食品を介するBSEリスクの解明等に関する研究

文献情報

文献番号
200939026A
報告書区分
総括
研究課題名
食品を介するBSEリスクの解明等に関する研究
課題番号
H20-食品・一般-008
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
佐多 徹太郎(国立感染症研究所 感染病理部)
研究分担者(所属機関)
  • 福田 茂夫(北海道立畜産試験場 基盤研究部遺伝子工学科)
  • 石黒 直隆(岐阜大学 応用生物科学部)
  • 萩原 健一(国立感染症研究所 細胞科学部)
  • 堀内 基広(北海道大学 獣医学研究科)
  • 堂浦 克美(東北大学 医学系研究科)
  • 古岡 秀文(帯広畜産大学 畜産学部)
  • 横山 隆(独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 プリオン病研究センター )
  • 柴田 宏昭(独立行政法人医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター)
  • 北本 哲之(東北大学 医学系研究科 )
  • 村山 裕一(独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所)
  • 新 竜一郎(長崎大学 医歯薬学総合研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
110,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
牛海綿状脳症(BSE)プリオンの新しい高感度検出法、BSE感染発症機序の解明、病態や病態マーカーの解析、プリオン構造変換機序やそれに関わる宿主因子の解明、非定型BSEの性状解析、種の壁の解析を通して、ヒトへのリスク解明を目的として研究を行う。
研究方法
定型および非定型BSEに係わる感染発症機序の解明として、近交系マウス、遺伝子組み換えマウス、モルモット、牛、サル等を用いたin vivo研究、プリオン感染細胞や組織等を用いたin vitro研究、種の壁のメカニズムの解明として非定型BSEプリオンの動物への接種、遺伝子組み換えマウス。食肉検査における高感度検出法の開発としてPMCA法やQUIC法の開発、食用となるシカのCWDリスク評価をおこなった。
結果と考察
非定型BSEは定型BSEに比べて病原性が高いことが明かとなった。非定型BSEは近交系マウスには伝達しなかったが、サルは定型BSE例と比べて半分の潜伏期間で発症し、定型BSEを接種したサルとは異なる病理所見を示した。非定型BSEはキメラマウスの実験でも定型BSEと異なる宿主感受性を示した。脳内発現サイトカインの役割はプリオン病の病態においてきわめて限定的であった。牛回腸ループに投与した組換えマウスプリオンタンパク質はM細胞のドームや粘膜下組織で樹状細胞やマクロファージに取り込まれた。プリオンの取り込みに関与する宿主因子Peripherinを同定し、プリオン病の進行と病態に影響する可能性を見いだした。またプリオン産生に影響する宿主因子としてLRP1を同定した。vCJDプリオンをヒト型129V/Vノックインマウスに腹腔内投与しても脾臓に沈着はみられなかったが、脳内投与では高率に感染しプリオン沈着がみられた。PMCA法で非定型BSEプリオンはある程度増幅でき、また定型BSEプリオン接種サル由来のプリオンも十分増殖できるようになった。Realtime QUIC法を開発し定型BSEプリオン増殖が可能となった。
結論
非定型BSEが定型BSEと性状が異なり、定型BSEに比べて病原性が高いことが明かとなった。PMCA法で非定型BSEプリオンも増殖できるようになった。Realtime QUIC法を開発し定型BSEプリオン増殖が可能となった。

公開日・更新日

公開日
2010-05-07
更新日
-