食品の規格基準に係る測定値に伴う不確かさに関する研究

文献情報

文献番号
200939029A
報告書区分
総括
研究課題名
食品の規格基準に係る測定値に伴う不確かさに関する研究
課題番号
H20-食品・一般-011
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
松岡 英明(東京農工大学 大学院共生科学技術研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 松田りえ子(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 渡邉敬浩(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 工藤由起子(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Codexのガイドライン(CAC/GL54 2004)に基づく要請に応えるために、理化学的、生化学的、微生物学的の各試験分野における不確かさの推定法や、不確かさの要因分析などに関して実験研究、及び調査研究を行うことを目的としている。それによって、将来ガイドライン等を提示するための資料を作成する。また、不確かさに関する研究やガイドライン策定等に関する国際動向の継続的調査を推進するために、産官学を横断的に結ぶ研究者・技術者ネットワークの構築を目指す。
研究方法
本年度の実験研究は全て単一試験室内での繰返し試験によった。理化学では、食品添加物〔保存剤(安息香酸など)、甘味料(サッカリンナトリウム)及び発色剤(亜硝酸ナトリウム)〕をそれぞれ添加した食品の分析結果から、拡張不確かさ(RSD表示)を推定した。生化学では、大豆の認証標準試料を用いて、リアルタイムPCR分析における全工程での拡張不確かさ(RSD表示)を推定した。特にDNA抽出法の違いを比較した。微生物では、鶏肉やそば粉の自然汚染菌、枯草菌芽胞液などの菌数測定に伴う拡張不確かさ(Log10表示)を推定した。調査研究では、統計学の専門家を含む専門調査委員会で、微生物学的試験における課題を議論し、重点課題を抽出した。
結果と考察
理化学では、拡張不確かさは、安息香酸では10%、パラオキシ安息香酸エステル類では20%であった。また、食品の種類によっても変動した。生化学では、4種のDNA抽出法で比較した結果、混入率の変動に対応する拡張不確かさが24~55%と推定された。微生物では、拡張不確かさはマトリックス(食品の種類・成分)や試料の調製方法によって異なり、0.17~0.36の範囲であった。調査研究では、離散量(菌数)の扱い、外れ値検定、ロバスト法、生菌標準物質などを重点課題として抽出し議論を深めた。さらに食品分析分野と統計学分野との連携活動を企画した。
結論
実験研究では、理化学、生化学、微生物いずれの分野でも、拡張不確かさの推定事例を示したが、食品の種類、試料の処理法、などが異なると結果が異なるため、各試験法固有の値として確定することはできなかった。調査研究では、微生物学的試験法が直面している重点課題は、統計学分野においても国際的に重要課題になっている、との認識が得られた。そのため、今後は、統計学分野との緊密な連携が重要であるとの結論を得た。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-