文献情報
文献番号
200939047A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤耐性食中毒菌に係る解析技術の開発及びサーベイランスシステムの高度化に関する研究
課題番号
H21-食品・一般-013
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 治雄(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
- 黒田 誠(国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター)
- 秋庭 正人((独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 安全性研究チーム)
- 五十君 靜信(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部第一室)
- 浅井 鉄夫(農水省動物医薬品検査所 検査室)
- 甲斐 明美(東京都健康安全研究センター 微生物部食品微生物研究科)
- 倉園 貴至(埼玉県衛生研究所 臨床微生物担当)
- 泉谷 秀昌(国立感染症研究所 細菌第一部)
- 田口 真澄(大阪府立公衆衛生研究所 感染症部細菌課)
- 田村 豊(酪農学園大学 獣医公衆衛生学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
20,600,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
サルモネラ、カンピロバクターの多剤耐性化が我が国ばかりでなく世界的にも進んできている。本研究においては、家畜、食肉および食中毒患者から分離されるサルモネラ、カンピロバクターの薬剤耐性菌の現状及び動向について全国レベルの調査を行う。さらに得られた耐性菌のゲノムレベルの解析を行い、家畜―食品―ヒト間の伝播の流れを科学的に解明する。
研究方法
家畜,食品及び患者由来のサルモネラ,カンピロバクターの分離菌株の耐性型、遺伝型、および全ゲノムベースの解析を行い、1塩基多型(single nucleotide polymorphism: SNP)を菌株間比較に応用する。
結果と考察
サルモネラ血清型Typhimuriumの多剤耐性化の傾向が進んでいる。特に牛の下痢便から分離されたERFX耐性菌は、qnrS1を保有しており陽性率は0.8%であった。多剤耐性であるDT104株にさらにERFX耐性を付与する形になっていた。また、近年S.Infantisの多剤耐性化が上昇しており、特にベーターラクタム剤CPDXに対する耐性化が強くなっていた。ERFX耐性は、C. jejuniとC. coliともに増加傾向が認められた。増加要因として、肉用鶏由来C. jejuni及び豚由来C.coliにおけるERFX耐性の増加に起因していた。近年豚肉等に含まれるMRSAの人への感染が注目されており、豚におけるMRSAの分布を調査した結果、ヒトから分離の報告があるST221が分離されたことは注目する。ヒトおよび食品由来のSalmonella enterica serovar Enteritidis, Infantis, Typhimurium, およびその他血清型(タイ分離)の薬剤耐性株を中心に計20株の全ゲノム配列を解読した結果、血清型固有の特徴的なSNPsを見いだし、また血清型同士の類縁関係も明らかにした。
結論
家畜に分布するサルモネラとカンピロバクターの薬剤感受性状況を調査した結果、医療上重要なフルオロキノロン剤やセファロスポリンに対する耐性が依然として認められている情況である。さらに鶏肉由来のS. Infantisが伝達性のCPDX耐性を獲得しており、腸内細菌間での耐性遺伝子の移動が考えられた。
公開日・更新日
公開日
2010-05-07
更新日
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