析の標準化に関する国内の意見交換を行う。情報収集を確実に行うために、各班員は医療、創薬、化学工業製品、毒性、精度管理、行政の各方向を網羅する布陣をとっている。
結果と考察
国際的なmRNA標準化団体(米MAQC、米ERCC等)から成果の公式発表(論文発表)はなかったが、MAQCがマイクロアレイ関連の研究を事実上終え、次世代シークエンサ技術を利用したRNA測定技術の評価・標準化(SEQC)に重点を移した。ERCCでは外部標準RNAライブラリに関する開発・評価研究をほぼ終え、これを米NISTがstandard reference materialとして2010年内にも供給を開始する予定となった。これにより研究施設間のデータ共有や様々なプラットホーム間のデータ互換性確立など、様々なRNA標準化が進むものと期待される。国内でも産学官の各領域においてマイクロアレイの活用が広がり成熟期を迎えている。国衛研Percellomeプロジェクト、医薬基盤研トキシコゲノミクスプロジェクトなどトキシコゲノミクス大規模データベースの構築・運用も順調に進んでおり、これを利用したインフォマティクス研究を本格的に開始した。行政面では、PMDA、FDA、EMEAの三極でゲノミクスデータ利用の検討を進めており、ICH E17ベースでのガイドライン策定が検討されている。
結論
本研究班は今年度で三年間の調査研究を終える。この間の基礎・基盤研究における様々な遺伝子発現研究の進捗を吸収したMAQC、ERCC等の標準化活動も結実し始めている。国内外の規制当局における対応体制も整いつつあり、本研究班の当初の目的はほぼ達成されたが、技術変遷は急激であり、今後も継続的に研究・技術の最新情報を行政側に還元する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2010-06-01
更新日
-

文献情報

文献番号
200940001B
報告書区分
総合
研究課題名
国際的整合性を目指す有効性及び安全性に於ける遺伝子発現情報の標準化に関する研究
課題番号
H19-医薬・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
研究分担者(所属機関)
  • 油谷 浩幸(東京大学先端科学技術研究センター ゲノムサイエンス部門)
  • 山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 矢本 敬(三共株式会社 安全性研究所)
  • 住田 佳代(住友化学株式会社 生物環境科学研究所 応用生物グループ)
  • 宇山 佳明((独)医薬品医療機器総合機構 新薬審査第三部)
  • 山田 弘((独)医薬基盤研究所 トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、主に米国を中心に急速に進みつつある「mRNA測定に関わる標準化」に呼応して、国際的な動向を調査し、国内での情報交換により、遺伝子発現解析に関する標準化に向けた提言を行うとともに、国際的標準化に向けた活動への技術的関与を検討することを目的とする。
研究方法
高密度マイクロアレイや定量的PCR等を用いた生物学的、薬理学的あるいは毒性学的研究を実施している国内の研究者と情報交換を行い、また、関連有識者、研究者を招聘し、Ad hoc会合を行うことにより、遺伝子発現解析の標準化に関する国内の意見交換を行う。情報収集を確実に行うために、各班員は医療、創薬、化学工業製品、毒性、精度管理、行政の各方向を網羅する布陣をとっている。
結果と考察
国際的なmRNA標準化団体(米MAQC、米ERCC等)は基礎・基盤研究における様々な遺伝子発現研究の成果を吸収し基本的な技術的問題を解決しつつある。MAQCはマイクロアレイ関連の研究を事実上終え、次世代シークエンサ技術を利用したRNA測定技術の評価と標準化(SEQC)に重点を移した。ERCCも外部標準RNAライブラリに関する開発・評価研究をほぼ終え、これを米NISTがstandard reference materialとして平成22年内にも供給を開始する予定である。これにより研究施設間のデータ共有や様々なプラットホーム間のデータ互換性確立など、様々なRNA標準化が進むものと期待される。国内でも国衛研Percellomeプロジェクト、医薬基盤研トキシコゲノミクスプロジェクトなどトキシコゲノミクス大規模データベース構築が順調に進み、研究の重心はインフォマティクス開発に移行した。行政面では、PMDA、FDA、EMEAの三極でゲノミクスデータ利用の検討を進めており、本研究班の当初の目的はほぼ達成された。
結論
レギュラトリーサイエンス、特に厚生労働行政において、医薬品・医療機器等の安全性・有効性および品質の評価に科学的合理性を付与するための研究をサポートし、これを通じて保健衛生および国民生活の質の向上の一助となった。
国際標準化団体の活動も結実し始め、これに呼応して国内外の規制当局における対応体制への取り組みも着実に進められるようになったが、技術変遷は急激であり、今後も継続的に研究・技術の最新情報を行政側に還元する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2010-06-01
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200940001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
遺伝子発現情報の標準化について国際的な動向を調査すると共に、主要な標準化団体へ技術的な情報提供を行った結果、確立しつつある国際標準規格と国産の標準化技術の整合性維持に成功した。併せて、世界有数規模に成長した国産トキシコゲノミクス基盤データベースと、それを利用した解析技術開発の成果を積極的に発信し、国際標準化活動における我が国の橋頭堡を維持した。国内においては、産学官各方面にRNA標準化技術の必要性を周知し、創薬や基礎的な研究活動へのRNA標準化技術の導入や、規制当局による標準化対応を促した。
臨床的観点からの成果
現時点では臨床で直接利用されるわけではないが、RNA標準化に基づく治療薬開発効率の向上や投薬治療の安全性確保への技術的貢献を介して、保健衛生および国民生活の質の向上の一助となった。
また将来のRNA標準化技術の臨床応用を見越して、次世代のテーラーメイド医療に必要となる遺伝子発現測定の技術的問題の整理を包括的に行い、今後の研究活動の方向を定めた。
ガイドライン等の開発
本研究班開始時、海外において医薬品等の有効性・安全性評価に遺伝子発現情報を活用する際の条件設定等についての標準化活動が急速に盛んになっていたが、これに即応し、当初から当該活動に関与し提言や技術提供等を行って、国際的なガイドライン策定に向けた活動をサポートすると共に、国産の標準化技術との不整合発生を回避した。RNA標準化関連のガイドライン開発は、ICHなど国際協力体制の枠組みで行われており、この成果は国内のガイドライン策定へも反映されることが期待される。
その他行政的観点からの成果
より高いレベルで国民生活の安全を守り、未知の毒性にも対応するためには、医薬品や化学物質の開発・利用に際しての審査申請に標準化された網羅的なゲノミクスデータを添付することが重要であるが、創薬領域、化学工業品製造領域において調査したところ、当初、申請側は標準化技術の導入について消極的であった。しかし本研究班の活動等を通じてその重要性が周知されつつあり、行政側からの要請があれば前向きに検討するとの反応が多く見られるようになるなど、今後策定されるガイドライン等の速やかな実施のための基礎となった。
その他のインパクト
最先端の研究領域では、新たな遺伝子発現解析技術として次世代シークエンサが注目され始め、米国においては既に、主要な標準化研究団体(MAQC)が評価対象を次世代シークエンサに絞り込むなどの動きが見られている。本研究班でもいち早く技術情報を収集し、RNA標準化への適合性や、データ互換性の実現のために次世代シークエンサデータとマイクロアレイデータとの差異等を検討し、問題点を精査した。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
9件
その他論文(英文等)
34件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計1件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-