食品添加物等における遺伝毒性・発がん性の短期包括的試験法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200939044A
報告書区分
総括
研究課題名
食品添加物等における遺伝毒性・発がん性の短期包括的試験法の開発に関する研究
課題番号
H21-食品・一般-010
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
西川 秋佳(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
研究分担者(所属機関)
  • 梅村 隆志(国立医薬品食品衛生研究所 病理部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
香料物質は微量での使用特性から、JECFAではTTCの概念に基づいて、構造クラス分類から類推されるヒト暴露許容値等による安全性評価が実施されている。我が国では少なくとも90日間反復投与試験と遺伝毒性試験が求められている。膨大な数の香料物質の安全性データを迅速かつ効率的に収集することは急務であるが、その化学構造中に発がん性を疑う置換基を有する香料も含まれている。本研究では、レポーター遺伝子を導入したgpt deltaラットまたはマウスを用いて、前がん病変の解析を含む反復投与毒性試験データおよび遺伝毒性データを短期的に同時に得ることができる短期包括的試験法の開発を目指す。被験物質としてはJECFAで発がん性等の懸念のために評価保留となっている香料のfuran-substituted物質、alkoxy-substituted allylbenzenes、1-methylnaphthaleneなどを対象とする。
研究方法
実験1では、げっ歯類に肝発がん性を有するが、遺伝毒性は明確になっていないfuran-substituted物質の基本骨格であるfuranをgpt deltaラットに13週間反復投与した。実験2では、alkoxy-substituted allylbenzenesの1つで、ラット肝発がん性を示すestragoleをgpt deltaラットに4週間反復投与した。実験3では、マウス肺発がん性を示すとされる1-methylnaphthaleneをgpt deltaマウスに13週間投与した。
結果と考察
実験1の結果、胆管線維症などの顕著な肝組織変化が誘発され、コントロール群に比較して肝重量や骨髄小核出現頻度が有意に増加し、gpt delta変異頻度は用量依存性の増加傾向を示した。実験2の結果、肝変異増殖巣が誘発され、肝重量が有意に増加した。実験3の結果、肺に顕著な組織変化はみられず、細胞増殖活性の亢進もみられなかった。一般反復投与毒性と遺伝毒性に関するその他の項目については解析中であり、必要に応じてDNAマイクロアレイによる遺伝子の網羅的解析も実施する。
結論
本試験系において、遺伝毒性または明らかな前がん病変が検出されれば、長期間の発がん性試験を実施するまでもなく使用禁止等の処置がとれるものと予想される。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
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