「栄養表示基準における栄養成分の分析方法」の測定精度向上のための研究

文献情報

文献番号
200939052A
報告書区分
総括
研究課題名
「栄養表示基準における栄養成分の分析方法」の測定精度向上のための研究
課題番号
H20-食品・若手-021
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
松本 輝樹(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 食品保健機能プログラム)
研究分担者(所属機関)
  • 竹林 純(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 食品保健機能プログラム )
  • 遠藤 香(新潟県立大学 人間生活学部 健康栄養学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法 (以下公定法)」において、微生物定量法 (MBA) が主たる分析法として採用されている成分を中心に、その測定精度向上を目的として研究を行った。
研究方法
 本年度は以下のことに関して検討を行った。
1. 葉酸の微生物定量法における測定精度向上に関する研究:抗生物質耐性菌及びマイクロプレートの利用と試料前処理条件の検証
2. HPLC を応用したビタミン B12 分析法の開発
3. カラムスイッチング HPLC 法を用いた食品中ビタミン D 分析法の開発
結果と考察
1. 耐性菌とマイクロプレートの利用は、公定法とほぼ同等の結果が得られた。また、公定法において問題とされる、遠心分離による夾雑物の除去と酵素分解に関する検討では、遠心分離は適時選択の必要性があり、酵素分解においては公定法の手技では完全に葉酸が抽出できていない恐れがあり、これらを改善することによって分析精度は向上することが示唆された。
2. 認証標準物質を用いた HPLC 法の妥当性確認を行い、VB12 を表示値に対して 98% 以上の定量値、誤差範囲 5% 未満で再現可能であることが明らかとなった。また、固相抽出を応用した前処理法では、再現性を損なうことなく検出感度を 50% 向上させられることが明らかとなった。
3. 操作段階でのサンプルのロス及び不純物の影響を回避することや、分取・分析カラムの直列化による操作の集約化を行うことにより、公定法よりも感度を 2 倍以上引き上げることに成功し、分析時間も半分以下に短縮することが可能となった。
結論
 公定法は制定されてから約 10 年の歳月が経過しており、本研究結果からも分析環境や知見の変化に即した分析方法の大幅な見直しを行うことにより、分析精度は改善される可能性が示唆された。本研究は、表示基準のある栄養成分の極わずかなものに限定されており、他の成分に関しても今後検討する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

文献情報

文献番号
200939052B
報告書区分
総合
研究課題名
「栄養表示基準における栄養成分の分析方法」の測定精度向上のための研究
課題番号
H20-食品・若手-021
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
松本 輝樹(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 食品保健機能プログラム)
研究分担者(所属機関)
  • 竹林 純(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 食品保健機能プログラム)
  • 遠藤 香(新潟県立大学 人間生活学部 健康栄養学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 現在「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法 (公定法)」として微生物定量法 (MBA) が主たる測定法として採用されている栄養成分を中心に、その測定精度の向上を目的として検討を行った。
研究方法
 以下のことに関して検討を行った。
1. MBA に関しては、活性物質の多様性から HPLC での対応が困難であることが示唆される葉酸に関して、精度に影響を与える問題点を精査し、その改良法について検討した。また、MBA に特異的な問題である定量菌の状態を安定化させた分析法の構築として、分析操作の簡略・効率化について検討し、再現性の向上を図った。
2. MBA の代替法としての HPLC 法の構築に関しては、MBA 適応成分のうち最も含有量の乏しいビタミン B12 (VB12) に着目し、その適応可否に関して検討を行った。
3. HPLC 法が採用されているにも関わらず、分析精度に問題のあることが指摘されているビタミン D (VD) に関して、代替法の検討を行った。
結果と考察
1. 公定法の抽出方法では葉酸の精確な定量値が得られていない可能性があり、改善が必要である。また、定量菌の安定供給やマイクロプレートの応用は精度の改善に有効な手段である。
2. HPLC は VB12 を高精度に測定可能であるが、検体に依存する。また、固相抽出の組み合わせも有効であるが、わずかな感度の改善に留まっている。
3. カラムスイッチシステムを応用した方法を構築し、迅速な定量化に成功した。ただし、目的成分の精製が不充分であり、改善の余地がある。
結論
 栄養表示基準における栄養成分の分析方法には、分析法自体の不備に加え、精度を担保するための付則に関する規定が欠けている事から、これらに対する改良を行う事により、精度の高い分析及び栄養表示が提供可能になるものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-04-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200939052C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ビタミン B12 及びビタミン D の分析法開発では、新規性のある検討結果が得られたことから、学術論文及び学会にて発表予定である。また、公定法に関して重点的な検討は行われていないことから、今後見直しが行われる際には、有益であると思われる。
臨床的観点からの成果
分析精度の向上は、栄養表示の信頼性が向上し、適切な栄養摂取から健康維持に大きく貢献するものと思われる。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
2件
投稿準備中
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
発表予定
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-