既存添加物「酸化防止剤」の製法による抗酸化能及び主要成分の変動解析

文献情報

文献番号
200939057A
報告書区分
総括
研究課題名
既存添加物「酸化防止剤」の製法による抗酸化能及び主要成分の変動解析
課題番号
H21-食品・若手-018
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
天倉 吉章(松山大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 好村 守生(松山大学 薬学部)
  • 吉田 隆志(松山大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では,既存添加物の中で抽出物が多い酸化防止剤に重点を置き,既存添加物名簿に記載されている製法の範囲内で複数の抽出物(モデル酸化防止剤)を調製し,抗酸化能およびそれらの成分分布を評価,解析することで,添加物の適正使用のための規格化に寄与する科学データの集積を目的として研究を実施した.
研究方法
5品目(ドクダミ,セージ,ウイキョウ,ピメンタ,クローブ)について,複数の製法により調製した抽出物(モデル酸化防止剤)について含有成分の変動解析を行った.成分についてはカラムクロマトグラフィーなどによる分離,精製を繰り返し,単離した化合物について各種機器分析データに基づいて構造解析,同定を行った.抗酸化活性は,米国で広く適用されているORAC(oxygen radical absorbance capacity)により評価し,製法による抗酸化能の変動解析を行った.
結果と考察
ドクダミ抽出物については,50%エタノール抽出物が強い抗酸化活性を示した.さらにquercitrinが主成分,有効成分として同定され,quercitrin含量を目安に調製する方法が有効であることが示された.セージ抽出物については,50%エタノール抽出物が高抗酸化活性を示した.また主成分および有効成分として同定されたrosmarinic acid含量を目安に調製する方法が有効であることが明らかとなった.ウイキョウ抽出物については,全体的に抗酸化能は顕著ではなかった.極性画分に有効成分の含有が示唆されたため,成分分析をしたところ,syringinが1主成分として同定された.ピメンタおよびクローブ抽出物については,いずれも低極性画分の活性が顕著に強く含有成分を分析したところ,主ピークとしてeugenolが認められた.それゆえeugenolを保持でき,その含量を目安に調製する方法が有効であることが示された.また極性画分にも抗酸化活性が認められ,抗酸化成分であるポリフェノール類の存在が明らかとなったことから,水蒸気蒸留物を除いた残渣抽出物の添加物としての利用も示唆された.
結論
5抽出物の製法とそれによる抗酸化能および成分分布について検討し,ドクダミではquercitrin,セージではrosmarinic acid,ウイキョウではsyringin,ピメンタ,チョウジではeugenolを指標成分とした調製法が効果的である結果が得られた.

公開日・更新日

公開日
2010-05-26
更新日
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